かわいい系小悪魔男子
「かおるくん?」
「やっぱり!ひかりさんだー!散歩してたら見覚えのあるシルエットを見つけてね!つい大声だしちゃった!」
そう言いながら無邪気に笑うのは、山本かおるくん。ひとつ年下の男の子。
彼を知ったのはつい2ヶ月ぐらい前のこと。彼の父は、有名洋菓子店のオーナーをしている。ある時、私の父が、スイーツと洋服のコラボの話を持ち掛けたらしい。そのことで二人は、家で話し合いをしていた。
その時に、たまたまついて来ていたかおるくんと会ったの最初。
それをきっかけに、歳も近かったせいか、話が弾んで、よく連絡を取るようになった。
「びっくりしちゃった。まさかこんな所で会うなんて!」
「ねー!僕もびっくりした!ひかりさんは、何してたの?」
「私は買い物の帰り。久々にゆっくりできるお休みの日だったから。」
「そうなんだ…、ねぇ、少しどこかに寄ってかない?僕、新しくできたカフェ知ってるよ!」
新しいカフェか…気になる、けど。
「ごめんね。今日はまだ課題が終わってなくて・・・。」
「んー、じゃあ、僕が瀬戸さんに電話してあげるよ。心配してるのはそのことだよね?大丈夫、上手く言いくるめとくからさ!ね!」
「そ、それはちょっと・・・」
どうしよう。たしかにそれも心配だけど、課題が終わってないのは本当の事だし。
「なーんてね。嘘だよ!そんな困った顔しないでよ。でも、カフェは今度絶対行こうね!」
「な、なんだぁ、嘘かぁ。うん。カフェ、行こうね。それじゃあ、また今度。」
「うん、またね!!」
かおるくんは、姿が見えなくなるまで、手を振っていた。
「ふふっ、かわいいな。」
いつもニコニコ笑っていて、髪もふわふわしていてかわいい。まるで弟みたい。
あ、でも前に友達が「男にかわいいは、言っちゃダメ!」とか言っていた気がする。でも、本人のいない所ならたぶん平気。
「あっ・・・星」
いつのまにか、暗くなっていた。
最近は日が伸びてきたとはいえ、7時を過ぎてくると、まだまだ暗い。
それに、早く帰らないと瀬戸さんから大量の着信がくる。前に少し帰りが遅くなったら、携帯が壊れそうなくらい電話がきた。
「急ごう。」
そう思ってまわれ右をしたら…
ドンッ
ドサッ
「す、すみませんっ」
誰かとぶつかった。そして、見てしまった。
「・・・いって。」
この、ぶつかった人が落としたであろう荷物から出てきた
人の頭。