プロローグ2
「う、ここは?」
小鳥遊が目を覚ますと、そこは砂漠のような場所だった。目の動きに連動するアイカメラで周りを見渡す。すると、部下の戦機と第二小隊の戦機、支援の第三小隊の車両と武器弾薬管理の第四輸送部隊の姿も見える。
「計器に異常なし、30㎜機関砲、ナイフ、カタナも異常なしか」
ハッチを開けて外へ飛び降りた小鳥遊は、倒れている隊員を起こしていく。
「龍堂!」
「あ、う、何ですか?」
「いつまで寝てんだバカ」
「あいて!」
龍堂慶次陸曹長を拳骨で叩き起こした小鳥遊は、各部隊の小隊長に人員の確認を急がせた。
「第二小隊、欠員なし」
「第三整備小隊、異常なし!」
「第四輸送小隊、異常ありません!」
「そうか、分かった。それにして、ここは一体どこなんだ?」
「分かりません。訓練所からの帰り道に光を見た後、ここにいました」
「全員か?」
「確認とりましたが全員です」
「第一、第二小隊は搭乗機の整備に、第三小隊は司令部との通信を続けてくれ。第四小隊はこの周辺の調査を。名倉、琴吹、吉田、頼む」
「任せろ」
「分かりました」
「了解」
隊員たちは、各自命令された持ち場へと移動する。一方、小鳥遊は第三小隊の82式指揮通信車へと乗り込み、本部との連絡を取ろうとしていた。
「こちらロメオ隊、本部応答を。繰り返す、本部応答を」
「だめか?」
「はい、どの回線も応答しません。GPSも作動せず、計器も不安定です」
「わかった、手の空いているものは計器の復旧に取り掛かってくれ。何かあったら俺か名倉二等陸尉に報告してくれ」
『こちら1-2(ヒトニイ)、隊長聞こえますか!?』
突然、無線で第一小隊副長の龍堂から連絡が入る。
「どうした龍堂!?」
『500メートル先、本隊の西で所属不明戦機同士の戦闘が行われています!国籍不明、見たことがない戦機です!』
「了解した、そのまま待機だ」
指揮通信車で無線を聞いた小鳥遊は車両から飛び出し、自機に向けて駆け出した。