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無題

作者: 中田九雪

文字の誤用、展開への批判等ご意見随時募集中。

作者の妄想ですので、キモくてもご容赦ください。

「なぁ、クリスマスはどこかへ出かけないか?」

並んで歩く男女。男は女にそう問いかけた。

季節は冬。迫る年末に向けて街の至る所がその準備に駆られている。

その中で、切り取られたかのように静かな並木道を歩いていた時のことだった。

唐突に彼がそんなことを言い出したものだから、彼女はきょとんとした。

交際して二年立つが、彼から出かけようといってきたのはこれが初めてだったからだ。

「あらま、珍し。でもパスね。どこも混んでそうだし、めんどいじゃん」

予想される混雑に顔をしかめる彼女に、彼はなお食い下がる。

「う、ぬぅ。じゃ、ご飯は?今なら予約まだ間に合うかもだぜ、どっか食べにいくだけならどう?」

「ん~……あ、どうせなら私、家で鍋とかがいいな」

「な、鍋ぇ?せっかくクリスマスなんだし、もっと贅沢しようぜ、な?」

「鍋だって十分にゼータクじゃん。家ならそんなに高くつかないし」

でも、とぶつぶつ文句垂れる彼にぴしゃりと彼女は言った。

「クリスマスは家で鍋!ハイ決定」

「そんな~。別にいいじゃないか、クリスマスだぜ。特別な日だろ?」

情けなくうな垂れる彼にピンとくるものがあって彼女はニヤリと笑った。

「はは~ん。どーせ”俺にだって甲斐性があるとこみせてやる”とか考えてたんでしょ」

「う゛」

「図星みたいね」

「……返す言葉もございません」

「ふふん」

得意げに笑いながら彼女は続ける。

「別に特別じゃなくてもいいよ私。ああゆう堅苦しいのは苦手だし」

彼にとっては大事な思い出にしたい日、普段はやらない程にめいっぱいロマンチックに演出したかった。高級レストランでワインを飲み交わし、プレゼントを渡して彼女に甲斐性をみせる計画は、水泡のごとく散った。

「もう、いいじゃない。じゃ、奮発してタラバガニ入れましょ?ヤダ私ったら太っ腹♪」

しょぼくれる彼をなだめて一人はしゃぐ彼女。

「……お前って、かわってるよな」

「ん?」

いやさ、と前置きして彼は続けた。

「こういうときって特別さを求めるモンだと思うけどな」

「ふふ」

女が微笑する。

「んー、大切な日にしたいのは私も同じよ?」

でもね、といって彼女は彼を見つめる。

「あいにく、ロマンチックな夢見る少女は卒業したのよ」

彼が怪訝な顔でそうなの?と聞いた。

うん、と頷く彼女。

「アンタと付き合ってからよ。そう考えるようになったの」

「え?」

歩みを止めた彼から数歩先を歩いて、振り返る彼女。

「だって、アンタったら、ロマンチックのロの字もないくらいそういうのに鈍いし」

「う」

「でも、それも含めて……ううん、そんなんだったから好きになったんだと思う」

照れなのか寒さなのかわからないが、顔が赤くなる彼。

そんな彼の様子が面白いのか、彼女はいたずらっぽく笑う。

「特別な日を特別なヒトと過ごすからイイのよ。どんなふうに過ごすかなんて些細な問題よ」

「だから、洒落たことなんかしなくてもいいよ。そのまんまのアンタでいてよ。これからもずっと」

はにかむように笑う女だった。

そんな彼女に、男は少しだけ胸の鼓動が速くなるのを感じた。

男はハッとして彼女から目をそらし、わかったよ……と小さく呟いた。

「わかればよろしいのだ」

知ってか知らずか男の様子を見ておどけたように女は言った。

その時だった。白い綿毛のような雪が2人の目の前にフワリとおちてきた。

「あ、雪。どーりでさっきから手がかじかむワケだ」女が手をこすり合わせている。

「ホレ」

彼女に歩み寄って手を取る。彼は彼女の手を自分のコートの右ポケットに入れた。

「さんきゅ」

彼女は照れくさそうに微笑んでそのまま寄り添いながら歩き出した。


それは、ロマンチックなレストランや2人だけで囲むカニ鍋にも勝るとも劣らぬ、幸せの時間。

雪の降り始めた道を、寄り添って帰る2人の笑い声が静かに響いて、冬の空に溶けていった。


読んでくださってありがとうございます。前書きにも書いた通り、作者の(イタい)妄想です。ネタは友達と「鍋食いたいな~」などの会話から思いつきました。

あと全体のイメージは、好きなバンドの好きな曲から。

5年ほど小説サークルに所属して、初めてマトモにできたんじゃないかと浮かれて投稿しました。これから先も投稿する機会があれば投稿していきたいし、読者の方に喜んでもらえる作品を作れるよう精一杯の努力をしていく所存です。最後にもう一度、読んでくださった方に感謝して終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

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