強運な男
春のファンタジー短編祭(武器っちょ企画)参加作品です。詳細は遊森 謡子さんの3/23活動報告にて。
また、参加者一覧3/26活動報告
http://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/126804/blogkey/402926/にて。
●短編であること
●ジャンル『ファンタジー』
●テーマ『マニアックな武器 or 武器のマニアックな使い方』
「よしっ、完成だ」
俺は最後の部品を組み上げると、額の汗を拭って口角を上げた。
実はこの装置、大学院在学中に理論的にはほぼ確立していたのだが、肝心の金がなかった。だからといってこんな雲をつかむような話に乗るスポンサーなんかおらず、夢のままで終わるものだと思っていたのだが。
たまたま買った宝くじが大当たり。しかも連番だったもんだから、一等前後賞が一度に転がり込んできた。俺はそれを全てこの機械の開発につぎ込んで完成させた。
ちなみに、俺が作り上げたのは、パラレルワールドへの移動装置。
「さっそく出発するかな」
俺は、そう一人ごちると、装置に乗り起動させた。
ブイーンという機械音とともに目の前が暗くなり、しばらくするとまた明るくなった。
「やった、成功だ!!」
そこは確かに築35年の俺の部屋だったが、部屋の調度が微妙に違っていた。何より、そこには俺そっくりのパラレルワールドの俺がいたのだから、間違いようがない。
「そうか、お前のとこは完成したのか」
パラレルワールドの俺が悔しそうにそう言う。
「ま、とりあえず完成おめでとう」
と、手を挙げたもう一人の俺に、
「ああ、ありがとう。お前も頑張れよ」
と、俺は軽くハイタッチをした途端……
『ドッカーン!!』
と大きな音がして、俺たちは二人とも部屋ごと吹き飛んでしまったのだ。
-しまった、パラレルワールドの人間は反物質で出来ていたのか……-
俺は飛ばされながらそう思った。
あの……彼女に抱きついて双方ドカンってのも考えたんですが、それはあんまりなので、『彼』一人にイッテもらいました(黒笑)