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高木彩乃の災難

作者: 架羅

空を見上げれば、眩しいほどの日差し。その下で元気に遊ぶ子供達。

車道では、車がえらいスピードで走り、歩道では、犬をつれた少年が歩いてる。

ここ、新川町でのいつもの風景。変わらぬ日常。

しかし、この世において変わらぬものなどないのです。

新川町一丁目六番地、一軒家で三階建ての布団屋を営む、高木家。

そこで今日、日常がーーーーー変わった。



「・・・・・あれ?」

僕の名前は、高木彩乃。僕というのは昔からの僕の一人称、女の子だから勘違いしないでね。

小笠原中学校に通うピッカピカの1年生である・・・・・はず。

たしか、僕は自分の部屋でアイスを食べながら、友達と電話をしていたんだ。

学校の話題、お母さんの悪口などを言いながら1時間ほどしゃべっていた。

なのに・・・・その僕が部屋の真ん中で・・・・・倒れてる。でも僕は僕を見下ろしている。なぜ・・・・・・・?

上を向くと、いつもは背伸びをしても届かなかった、天井が目の前にある。そして、

僕の足は、床についていなかった。浮いてる・・・・・。


・・・・・・・えええぇぇっっぇぇぇえええ!!!!???


なんで?どうして?!・・・落ち着こう、僕・・・・・落ち着かなきゃ・・・・・。

夢・・・・・かもしれない・・・・。ずいぶんリアルな夢だ。僕は自分の頬をつねる。

確かに、痛い。これは夢ではない。もしかして、僕は・・・幽霊というやつになってしまったのではないか・・・・?

まずい・・・・!!まだ、やり残したこといっぱいあるよ!!まだ、男の子と付き合ってないし、お母さんと買ってもらうって約束した、ハーゲンダッツの大きいやつ食べてない!!うう・・・・なんで僕が・・・・・・。


・・・・・・・なんで、僕死んでるんだ?


そうだよ!僕、電話してたんだもん!階段から落ちたわけでもなし、上からなにか落ちてきたわけでもなし。なんで死んでるんだ?!

まだ、そんなに時間は経ってない筈だ。家の中を探してみよう。


扉を開けようとするが、ノブに触れない。幽霊だからか通り抜けてしまうのだ。

けっこう、漫画もまんざら間違ってないんだ。うそ臭いって思ってたけど、自分が幽霊になっちゃったしね。いや、そんな事より扉が開かないと出れないよ〜。

「もう〜、開け!!」

扉に体当たりしようと思ったんだけど、扉をそのまますりぬけちゃった・・・・・・。

そうか・・・・今僕、幽霊なんだからなにもかもすり抜けちゃうのか・・・・・。

悔やんでてもしょうがない。絶対犯人みつけてやる!

僕はひとまず、3階にあるリビングに向かう事にした。僕の家は3階立てで3階はリビングやお母さん、お父さんの部屋があって、2階は僕やちかちゃん(ちかちゃんは僕の妹でちかこという)お兄ちゃんの部屋があって、1階は布団やを経営している。

今の時間ならおにいちゃんが、リビングでゲームをしているはずだ。僕はリビングの扉をすり抜ける。辺りを見回すが・・・・。


いない・・・・?


リビングの横には、キッチンがある。この時間だったらお母さんだって、いるはずだし

ちかちゃんだって・・・・・・・。

「どうして・・・・・・・・」

まるで、皆消えてしまったかのようだ。僕は不安でたまらなくなった。急に自分が死んでいて、いつもの光景が消えた。普通じゃない、尋常じゃない・・・・・。

お婆ちゃん・・・・・そうだ!店に行こう!

僕は大急ぎで、1階に向かう。布団屋は祖母と祖父が経営しているのだ。

「おばあちゃん!!」

店につながるすだれを通り、店に向かって祖母のことを叫ぶ。

「ど・・・・して・・・・・」

訳がわからない・・・。急に消えた家族、自分は幽霊になっていた。いつもの家じゃない。これは家じゃない!

僕は、表しようのない恐怖に駆り立てられ、店の前にある道路にとびだす。

ここは新川橋の近くで、車の通りが絶えない所で、車が姿を消すなんて10秒だってなかった。なのに今日は・・・・・。

「こない・・・・、車が・・・・・。人・・・も・・・・・」

人っ子1人いなかった。いつも騒がしい通りが、耳鳴りがするほど静かだった。

「めぐ・・・・はつ・・・・2人共、いるよね・・・・・」

星野恵、後藤初音、2人は保育園からの友達である。めぐはとても強く、はつはとても

心配性である。あの2人ならいてくれる、あの2人なら・・・・・・。

僕は、2人の家に向かった。願いをかけて・・・・・。


願いは、儚いものだったーーーーーー



そこには誰もいない。ただの静寂。建物はただそこに聳え立つだけのガラクタのようだった。僕はもう諦める事にした、もう自分がなんなのかも分からなかったし、

どうでもよくなった。めぐの家のめぐの部屋のふとんに横になる。目を閉じて、

今までの事を思い返してみる。なんだったんだろうこの記憶の中の自分はなんでわらってるんだろう?もうそんなのいいや・・・・・・寝よう。





「・・・・・・・・っん!あやちゃん!!」

「んっ・・・・・・・お母さん!!」

「どうしたの?うなされてたわよ?悪い夢でも見たの?」

目の前にいるのは僕のお母さん、周りをみれば僕の家の居間、窓をみれば外は真っ暗。


夢・・・・・・・・・・?


「もう、ベッドに行って寝なさい!」

「う・・・・・うん」

夢?すべて夢だったのかなぁ〜?僕は階段を上りながらいろいろ考えてみる。でももう

どうしようもないし、寝よう。全部忘れよう。

瞼が重い、寝るのが遅い僕にしてはかなり早く眠れた。

疲れてたのかなぁ〜。







「くっそもう少しでこっちの世界にひきこめたのに・・・・・あの母親邪魔しやがって

しゃーない!こいつの魂はあきらめるか!!」




朝、目覚めると僕はしばし呆然としていた。また変な夢をみた。カバとゾウを合体したような動物が出ていてしゃっべて、消えた。こっちの世界?僕の魂?

もしかして、獏?夢を食べるっていう?

そういえば学校でこんなウワサが経っていた。



「良質な魂を狙って、獏という動物が子供の夢を彷徨うという・・・・・」


まさか本当だったのか?ウワサも馬鹿にならないなぁ。

よかった、生きてるんだ僕。もしかしたらバチが当たったのかも、お母さんの悪口なんか言ったから・・・・・・・・・・。


僕は居間に下りていき、お母さんに抱きついた。

「おはようお母さん」

「どうしたのよ?彩ちゃん、もうすぐ朝ごはんだから離れなさい〜」

「は〜〜〜い」


お母さんありがとう。





〜END〜




さてさて、いかがでしたでしょうか?

これは日常と不安というテーマをもちつつ

書いたものです。最後は変なおちですが、

ご意見、ご感想などお聞かせください。

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― 新着の感想 ―
[一言] うんいいとおもうよ うんうんうん
[一言] おもしろかったけど、僕じゃないほうがよかったです
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