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invade  作者: ひまり
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1、仕事

主な登場人物


佐和さわ 千也子ちやこ 39才。不動産会社の事務員

篠崎しのざき ハルキ 28才。人気若手俳優


小鳥遊たかなし ひびき 20才。大学生。千也子の息子


高野たかの しづき 千也子の親友



秋津あきつ 侑一ゆういち 千也子の勤める不動産会社社長。ハルキの先輩

秋津あきつ 香子きょうこ 侑一の妻



小鳥遊たかなし 慶介けいすけ 千也子の元夫。アパレルメーカー【T’s】専務

夜は日付変更線を跨ぐこともなく、就寝

朝は目覚ましが鳴る前にベルを止めて、起床


そんな規則正しい生活をひとりになっても続けているあたしはいったい...............


ママ友なんて子供の成長と共にいなくなったけど

昔からの親友に言わせると、あたしは女として枯れているらしい


確かにそうかな?と思うことはある


テレビで恋愛ドラマを観ている時や恋愛小説を読んでいる時なんて

無条件にその世界に引き込まれて、思いっきり涙も流したりするけど



≪リアルで恋愛がしたいとは思わないもんなぁ......≫



夫と離婚したあたしを周囲は不倫の末の離婚だと決め付けてくれたけど


『不倫なんて、何でやらなきゃならないわけ?』 なんて言っちゃえば

いかにも経験あるって思われるだろうから、言わない



「息子が成人したからって理由だっていいじゃない。それがどうしてダメなの?」


溜め息と一緒に出る不満っていう名の愚痴



気分転換に開いたネットのトップニュースに

テレビでお馴染みの人気俳優の名前を見つけてクリックすると


彼の新たな恋の話題



「春だねぇ~。いい恋、いっぱいしてね」



まるで息子……

よりは年上なんだから、甥っ子?


そんな存在である彼の恋を応援してる気分に浸りながら時計を見て、電源を落とした。



「今日はおしまい。また明日頑張ろうっと」


灯りをリモコンで落とすと、そのまま眠りの世界へ




時間通りに起きて、しっかり朝ご飯を食べる!って言っても、

朝ごはんに使う時間は短い方がイイ。


でもしっかり食べたいあたしにとっては

手抜き・手軽で、いかに美味しいモノを作るかが重要なワケで


最近のお気に入りは、コレ


昨夜のミネストローネを土鍋に移して温めると

そこにご飯を入れてタマゴを落とし、ピザ用のチーズを上から掛けて、蓋をする


あとはチーズが溶けたのを確認してパセリを掛ければ、出来上がり♪



この自己流リゾットがここんとこで一番のMy Hitで、

大学の飲み会の後、うちに寄った息子に作っても好評だったから結構な自信作!




外は春らしい、イイ天気!


これには『今日も一日張り切らねばなるまい』と気合を入れて出勤したあたしだったけど



≪人生って……何が起こるかホントに分からない≫



今まで何度も思ったことを今更ながらに体験することになるなんて―――――





あたしの勤め先は小さな不動産会社


『小さな』って言うと失礼かもしれないけど、

社員はあたしを含めて6人しかいないんだから嘘じゃないよね?


ここで営業事務を含めて社内の事務を一人で受け持っているから

営業さんが忙しいだろうって気遣ってくれるけど

あたしにとっては居心地の好いこと、この上なくって!


自分のペースで仕事が出来るこの環境に非常に満足していた



そんなあたしの目の前に現れたのが…………





カラン、カラ……ン



「いらっしゃい……ま、せ」


ドアに付いているチャイムが軽やかに鳴ると同時に声を出し、営業スマイルを向けたあたしは


数秒そのままフリーズ



≪お客さま……よね?≫



うちに来るお客様層とはカテゴリーの違う派手系な若い男性に続ける言葉を失っていると



「ん?どうした、佐和ちゃん……お。何だ、シノか」


後ろから社長の声がして



「ったく。いつもいつもいきなり来やがって。

来るなら前もって連絡くらいしろよな。コーヒーでいいな?」


「ん」


どうやら社長の知り合いだということが分かる


そのまま奥に入って行くその人の背中を思わず見ているあたしに



「佐和ちゃん、コーヒー淹れてくれる?マグでいいからね」


その人が社長の部屋に入るとドアを半分閉めながら振り返った社長の声に、あたしはようやく我に返った。



「……あ、はい。お持ちしますね」


そんな返事をして給湯室へ行くとコーヒーの豆が入った缶に手を伸ばす。


『コーヒー、お願い』なら、そのままでOKだけど

『コーヒー、淹れて』は、豆を挽いて、淹れたてをご所望ってこと



ミルの音........


そして薫って来る豆の香りに思わず瞼を下ろして



コーヒー独特の幸せを感じている間に、淹れたてが入る





言われた通りにマグに注ぐとトレイに乗せて社長の部屋をノックすると、直ぐに返事があり



「失礼します」


声を掛け、ドアを開けるとそのまま応接テーブルに近付き

お客様の前にコーヒーを置き、社長の前にも置くと会釈した頭を上げた瞬間




そこに居た人を見て今度こそ固まってしまった





ありがちなスタートですが宜しければお付き合いください

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