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第4話 フェンリル魔獣契約の儀式

「断る。」

「まぁそうだろうな。ちなみになぜだ?」


 このことは、まだ想定していた。何故断ったのかそちらの方が気になる。そんな疑問をフェンリルにぶつけてみる。


「なぜ?か、それは簡単だ。お前は強い。ただ、我よりも弱いやつに従う気はないということだ。」


 さも、当然のようにフェンリルはしゃべる。


「じゃあさ、お前を倒せばいいのか?」


 そう、ちょっとラフな感じで言ってみると、フェンリルのオーラがより質が高くなり、圧がより強くなった。それこそ、殺気と変わらぬほどに。


「それは冗談か?人の子よ。」

「もちろん、本気だ。」


 そういうと、フェンリルは少しうれしそうにニヤニヤと顔が笑顔へと変わっていく。


「そうか、そうか、そうかハハハハハハハハハハハハハ。」


 森全体に響かんとするフェンリルの笑い声が、ここ一体に広がる。更に圧が優しい感じに変化する。


「そんなことを言うやつが現れるとは。楽しいこともあるもんだなぁ。」


 そういうと、圧が先ほどの同じような殺意、否鬼気に迫らんとする圧に変わっていく。その変化に多少驚きを隠せないが、そんなものは弾いてしまったら関係ない。圧に臆することなく


「ああ。やろうか。フェンリル。スタートは、コインを投げてコインが落ちた瞬間な?」

「ああ。もちろんだ。」


 ここで一つ念を押しておく。


「勝手に動き出すなよ?動き出さなかったら、本気は使わない。」

「なんと、我相手にそんなことしても大丈夫か?」


 少し、舐められていると思ったのかフェンリルは少し切れ気味だ。


「もちろんだ。お前ごときに本気出したら、今後もギリギリの戦いになるだろ?」


 と、少し煽り気味でフェンリルに喋りかける。


「それに本気出したら何も楽しくないだろう?」

「そうだなぁ。そうかもなぁ。」


 そういって、フェンリルと距離を取る。そして、親指でコインを弾く。更に、破滅剣アグロネムトに手をかける。フェンリルは、爪と牙に空間切断を更に濃い密度で付与する。破滅剣アグロネムトに魔力をこめ、身体に身体能力を限界まで付与する。更に、上に魔法陣を作り 深淵複合魔法 煉炎を書き始める。脳のスペックのうち四分の一ほどを使って、煉炎の魔法陣を組み立てる。組み立て完了まで三百秒。 


「カキンッ。」


 そう、コインが地面にあたった音がした。すぐさま、破滅剣アグロネムトを抜き、フェンリルの攻撃に備える。フェンリルは、異次元の速さで距離を詰めにかかる。フェンリルに合わせようと、破滅剣アグロネムトを近づけるが、フェンリルは上手い具合に破滅剣アグロネムトを避け、こちらに突進してくる。それを物理障壁で、止めようとするが相手の力の次元が違いすぎて、物理障壁は


「「パリーン」」


 と音を立てて壊れる。耐えれたのは、一瞬のみ。だが、その一瞬で充分。そこで、ターンを決めフェンリルの突進を避けきる。


「やるな、人の子よ。」

「そちらこそ。」


 まだ、フェンリルをやり切るには足りない。ここは、これだ。四属性球(フォーアーツボール)。圧倒的な手数で攻め切る。魔法陣を後ろで描きながら、破滅剣アグロネムトでフェンリルの攻撃を受ける。常

 人には、追いきれないスピードで<魔武(マジックフォース)>を駆使しながら、破滅剣アグロネムトを更なる段階に魔法技能によって押し上げる。その名を深淵魔法 伍ノ型 情報干渉。この魔法は、魂やこの世の理に深く関係している魔法だ。

 魂や理を一つの情報とし、その情報に魔法を媒体とし情報の干渉することで、このようにその情報を昇華させたり、堕落させたりすることもできるという魔法だ。この深淵魔法 伍ノ型 情報干渉で、破滅剣アグロネムトは破滅神剣アグロネムトへと昇華させた。


「死んでくれるなよ?フェンリル。久しぶりの遊び相手なんだ。簡単に死んだらつまらんぞ。」

「は、言ってくれるな。人のこよぉぉぉぉぉぉ。」


 烈波の如く気迫で、こちらに突進してくる。魔力は、とびっきり牙や歯に集中されている。それこそ、それだけで他の神話の魔獣を殺せる、それほどまでに高められ、練り上げられた魔力がこちらに牙をむく。技量、魔力量、魔法の練度、全てにおいて超一級品。けれど、それだけに惜しい。ここで、小手先だけの小さい技を使うことができれば、これほどまでにあっさりとした結末には、なっていなかっただろう。こちらは、破滅神剣アグロネムトを構え魔力の一滴でも使用することなく、ただ使うのは平凡な技術。剣術 一ノ型 一閃。それだけ。本来は、なにも斬れることはないただの、突進技。それは、剣のレベルによって左右される。そして、こちらにあるのは全てを切り伏せてきた俺の愛剣、破滅神剣アグロネムトだ。たかだか、魔力を込めただけの牙に負けるはずはない。破滅神剣アグロネムトとフェンリルの牙が接触しようとして、気高い音が鳴るかと思われたがただ何もなく、そこにあったのはフェンリルの切られた牙だけであった。


「これでいいか、フェンリル?」

「かはっ、ごふぅ、・・・・もち、ろん、だぁ、かはっ。」


 そういえばと、斬ったのはいいけど直すの忘れていた。


「ごめん、ごめん。今治すから。ふぅ。めぐりめぐり、そして戻り、戻りたまえ、我は神殺しの王アーク・ローグアイであるッッッ...再生ッッ。」


 そういうと、暖かな光が差し込みフェンリルを包み込む。先ほどの戦闘で受けた傷が見る見るうちにどんどん消えていく。牙や歯も折れたところから再生していく。


「お、おお~。素晴らしいな。人の子よ。それとさっき言ったことで気になる点が...」

「おう、なんだ?フェンリル?」

「アーク・ローグアイであると言ったな?それは、真か?」

「そうだ。俺が、アーク・ローグアイだ。」

「そうか。」

「そういえば、これで魔獣契約はしてくれるんだよな?」

「もちろんだ。我より強いものならばよかろう。」

「じゃあいくぞ。」

「え、ちょ、ちょ、まってぇぇぇェェ。」


 なんてことが聞こえた気がするが無視だ無視。魔獣契約の魔法陣を組み立てる。ここは、あえての立体魔法陣で深淵魔法もいれちゃう。なんだか、えげつない魔法になった気がするが気にしない。そこに、フェンリルの魔力を強制的に吸い取り、フェンリルと俺の魔力を流し込み魔法陣を完成させる。


「「バ、バーン」」


 そんな音がすると、フェンリルと俺との魔力がせめぎ合いこれでもか、これでもか、と魔力同士でぶつかり合う。そして、少しずつ俺の魔力が優勢になってくるとフェンリルの魔力の感覚が、少しずつ伝わってくる。完全に俺の魔力が、フェンリルの魔力に勝利しきると関係が確固たる主従関係となった。

そして、フェンリルは疲れ果てたように地面に倒れ込む。近づいて様子を見ると、毛並みが汗でぐっしょりと濡れている。

「大丈夫か!フェンリル!」


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