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第3話 フェンリルvs破滅の王

 フェンリルは、俺との距離をすっと流れるような動作で一時的に、距離を取った。今まで、抑え続けていた魔力が、この神話の魔獣フェンリルを目の当たりにして、興味という名の好奇心によって制御がぶれ、あふれ出してしまったようだ。

 そのおかげか、そのせいかよく分らんが神聖騎士はすでに気絶状態にある。口からぶくぶくと、泡を出している。これで、魔法や剣を使うことができる状況が作りあがった。

 この環境下は、フェンリルを調教しえる唯一の状況。フェンリルなどのちょっと強めの神話の魔獣は、手加減が超絶難しい。それこそ、一ミリほどの穴に糸を通すようなそんな難しい事であった。

 そう、前世では。今では、完全とは言えなくても前世の二~三割ほどの力がある。むしろ、前世よりも弱いことで、手加減をする必要がより減った。だからこその調教とペット化を行うためには、圧倒的に強いだけではダメなのだ。

 相手を殺さずに、相手の手段を最大まで引き出しつつも、その手段をすべて真正面から捻りつぶして、力量の差を見せつけないといけないという、なんともつらい方法である。まず常人ならば、そもそものフェンリルよりも強い力というのは、持ちえない。それこそ、スーパーサラブレッドか、勇者、魔王、賢者辺りでないとフェンリルを超越することはできない。

 なぜなら、神話の魔獣は一体で()()になりえるほどの力の持ち主。それこそ、討伐可能な人材がいなければ、国ですら亡ぼすことが可能だ。

 故に神話の魔獣であり、神という言葉が入るほどの魔獣なのだ。神という言葉が入るのには、一定の条件がある。

 それは、状況と条件によっては神を()()()()ほどの圧倒的な力を保有又は、振るうことができるということだ。それこそが、神話の魔獣たる所以。ただ、前世の俺にとってはフェンリルを殺すことは、赤子の手をひねるように簡単なことであった。だからこそ、前世の俺は転生後の俺という新たな可能性を思いついた。

 それもできるだけ、力を取り戻し切る前にフェンリルをペットにするために俺は、五百十年という絶妙で微妙な期間封印できるだけの、魔力をそこにおいておいたのだから。これも言い換えてしまえば、五百年前俺が成しとげることができなかった、やり残したことの一つだったのかもしれない。

 そこで、俺は瞬時に思考を臨戦態勢に変更し殺気を余すことなく、フェンリルにぶつけるそれに、フェンリルは臆することなく


「ガルルルル。」


 ただ、それだけ。だが、それとは裏腹にその言葉には、圧倒的な威圧があった。これすらも神話の魔獣には、武器となりえる。だからこそ強いのだ。そう、相手は神話の魔獣でもTOP3にも入るほどの実力者‘フェンリル’。対してこちらは、人類の中で初めて‘神殺し’を成し遂げた覇王。勝てない道理など、そこには存在しなかった。魔力を込めた指で、円を虚空に描くと魔法陣が浮かび上がってくる。その魔法陣に込められた魔法は炎魔法‘爆裂球(ファイヤーボール)’。この魔法陣の特徴は、単純明快。一定量の魔力を込めると、魔法が自動で出るというものだ。一見強そうに見えるが、この魔法は世間一般的には、弱い魔法だと思われている。それはなぜか、答えは単純、燃費が悪すぎるからだ。それもそのはず、魔力回路に無駄が多すぎるから。それを解消してやれば、使いやすい魔法と化す。その魔法に、魔力を流し込んだ。そこには、圧倒的な物量があった。


「ドドドドドドドドドドドド。」


 その、炸裂音ののちに見えたのは、少し毛並みが黒焦げたフェンリルだった。だが、フェンリルの下には、地形が変わりクレーターと化した地面が広がっていた。その状況を見るに、フェンリルは爆裂球(ファイヤーボール)を地面に誘導したのだろう。だが、それも次からは完全に防ぐ。爆裂球(ファイヤーボール)から、更に他の魔法を組み合わせた四属性球(フォーアーツボール)に変更しその魔法回路をいじり、直線に回るというのを定めた魂を滅びるまで永遠に追い続けるという、とてもじゃないがやられたら発狂しそうな、特性を付与し、また魔力を流す。それでもまた同じように、返せると思うのは、未だに獣という枠に収まっていると思わせる要因でもある。そして、回避しようと上に跳んだ。

 けれど、その四属性球(フォーアーツボール)は、地面すれすれで直角にガクンと曲がり回避しようもないフェンリルは、目を丸くしているように俺には見えた。そして、その数多の魔法が組み込まれた四属性球(フォーアーツボール)がフェンリルの腹部に直撃した()()()()()()

 そして、風魔法で四属性球(フォーアーツボール)で出来た黒煙を吹き飛ばす。けれど、黒煙の中には、何もなかった。フェンリルがこれで倒れるとは思えない。思考を回している時に突然、あるものが俺の一メートル以内に入ってきた。それは、血であった。ぼたぼたと空の上から、降り出した。

 その直後、奴は現れた。さっきとは、似て非なるオーラを纏って。


「グルルルルルぁぁぁぁぁ。」


 さっきとは、違うまるで心臓をきゅっと掴まれるそう、錯覚するほどの段違いの咆哮を放った。これが、神話の魔獣でもTOP3を誇るフェンリルの固有スキル。帝王の威信エンペラーマジェスティ。これは、本来人間を超越したもの超越者のみが使用可能になる限界突破と似て非なるスキルだ。限界突破とは、魂から無理やり力を引き出し魔力や腕力、膂力などの全ステータスを二倍~五倍以上に引き出すことができるスキルだ。

 一方で、絶対の威信エンペラーマジェスティは体に一定の量の傷を負い、生命活動に支障が出るほどの出血をしたときにフェンリルのみが発動することができるスキルだ。限界突破とは違い、魂から力を引き出すことはないが、体に多大な負荷と傷を負うことになるため限界ギリギリで、戦闘が終わったのちはそのまま衰弱してしまうというハイリスクハイリターンなスキルだ。

 そこに、フェンリルの爪や牙からただならぬ気配を感じた。それは、空間魔法の気配。これは、絶対の魔法(エンペラーマジック)のスキルだ。自分の体、特に牙や爪などに高いレベルの空間魔法を付与し、自分をさらに強化するというスキルだ。主に空間切断という空間魔法でも上位に値する、空間を切り裂くという単純な魔法だ。単純故に、難解である。回避、更には打ち消すことすら不可能なほどの出力を誇るのが空間切断。ただ、例外が一つある。それを示すために指で魔法陣を描く。そして、


「こい。破滅剣アグロネムト。」


 そういってやると禍々しい剣が、魔法陣から出てきた。こいつは破滅剣アグロネムト。前世の俺の破滅の力を半分以上を込めている、俺だけの剣だ。この剣は、万物を滅ぼすことができるとっても便利な剣である。これは、俺の愛剣でもある。こいつに魔力を込めてやり、破滅の力を出して空間切断を破滅の力で、暴走、蒸散させて無力化する。ただ、魔法の発動よりも破滅の力の発動の方が2~3秒ほど遅い。だから、魔力に物を言わせて発動させ続ければまだ、フェンリルの空間切断も使用可能となる。

 まだ、油断はしてはならない。


「グルルルルぁぁぁぁあぁぁあぁぁ。」


 この咆哮を持って戦闘が始まった。破滅剣アグロネムトに魔力を込めて、フェンリルとの距離を詰める。そこで、爆裂球(ファイヤーボール)を圧縮させて光線のごとく光の速さで、放たれた爆裂球(ファイヤーボール)はフェンリルの腹を抉る。けれど、フェンリルはそんなことも気にせずに、爪で空間切断を発動させる。それに若干遅れながらも破滅剣アグロネムトで、空間切断を蒸散させて剣でつぶしにかかる。それを見越していたかのように、フェンリルが三日月のように口を裂ける。

 そこにあったのは、空間切断の牙ではなくそこには単純な魔力衝波の魔力の塊があった。それを一瞬で、光線に変え圧倒的な熱量と光にも等しい速さでこちらをぶち抜いてくる。

 それを必死になって魔力を練り魔力障壁を組み立てる。が、横からひょっこりフェンリルが顔を出している。血の気が一気に引くのを感じる。魔力を破滅剣アグロネムトに込め、フェンリルの攻撃先に無理やり破滅剣アグロネムトをねじ込んで、攻撃を封じる。


「なぁフェンリル。楽しいなぁッッッ。」


 それに呼応するように、フェンリルは攻撃の頻度を上げ、スピードを上げる。縦横無尽に壁から壁にテンポよく激しく動き回る。既に動体視力では、追いきれないスピードなので目をつぶり視覚をふさぎ、聴覚に頼り切った方法に頼りフェンリルの気配を掴む。そこに、爪で斬りかかったフェンリルに、破滅剣アグロネムトでその爪を折にかかる。


「ガギーン。」


 と、鉄と鉄がぶつかったかのような気高い音が森全体に響き渡る。一拍おいて、フェンリルの叫びが広がる。


「がぁぁぁ」


 それは、悲鳴ではなかった。折にかかったはずの右手だけではなく、左手の爪すらもすべて折れている。


「初めてだ。俺をここまで追い詰めたのは。ここで、全力を出さなければこちらも無礼というものだろう。さぁ、俺の全力を超えられるかなぁ?強き人の子よ。」


 急にフェンリルが喋り出してきた。驚きのあまり


「えっ、喋った。フェンリルが?」


 と、軽くパニックった。


「魔物が喋れないとでも思ったか?長年を生きてきた魔物は、時に知能を持つ。その知能が、言語だった、それだけのことだ。」


「え、フェンリルさんは今までしゃべろうと思えば喋れたの?」


 今持った疑問をそのままフェンリルにぶつける。そうすると、フェンリルは悠長に喋り出した。


「もちろんだ。五百年前に封印されてから、力ではなく知能に割いたのだ。力を出そうにも、出せなかったから仕方なしに、な。」


あ、原因俺だぁ。やっちゃったぜ。そう、心の中でつぶやくと本題に入る


「フェンリル、俺のペットにならないか?」

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