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第1話 王が戻った日

「やっと生まれたわよ。見て・・・・これが私たちの赤ちゃん。」


 まだ、思考がクリアにならない。それは、体にまだ魔力、記憶が慣れていない証拠でもある。だが、母と父は近くにいた。意識がある状態で、自分の出産に立ち会うということは初めてである。柄にもなく、この覇王は緊張している。少し手が震えているが、無理やり押し込める。


「これが、俺たちの子供だ。可愛いなぁ。」


 可愛いのか?自分の顔など自分で見たことなどなかった。前世では、やりすぎてぼろくそ言われたものだ。あいつは、「人の皮を被ったやべえ奴」だとか、「困ったら相手を殺してセーフなんてふざけたこと言ってんじゃねぇぇ」とか、「うん、お前悪魔でしょ。所業がね・・・」なんて言われたことがあるのだ。だいたいは、俺に敵対してきた奴なのだが・・・・。そんなことを言われていた後に「可愛いなぁ。」だ。これは、うれしい。そんな、優しい親の間に生まれた俺。それは、


「そういえばあなた。この子の名前を考えてくれてた?」

「ああ、もちろんさ。今見て確信したよ。君の名は、ローグ・アークだ。かっこいいだろう?」

「ローグ。あなたに明るい希望がありますように。」


 ここで、一つの疑問が生まれた。アークとは、家名ではなく俺個人の名前であったはずだ。それが、今この時代の家名となっている。これは、どうなっているのだろうか?この真実のようで、真実ではない感覚・・・・これは、事実改変だ。

 事実改変とは、事実を改変する魔法のような洗脳術である。これは、ごく一部のものにしか、知らされておらず俺でもあの覇王から盗むという方法を取らせるほどに、秘匿している。だが、今は魔力も使えずろくに体を動かすこともできない。

 だが、情報取集だけはなんとかできる。あと少しの時間を情報収集にまわすことを考えた。どれだけ、強くとも歴史がなければ敵が分からない。味方かもわからない。その判断素材集めが始まる。といっても、ここの家は侯爵家。情報なんてそこら辺の書物を漁ればいいだろうと思っていた。そして、それは順調に進んでいた。そして、ある転機が訪れた。生まれてから五年後の事だった。


 ~五年後~


 五年間で俺が分かったことがある。今この世界では、宗教?というものがあるらしい。それは、かつてこの世界を混沌にした神を信仰している、俺からしたら頭のねじがぶっ飛んでいるものがあるということだ。

 それはそれとして、この家は、アーク家という割とえらい男爵貴族であったということだ。だが、他の貴族からはよく思われていないらしい。それもそのはず。もともとただの集落であった、ところを魔法などで他の都と変わらないほどの大きい都に変化させたのだ。それは、他の貴族からしたら努力をバカにされている感覚と等しい。それは、色々な貴族にとってはいやらしい。

 そして、俺はもともと使えていた時空魔法、空間魔法、創成魔法の三つが使用不可になっていた。使用不可というよりも、その魔法術式を思い出すことができないという方が正しい。どれだけ、魔法技能が卓越したものであっても、魔法術式というのは簡単に作れるものではない。魔法術式をつくるということは、世界の発見されていない、法則を見つけ応用するという行為をするからだ。これらは、親から研究の成果をもらってから完成させたので、親も使える。

 だからなのだろうか、俺が作った深淵魔法と破滅魔法は、忘れていない。となると、どこに問題があったのかそれは簡単、転生(リンネ)である。俺の転生(リンネ)は完成されていた。それは、作った本人ですらも「なんで作れたんだろ?」と思うほどである。俺の転生(リンネ)に干渉できものそれは、神を殺した時殺し切れなかった生き残りの現人神である。こいつをやらなければ、俺の便利魔法三つが、使うことができない。ということは、基本の五属性の魔法と破滅魔法、深淵魔法しか使うことができないということ。破滅魔法は、使いようでは神ですら殺すことができる剣である。

 だが、その反動もすさまじい。今までは、さっきの便利な三つの魔法と破滅魔法を駆使して戦ってきた。少なくとも、()()()使わない限りは、基本の五属性など使わなかった。それは、魔法の枠を超えることが極めて困難であったから。

 だが、枠を超えなければ神を殺すことはできない。だが、確実に現人神は‘殺す’そこに変わりはない。これは、前世手を出すことができなかったやり残したことであった。そのやり残しで、誰かが死ぬなどということだけはあってはならない。けれども、基本の五属性のみではほぼ現人神でも殺すことなど不可能。

 そこに組み合わせるのは、‘深淵魔法’だ。この魔法の概念というのは、自分の体以外の何かから力を引き出すということにある。最たる例が魂である。これは、自分の体であって体ではないものである。だが、魂では負担が大きすぎるというのが、一つの意見だ。

 だから、俺はその欠点を失くそうと改良を重ねた。結果、自分と魂のつながりが深いものであれば、ほぼ無尽蔵に魔力を引き出すことができる魔法へと変化していた。この変化のおかげで、ほぼ自分にはノーダメージで深淵魔法を行使することができるようになった。

 基本の五属性と深淵魔法の複合魔法。それが、一つ出来た。それは、炎魔法との複合であった。魔法術式としては、基本の獄炎の術式に深淵魔法の術式を立体魔法陣とすることで、本来できないはずの複合を完成させて見せた。その名は、深淵複合魔法(アビス) 煉獄(れんごく)であった。それは、本来獄炎という炎魔法の術式を、深淵と組み合わせることで火力を数十倍にし、圧縮、複製を繰り返しそれを打った時、それは煉獄にいるような感覚に襲われるので、煉獄と名付けた。これで、神に対する対抗魔法が一つ出来た瞬間であった。

 そして、人生の転機が訪れた。それは、近くの侯爵令嬢、天神朱里と関わるようになったということだ。最初は、ただ顔を合わせるだけ。それも互いに名前も知らない状態であったのだ。俺にとって天神朱里は、‘可愛い’と思えるだけの存在であった。金髪のロングでサファイアのようなひとみ。美しいという言葉が、君のためにあるかのように。

 そして、天神朱里は異世界の人であるということが分かった。なにも、空間魔法の副産物らしい。その魔法の名は転移(ステイサス)であった。それも、新たなる世界との接続を試みたらしい。

 そして、天神朱里と会うことも次第に増えていき、神の対抗策ができたところに、相手の侯爵家からの‘お願い’があった。それは、俺が天神朱里と一緒に魔物(モンスター)を狩りに行くというものだった。それが、厄災の始まりだということも気づかずに・・・・

 近隣の森に<魔境>と呼ばれる、魔物(モンスター)が多くいる森に天神朱里と行くことになっていた。もちろん相手は、侯爵家のご令嬢、家からのボディーガードが二人いる。どちらも、この世界では珍しい、神聖騎士クラス。神聖騎士というのは、騎士の中でも上位に位置するものだけが、手に入れられる称号の一つである。そんな人たちを護衛につけるとは、さすが侯爵家だなぁと感心していた。そして、なぜ俺がここにいるのか、それは一週間前にまでさかのぼる・・・・


 ~一週間前~


 それは、たまたま剣の稽古を家の庭でやっていた時だった。常に天神朱里の護衛だった男ランドが、こちらの剣を見て


「素晴らしい剣の腕ですなぁ~」


 と言った。この男騎士の中でも、団長をしていたくらいには強いらしく、滅多に人を褒めないそうだ。当然、天神朱里も剣の稽古はこのランドにつけてもらっている。だが、ほんとんど褒められたことがなかったらしい。それに朱里は、嫉妬して呼び寄せたということだ。それに朱里は、こちらの世界に来た際大きすぎる力を持ったという。

 その力を制御できたことは、今まで一度も出来なかった。その大きすぎる力は、小さいころからトラブルの元になっていた。そのせいで、意・味・不・明・☆みたいな魔物が自分の周りに集まるということも多くあったそうだ。そのせいで、家族が傷つくこともあったそうだ。そのせいで、一時期は自分の部屋に引きこもっていた時期もあったらしい。

 そのときの天神朱里の心を開いたのもランドであった。そのランドは、朱里とどんどん仲良くなっていき、今では一緒に剣の稽古や魔法の稽古をするほどに仲良くなったそうだ。


 ~天神朱里目線~


 そして、そのランドに褒めてもらい認めてもらえるようになることが、私の目標だった。だが、自分よりも先に褒められた人ができた。それは、朱里にとって好ましくないことであった。だが、認めたくないけれどローグの剣は私から見ても美しいと評価するレベルだった。その剣は、とても自分では再現できない、相手がどれだけ稽古をしてきたのがみて分かると、そう考えていた。そんなときに、<魔境>にいけるという交渉をお父様にして、許可までもらってきた。そこにローグを招待すれば、あいつはこちらに来ざるおえないようにすることで、あいつに私の凄さを見せつけてやろうと考えている。なにも、剣の腕だけがすべてではないということを証明するために・・・・


 ~ローグ目線~


 今の<魔境>が、どれほどのものかは知らないが、神話の時代ではあの有名なケロベロスだの、ドラゴンだの、ホルスだの、意・味・不・明・☆と思うしかないほどに、有名な神話の魔獣がごろごろいた時もあった。その魔獣どもは、神話の時代に恥じない強さを持っていた。まぁ、全て握りつぶしてボコボコのフルボッコにしてやったが。それにしても、こ朱里という女、力をコントロールできないほどの魔力があるのだがそれはおかしい。

 これの魔力量は、()()()では不可能な量。

 それこそ人外のような、強さとスーパーサラブレッドであることが、条件であったはずだ。俺がそうであったように。これほどの量の魔力を維持するのは、いつ滅んでもおかしくない爆弾を身体に抱えているようなものだ。だが、朱里は魔力をまだ不十分であるが使いこなしつつある。今は、まだ魔力をあえて暴走させることで、魔法を行使している。なんだこれは?なんだこの存在は?

 また、解けない問題に直面した。だが、ここで思考をストップした。あることを思い出したから。それは、かつて強すぎた故にできなかったあること。でも、そいつ以外であれば神聖騎士二人で何とかなるであろう。だが、そいつだけは全ての魔物中で別格。

 それは、俺が五百年前にここに封印した神話の魔獣がいるのだから。

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