表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢の処刑人 〜処刑するはずだった悪役令嬢、連れ去ってみた〜  作者: 原案・ショコラパルム 本文・昊シロウ
9/11

番外編 2

異世界恋愛?

読んでいただきありがとうございます。


 「ところでアーサー。お前はどうして強くなりたいんだ?」


 「シェリー」


 「なんだ?」


 「この状況でそんな真剣に聞かれても困る」


 「あぁ。悪い悪い」


 俺はシェリーの力が抜けると、鍔迫り合いの状態から一度距離をとる。

 そしてまた正眼の構えをとるが―――


 「敵から目を離すな」


 「ガッ!」


 腹部に痛みが走った瞬間。世界が反転する。

 俺は20mくらい吹き飛ばされた。


 目を離すなって言っても、お前の動きが見えないんだよ!


 「まだまだだな。だけど今のを防いだのは成長を感じる」


 「……褒めるならもっと手加減してくれ」


 シェリーの弟子になってから約半年。

 俺は今日も気絶した。



 ◇◇◇



 「それじゃあ行ってくる」


 「行ってらっしゃい」


 俺は箒を動かしながらシェリーを見送る。


 シェリーの弟子になってから半年が経つが基本的に訓練は厳しいものだ。

 素振り1万本は当たり前。もちろん打ち合いで気絶なんて当たり前。

 しかし、こんな鞭にも飴がある。


 それが今日みたいな日。

 決まってシェリーは一ヶ月に一回のペースでどこかへと出かける。

 ここ最近はその頻度は多くなっているが。

 そういう日はこうして家事をして過ごしている。


 一度だけ尾行しようしたのだが、本気の殺意を当てられて断念した。

 その後わかったことは「仕事」に行ってるということだけ。

 あの剣の腕でどんな仕事をしているのやら……

 

 俺はふと箒の動きを止める。


 「もう半年も経つのか」



 半年前。俺は最愛の人に必要とされず失意のドン底にいた。

 しかし絶望していたというのに俺は思った。


 彼女は多分貴族だ。国の重要人物になればまた会えるんじゃないか?


 平民出身で剣士である俺が目指すとなると、一つしかない。

 この国最強の剣士に与えられる称号・剣聖。

 身分、出自は一切問われず、ただ求められるのは剣の腕のみ。


 俺は考えがまとまると長年住んでいた町を出た。

 彼女との思い出の地を出ることにもちろん抵抗はあった。

 だけどもう、その彼女もいない。


 俺は最短で強くなるために「魔獣の森」へと向かった。

 「魔獣の森」は魔獣が無限に生み出される魔の森だ。

 本当なら剣の師を探すべきなんだろうけど、生憎と俺にはツテが一切ない。

 これが一番の近道だった。


 俺はがむしゃらに剣を振った。

 湧いてくる魔獣を殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺しまくった。

 でも数日が経った時。唐突に限界が来た。

 人の身体は限界が来ると何も力が入らない。

 俺は死を覚悟した。


 そんな時。シェリーと出会った。



 「素振りするか」


 俺はまた動き出す。

 少し思い出に耽っていたけれどそんな時間はない。

 今はもっと強くなることを考えなければ。


 

 ◇◇◇



 「そこだ!」


 「甘い!」


 俺は一瞬のスキを見つけるとそこに剣を滑り込ませる。

 これはシェリーが誘導したフェイントではなく本当のスキ。

 半年前なら見つけることもできなかった彼女の動きのクセ。


 しかし、そんな渾身の一撃もシェリーに剣で防がれる。


 それでも体勢を崩すことに成功した。

 完璧なタイミングで迷わず俺は剣を彼女の首筋に向かって下ろす。

 彼女の剣はそれを防ぐことはなかった。


 「まいった」


 「ハァ−。ハァ−」


 俺は剣を落とすと大の字に倒れ込む。

 シェリーの弟子になってからもうすぐ一年。

 ようやく俺は一本をとることができた。


 「それにしても一年で私から一本とるか。才能はあると感じていたが……」


 シェリーは悔しそうに、でも嬉しそうな表情でそう言った。


 それから俺達は訓練を続け夜になった。

 その日の夕飯は御馳走だった。


 「あっ!そういえば言い忘れてたな」


 「ん?なんだ?」


 「明日はちょっとだけ帰りが遅くなるかもしれん」


 いつになく真剣な表情でシェリーは言った。

 心なしか少し殺気も漏れている。


 「いいか。アーサー。私が帰ってこなくても、いい子にして待っていろよ」


 「俺は子供じゃない」


 「そうか」


 シェリーは微笑みながら俺の頭を撫でた。

 俺は少しそのシェリーの様子に違和感を感じた。



 そして次の日。

 シェリーは夜になっても帰って来なかった。



 

 

次で終わる予定になっているので評価とブクマのほうお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ