表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢の処刑人 〜処刑するはずだった悪役令嬢、連れ去ってみた〜  作者: 原案・ショコラパルム 本文・昊シロウ
2/11

前編 2ー2

読んでいただきありがとうございます。


 「おい。そろそろだ」


 私を監視していた衛兵が牢の外から声を掛けてくる。

 鍵を外し、外への小さな扉が開かれる。


 あのパーティーから一週間が経った。

 私は、エルドワース公爵家を追放された。

 それも当然だ。

 なんといっても王太子との婚約破棄に加え、あまつさえ王太子を暗殺しようとした。と、いう話が父の耳に入ったからだ。

 

 父は私の話しを聞いてはくれなかった。

 『大罪人の娘は我が家にはいない』と言われた。

 母はもう亡くなっていて、姉弟もいない私はこれで唯一味方だった人間も失った。

 正真正銘一人になってしまった。


 牢を出る時、衛兵から話しかけられる。


 「安心しな。処刑人はあの「涙の道化(ティア)」って話だ。死んだことにすら気づかない」


 「涙の道化(ティア)?」


 「なんだ知らないのか?涙の道化(ティア)ってのはこの国最高の処刑人と言われている男だ。三年前くらいか?突然現れて、一年のうちに百人以上殺った処刑人だ。何でも。殺される奴は苦痛すら感じんらしい」


 衛兵はそれだけ言うと、私を処刑台へと連れて行く。

 処刑は公衆の目の前で行われるらしい。

 いかにもあの王太子が考えそうなことだ。


 外へと続く通路を歩いていると心臓の音が聞こえてきた。

 牢の中で覚悟は決めていたはずなのに・・・

 なんて情けない。

 私は震える手を握りしめる。


 外の明かりが見えてきた時。目隠しがつけられる。

 ここからは処刑のときまで外を見ることができない。

 

 ゆっくり、ゆっくりと進む。

 だんだんと人の気配を多く感じるようになってきた。

 罵声が飛び交っている。

 

 処刑台に着いたのだろう。

 私は衛兵の案内に従って、段を登っていく。

 そして座らせられる。

 それと同時に目隠しが取られた。


 光が目に入ってくる。

 辺りを見てみると、民衆はもちろん。殿下やラティニアの姿もあった。しかも、護衛に近衛騎士団も引き連れている。

 私は下を向く。

 すべてを諦めた今、今更殿下とラティニアに怒りが湧いてきた。

 しかし、もう何もかも手遅れだ。

 

 早く私を殺してくれ。


 そう思ったときだった。

 前方に人の気配を感じた。

 私は再び顔を上げる。

 そこには一人の青年が立っていた。

 処刑人は処刑のときは斧で行うのが一般的だ。しかし、彼は斧を持っていなかった。

 その代わり持っていたのは一本の剣だった。


 私はさらに視線を上げ―――目を見開いて固まった。


 「・・・・・・・・・え?」


 そこには見覚えのある仮面があった。



 ◇◇◇



 俺はエルミナ嬢の前まで来ると立ち止まった。

 後は、合図と同時に首を落とすだけだ。

 そう思っていた時。

 エルミナ嬢が突然顔を上げた。

 それはとても美しい顔だった。

 傷んでしまっているが元はとても艶があったであろう金色の髪。

 光を失ってなお、綺麗な蒼色の瞳。

 しかし、おかしい。


 「・・・・・・・・・ん?」


 この顔。どこかで見覚えが・・・・・


 「アーサー?」


 「!」


 この女。なんで俺の本名を知っているんだ?


 それを知っているのは国王と騎士団の上層部と昔遊んだ女の子ぐらいのはずだが・・・・・・え?


 「エル・・・・・なのか?」


 「そっちこそ・・・・・アーサーなの?」


 確かに目の前の少女には昔の面影があった。

 俺が初恋をしたエルの面影が。



ここまで読んでいただきありがとうございます。

面白い・続きが気になるといった方は評価とブクマのほうよろしくお願いします。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ