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9話 みんなで踊れば楽しいんじゃ!

「ええかアリア。今からワシらで踊るぞ」


「ええっ!?」


「おみゃあもこれ以上舐められとったらいかんじゃろ」


「で、でも私、踊れません……」


 そんな自信なさそうな顔すんなや、アリア。


「大丈夫じゃ。こういうんは勢いで何とかなるもんじゃ」


「そ、そんな簡単に行きませんよぉ……」


「じゃかあしい。もう腹ぁくくれ。音楽に合わせてノリで踊るだけじゃ」


 周りの注目がこっちに集まっとる。ええぞええぞ、こうでなきゃ意味がねぇ。


 確かこの辺に……、あった、さっきの授業で使うた杖じゃ。


「お、おい! フレデリカ様がこんなところで魔法を使おうとしてるぞ!」


「フレデリカ様のことだ、大暴れするに違いない!」


 よし、杖の先が光ったから、あとは文字を書くだけじゃ。


ーーEDM


 良しっと。…………おお! どこからともなく電子音が聞こえてきおったぞ! これじゃこれ。


「な、なんだなんだ!?」


「聞いたこともない音色の音楽が、突然流れ出したぞ!」


「フレデリカ様がやったのか!?」


「あ、でもなんだか凄く良い音楽かも」


 おうおう、周りも騒がしくなってきおった。ええぞええぞ、なんか昔を思い出したのぉ。あれは初めて遙香に誘われてクラブっちゅうとこに行ったんじゃったな。




「のお、遙香。ワシゃそがぁな俗っぽいとこ行きたぁなぁぞ。ワシらは男どもにも負けねぇレディースやってるんじゃ。そがぁなかっこ悪いことできゃあせんぞ」


「まあまあええから。たのしいけぇいこうや。きっと見え方がかわるけぇさ」


 まあ遙香が言うけぇ、しゃーねぇな。行ったるかぁ。


 遙香はワシと同じレディースチームじゃが、ワシのことか怖がったり忠犬みてぇに接してくるんじゃなく、ほんとに昔からのダチみてぇにワシに絡んできよるけぇ、まあ付き合いは昔からあるが、なんか落ち着くんよなぁ。


「ついたで。ほら、早うはいろ!」


「分かったけぇ、引っ張るな!」


 遙香が扉を開いて、ワシを引っ張って中に飛び込んでいった。


「おお…………」


 感動じゃった。軽快な音楽に客と台上のヤツの熱量。こんな場所があるなんて思いもよらなんだ。


「ほら、早うおどろ!」


「お、踊る? ワシゃダンスなんか分からんぞ」


「え? 君たち初めてなの?」


「あ、この人死魔李巣の総長の人だ!」


 ほらの。ワシらはカタギじゃにぁんじゃ。素性がわかりゃあすぐ怖がられる。


「ここじゃそんなん関係にゃあわ! ほら、総長さんも楽しんで!」


 もう一つ驚きじゃった。ここじゃあみんな等しく楽しめる、総長もなんも関係にゃあんじゃな!


「……ええとこじゃな、ここは!」


「じゃろ?」


 遙香はワシにニコッと笑うと、集団に混じって踊りに行ってしもうた。


「ほんならワシも楽しまんといかんのぉ。見とれやおどれらぁ!」




 あんときゃ楽しかった。こう、自然と体が動く感じ。


「おお! フレデリカ様が踊り始めたぞ!」


「見たこともない変なダンスですけど、凄いキレと音楽にマッチした激しい振り付け。フレデリカ様、かっこいいですわ!!」


 アリアが固まってしもうとるな。どれ、ちと助けちゃるか。


「アリア。なんでもええ。このリズムに乗って好きに体動かしゃあええ。それっぽく見えるし、何より楽しいぞ?」


「は、はい!」


 アリアも見よう見まねで体を動かし始めた。…………中々ええ感じになってきたな。アリアも楽しくなってアグレッシブになってきたわい。


「今ここに身分も出身も無い! おどれら好きに踊れ! 楽しめ!」


 みんなも体を動かし始めて、そんですぐに会場はクラブと化したんじゃ。ええぞ、楽しゅうなってきたな!

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