8話 またアリアいびりじゃ……
アスランの挨拶が済んでから、パーティーは始まった。見た感じちまちま外側で飯食って、真ん中で踊るんがメインイベントっぽいな。
にしてもあの4人はモテモテじゃのぉ。もう取っ替え引っ替えじゃ。
「こんな事になるとは……。ワシ飯食いにきただけじゃ……」
「フレデリカ様は踊らないのですか?」
……踊り、ダンスか。死ぬ前までブレイクダンスとかフリースタイルとか練習しとったくらいじゃのぉ。やっぱカッケェけぇのぉ、みんな凄い練習したもんじゃ。
「うーん、ワシはああいう踊りは得意じゃにゃあわ。アリアこそ踊ってきたらええ」
「私もそういった心得はないので……」
こういうのは貴族しか習わんのか。
「あれぇ? アリアじゃない? なんで農民風情がパーティーに来てるのかしら。おだれもしないくせに」
げっ、またコイツらか。
「なんじゃおみゃあら、暇なんか。踊りたいなら踊ってくりゃあええやんか」
「でもアリアの為にパーティーのことは言わないであげておいたのに、なんで来たの? 惨めになるだけなのに。フレデリカ様も、アリアなんかに付き合わなくてもいいんですのよ? いつからそんなにお人好しになったのか知りませんが」
コイツ、話聞いとらんぞ。殴ったろか。
「そもそもよ、ワシらはここに飯食いにくるんじゃから、パーティーのこと知らなくてもここに来るじゃろうが。……ワシらのことはほっといとくれ、飯食ったら帰るから」
不良のワシがいうのもあれじゃが、こういうヤベェ奴には関わらんのが吉じゃ。一応ワシもいまは貴族じゃから、こんなんとこで堂々とボコすわけにもいかんし。
「君たち。フレデリカに対する態度が不適切ではないかな?」
今度はアスランじゃ。さっき見たぞコレ。
「フレデリカはガイア達と同じ公爵貴族の令嬢だぞ。今の言動は不敬だ。これ以上続ける様ならそれなりの処置をさせてもらおう」
「よぉフレデリカ。おまえまた誰かいじめてんのか? って、こりゃあ驚いた。今回は逆か」
ガイアか。コイツもワシのこと舐めとんなぁ。
「なんじゃおどりゃあ。なめとんのか表出ろやぶちまわしたr」
「フレデリカ様、落ち着いてください!」
アリアがワシを止めてくれた。いかんな、冷静に冷静に。
なんじゃ、ガイアのやつハトが豆鉄砲食らった見てぇな顔しとるぞ。ウケる。
「えっ、ど、どうした? フレデリカ。おまえそんな話し方じゃなかっただろ」
「じゃかあしゃあ。ワシはもうワシらしく生きていくんじゃ。文句あっか?」
「い、いやないが」
「ですが急に変わりましたね。フレデリカ」
セシルか。そんなんほっといてくれや。
「アリアちゃんも、パーティー楽しんでね? フレデリカは、暴れないでよね」
おいマルクス、なんでワシだけ呼び捨てなんじゃコラ。
てか全員集合じゃねぇか。なんでこっちくるんじゃ目立ってしゃーないからヤメロォ!
「しゃらくせぇなぁ! そもそもよ、なんでアリアがこんなやられにゃいかんのじゃ! 楽しいんかおどれら! みっともない」
「フレデリカ、口が悪い、言い過ぎだぞ」
「言い過ぎなもんか。おどれらも思わんのか?」
「それはそうだが……」
「なんじゃ、思うだけでなんもせんのか。小さい男じゃのぉ。キンマタついたんのかおどれら」
お、こいつら明らかにちょっとキレた顔したな。じゃがワシやアリアの方がもっと腹立っとんじゃ!
「いい加減にしろ、流石に言葉遣いが荒すぎるぞ」
「もおええわ。おみゃあらには頼らん。ワシがやる」
アリアの手を引っ張って、ワシは中央のダンススペースのど真ん中にたった。
「見とれよおどれら! 根性見せたらぁ!!!」