7話 いきなりパーティーとかわやじゃ!
よーやっと寮に帰ってきたわ。寒ぃし早う着替えよ。
「フレデリカ様。このあと食事に参りませんか?」
アリアがそう提案してきた。そういやもう夕飯時のええ時間じゃ。
「ええぞ。着替えたら行こうや」
腹減ったし、早う飯くいてぇのぉ。
「おいアリア。そんな急くなや。ワシゃあ急いどらんから」
「キャアッ!!」
言わんこっちゃねぇ! 下を脱ぐときに躓いとるがな。
こりぁ間に合うかッ!?
「おぉう、ナイスキャッチ……」
なんとか手ェ届いたわ。アリアが顔面からこけずに済んだ。
「あ、ありがとうございますぅ…………」
「そんなんええよ。危なぁけぇゆっくりやれや」
……なんじゃコイツ。一向にワシに支えられたまま立ち上がらんの。顔赤いし、なんかあったんかの。
「おい、早う立てぃ。それともなんじゃ、調子悪いんか?」
「ご、ごめんなさい!」
今度は大慌てで立ち上がってワシから離れた。急くな言うとろぉに。
………………っし。やっと乾いた服に着替えれたわ。ガチで魔法は危なぁわ。肝に銘じとこう。
「んじゃ、いこか」
「はい!」
ワシらは食堂へ向こうた。
…………待てや。なんじゃこの食堂は。わやじゃ。なんかこう、ギラギラしとる。朝と昼はこんなんやなかったじゃろ。
「なんじゃこりやぁ……」
「わ、わかりません。なにかのお祭りでしょうか」
祭りか。確かにそんな気ぃするわ。飯も豪華じゃが、まず席の配置が違う。部屋の中をぐるっと囲う様に置いてあって、真ん中は広いスペースになっとる。あとは櫓がありぁあ完璧じゃのぉ。そういや祭りといえば、とうかさん祭り(広島の有名な祭り)でワシにガン飛ばしてきよったダサいリーゼントのヤンキーがおったが、元気にやっとるやろか。なんせ半殺しじゃ済まんくらいにしてやったからのぉ。
んなこたぁどうでもええわな。にしてもなんの祭りじゃろ。
「あ、あそこ見てください」
アリアに言われた方を見る。ほんまじゃ。誰か入ってきた。いや、他の生徒も続々と入ってきとるからそんな珍しいことじゃにゃあが。じゃがそいつだけ服装が生徒とちゃう、なんか、タキシード? ちゅうんやっけ、あれ着とる。
「皆さまお待たせしました!」
待っとらんわ。いや、飯は待っとったわ。はよ飯出せや。
「これより、アスラン様主催、新入生歓迎パーティーを開催いたします!」
…………は? 聞いとらんぞそんなん。
「それでは、主催者であるアスラン様、そして公爵貴族様のご入場です!」
貴族じゃあ? なんじゃそんなもん名乗りあって生意気なやつじゃのぉ、ってワシもか。てかこうしゃくってなんじゃ?
「きゃあああああ!!」
「アスラン様ァ!!!!」
ぶち人気やん。まあ悪りぃやつじゃ無いが、すましとんが気に入らん。
「人気だな、アスラン」
「そんなことはない。茶化すな、ガイア」
「パーティーですか、私にとって有意義な時間になるといいのですが。そう思いませんか、マルクス」
「もぉ、お堅いなーセシルは。マルちゃんはすっごくたのしみだよー?」
おぉ……。よくもまあ顔の良い優男をこんなに集められるもんやのぉ。あ、そういやここゲームの世界じゃったわ。
確かガイアとマルクスとセシルは貴族で、ガイアはちょっとワシら側っぽいヤツ、セシルは頭いいことにドヤ顔しとるワシの嫌いなタイプのヤツ、マルクスは誰に受けるんか分からんが、ちっこいガキみたいなヤツじゃ。
いきなりパーティーだとか優男4人組出てくるとかわやじゃなこれ。そもそもなんで教えてくれんかったんじゃろうか……。