5話 ワシも魔法が撃ちたいんじゃ!
ワシらは、校庭? に集められた。……校庭でええんよな。ぶち広いけぇ当っとるか不安になるわ。なんでも1日じゃ端まで辿り着けんらしい。
その校庭の一角に集められたわけじゃが、そこで先公が魔法の説明をしょーる。
「魔法とは、自分の体の中にある魔力をあらゆる事象へ変換する技術です。いまからそれを見せますね」
あ? なんかよう分からん事言うとるなコイツ。まあ今からなんか見せてくれるってのはわかったけど。
先公は30センチくらいの棒を取り出して、なんかブツブツ言い始めた。
……アホじゃコイツ。ワシこう言うの知っとるで、厨二病って言うんじゃろ。いい年こいたオッサンがなにしょーんじゃ。
……待てや。アイツの棒の先が光っとる。どう言うマジックじゃありゃあ。
今度はそれ使うてなんかよう分からん文字を書き始めた。全く読めん。教科書に載っとる文字じゃ無いから、この国のモンじゃねぇな。
「詠唱が終わりました。あとは気合を入れて撃つだけです。ハッ!」
オイオイオイマジか。何もないとこから火が出よった。わやじゃもう。
「このように撃ちます。ではやって見ましょうか」
やって見ましょうか。じゃねえんだわ。ワシやり方分からんて。
え?みんななんで知っとるんや。しらんのワシだけか?
「あ、あの先生。私魔法が初めてで。詳しいやり方を教えていただけませんか?」
よっしでかした! アリアは魔法を知らん! コレであとは盗み聞きすりゃ完璧よ。
「そうでしたね。皆さんは小さい頃からそういう教育を受けて来られたようですが、農民上がりのあなたは知りませんよね。フレデリカ様……に教えてもらうのはフレデリカ様に失礼ですので、仕方ありませんが私が教えましょう」
結構な言われようで腹立つが、そのままにしておこう。じゃないとワシが盗み聞き出来んからの。すまんな、アリア。
「まず、魔力を高めてみましょう。体の中にエネルギーがあると思って、それを杖の先に集中させます」
ほー、なるほど。じゃが聞くのはらくじゃけどやるんはいたしいじゃろ。
集中集中。こういうんは気合いじゃ。
「で、出来ました!」
「当然です。ほらフレデリカ様のを見てみなさい。皆さんも。この魔力量、光具合、才能の塊です!」
おっしゃ! 出たぞ出たぞ! なんじゃ案外チョロいわ。
「では魔法記号を使って実際に魔法を撃ってみましょう。文字を書くだけでそれに反応して魔法が出ます」
「あの、普段使っている文字ではダメなのですか?」
「そんなもの使えば相手に何の魔法を使うかバラしているようなものです。文字が分からないのでしたら、一つ教えますのでそれを使いなさい。後は自分で覚える事」
文字か、ワシも分からんぞ。じゃが相手にわからんかったら何でもええんじゃな。……こいつら日本語分からんじゃろ。まあ異国じゃし当然じゃろう。じゃけぇコレ使うたらいけるじゃろ。
昔当て字に凝っとったけぇ漢字はよう知っとる。うーむ、しかし何がええかの。あれにしよか。ここに書いて、と。
ーー獄倒火
よしっと。ごくとうか。ワシが良く食ってたカップラーメンの名前じゃ。ぶち辛いんじゃけどそれが病みつきになるんじゃ。死ぬ前にちゃんと店で食いたかったのぉ。
ま、後は気合いで出すじゃったな。
「シャア!」
「え?」
「に、逃げろぉ!」
うそじゃろ……。周りが火の海じゃ…………。
「素晴らしい! 何という才能の塊ッ!」
そんな事言うとる場合ちゃうやろ先公!
なんか火ぃ消せるやつ出さな。
ーー超豪雨
コレでどうじゃあ!
結局、火は消えた。じゃがワシが降らせた豪雨で何もかんも水浸しじゃ。やりすぎたわコレ。
まあ、先公や他の奴ら、特にアリアが何故か凄い凄いって大喜びしとるし、ええんかな?
しかし良う考えて書かんといけんわ。最悪死ぬ。
にしてもワシが魔法使うことになるとは、ええもんじゃの! 族の奴らに自慢してやりてぇな!