4話 アリアはいい子じゃ
あー、ぶち寝みぃ。授業受けよう思ってたけど、これはやばいわ。昼飯で腹が太っとるけぇ、クソ寝みぃわ。
隣のアリアはお行儀良く授業受けとるな。すげぇわ。
そもそもワシが居ったとこは教室がうるさくてわやくそじゃったけぇ、こげーに静かじゃったらそりゃ寝みくもなるわ。
……いかんいかん、ちゃんとせんとな。一応ワシは、今はフレデリカじゃけぇ。まあ、大分やらかしてもうとるし、もう無理な気ーするけど、じゃけど出来るところはちゃんとやらないけんわな。
「~~であるからして。ここはこうなるわけですね」
教壇でジジイが何か言おるけど、さっぱり分からんわ。最初にこの国の歴史が云々かんぬんって言おたのは聞いとったが、ワシはこの国に初めて来た訳じゃけぇ、分からんのもとうぜんよな。
あーいかん、意識が遠のくわ。寝みすぎ…………る……。
おっ!!! 寝とったわ。あーやってしもうた。寝てしもうたわ。
「あ、あの。お疲れですか、フレデリカ様?」
アリアがワシの顔色を伺うようにワシの顔を見ちょる。こいつが席を立ってて、ワシに話しかけてきたって事は、授業終わったってことか。
マジか……。ワシ、授業ほぼ寝とったって事か。
「あーいや。ワシこういうの苦手なんじゃ。ついつい眠うなってしまうんよ」
アリアはなんか安心したみたいじゃ。そんな顔しとるがどういうことじゃろ。
「そうですか。良かったです。ところでなんですけど。あ、あのですね、お聞きしたい事がありまして……」
お? ワシに聞きたいことか。なんじゃろ。
「なんじゃ。言うてみぃ」
「あ、あの。失礼を承知でお聞きしますが、その独特な話し方はどういったものなのかなーと……。す、すみません! やっぱり失礼でしたよね……」
なる程。ワシのしゃべり方が気になっとったんか。そういえばアリアの前ではいつものしゃべり方じゃったな。まあ目の前で方言でまくし立ててしもうたから隠す理由が無くなったってのがあるけぇなあ。
「不快か?」
「いいいいいいえ滅相も無いです! ただ聞いたことの無い話し方だったので、つい気になってしまって……」
「ええよええよ。アリアには話してもええかもしれん。ワシはこの世界とは別の所から来たんだわ。で、ついつい前に住んでいたとこの訛りがぬけんでのぉ。ってまあ、信じられんか」
アリアは少し複雑そうな表情をしとったが、すぐにワシに笑顔を向けてきた。
「にわかには信じがたいですけど……。ですが、農民上がりの私と仲良くしてくださる優しいお方なのだと言うことは分かります」
な、なんじゃこいつ……。こうも抵抗なくこそばゆいことツラツラ言いおって……。
「お、おう。分かった」
なんじゃこいつ……。真っ直ぐないい子ちゃん過ぎるじゃろ。まあ、ゲームのメインヒロインじゃし、当然ちゃぁ当然じゃけど。いかん、いい子すぎて眩いわ。
「気持ちはうれしいわ。おのれはワシの友達じゃけぇの、なんか困った事あったら言えよ」
アリアは「はい!」って元気よく返事して、笑顔をむけてきよる。……眩い。擦れとるワシには眩すぎじゃ。
「そういえば、この後魔法の実習ですよね。行きましょう!」
アリアはそういってワシの手を引っ張る。……急に馴れ馴れしいのぉ。まあ悪い気はせんがの。
って次魔法の実習じゃと。魔法なんか使うたこと無いぞ……。な、なんとかなるとええけど……。