14話 器は広くじゃ!
町の散策も楽しいもんじゃ。前世は喧嘩ばっかしとってこんなゆっくりしとらんかったもんなぁ。
アリアも楽しそうじゃな。ええことじゃ。
「フレデリカ様! 次はあちらへ行きましょう! ……すみません、はしゃいでしまって、出過ぎたことを」
「ええよええよ。ほいじゃあ、そこ行こか」
まだ申し訳なさそうにしちょるが、まあマシになったの。ちゃんとやりたいことを言うてくれとる。ワシらはダチじゃからな、遠慮は寧ろ失礼じゃけぇ。
「アスラン達もそれでええかの?」
「ああ、構わないよ。みんなはどうかな」
「俺も良いぜ」
「私はアスランが良いのでしたら」
「マルちゃんの好きなものはあるかなぁ?」
こいつらワシらに合わせてくれとる感じじゃな。楽しめとんかな。
「なんかワシらばっか好きなとこ行ってしもうてすまんのぉ」
「構わないよ。僕たちも楽しいから」
うーむ、いちいち立ち回りがええ男じゃのぉ。遙香が好きになるのもまあわからんでも無いの。
「ほいじゃあ、あの店行ってみるかのぉ」
「こ、困りますお客様!」
なんじゃ? ワシらが行こうとしとる店から、よからぬ声が聞こえてきよったが。
「うるさいぞ! 俺は貴族だ! 逆らったらどうなるかわかってるのか!」
うーむ。見た感じ店の中で暴れてるっぽいのぉ。
「あ、あの。私は別のとこでも」
「ここにするぞ」
はぁ、どこにもこういうどうしようもないのはおるんじゃのぉ。
「あ、申し訳ありませんお客さま! いま立て込んでおりまして」
「ええよええよ。勝手に見によるから」
ほぉ、綺麗なネックレスじゃのぉ。じゃが、ワシこういうのは全く触れてこんかったからわからんわぃ。
「フレデリカはこういうのが好きなのかい?」
「え? いや、まぁ綺麗じゃとは思うが」
「おやめくださいお客さま!!」
うーむ、やかましいのぉ。腹ぁ立ってきた。
「僕がプレゼントしてあげ」
「おい、おどりゃあうるしゃあのぉ。店んなかじゃ、もうちぃと静かにせんか」
…………なんでアスランがシュンとしとるんじゃ。
「ああ? うるせえよ……ってフレデリカ様! アスラン様も!!?」
「あみゃあなぁ。ワシら貴族は偉いからって威張り散らしてええもんじゃにぁあぞ。仮にも人の上に立つ人間なら、それぐれぇの器を持たんかい」
「す、すみませんでしたぁ!!」
あいつ慌てて逃げおった。まあ、コレでしずかになったのぉ。
「す、素晴らしいです、フレデリカ様!」
「まさか君があんなことを言うとは。いや、別に馬鹿にしているわけでは無いのだが。だが今の君が言うとすごく説得力がある」
な、なんじゃ? みんなしてなんなんじゃ?
「よ、よぉわからんが。にしてもここはええもん置いとるな。のぉ、アリア?」
「そ、そうですね! あ、コレなんかフレデリカ様に似合いそうです!」
アリアは青い宝石のついたネックレスを手にとりワシに持ってきた。
「ほお、綺麗じゃのぉ」
「ですよね!」
アリアが楽しそうに笑う。うん、やっぱりダチと遊ぶんは楽しいの!
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