13話 知る人ぞ知る飯屋は絶対美味いんじゃ!
町は賑やかじゃ。どんくらいかって言ったら、福山(広島県東部にある)市くらいじゃな。
じゃがなんかへんじゃな。
「なんでこん町の奴らはワシらを見るとよそよそしくなるんじゃ?」
「これも問題の一つでね。ここに遊びにくる貴族の態度が悪いという声がたくさん上がっているんだ。学校が休日になるたびに貴族が町でめちゃくちゃなことをするから、いつしかこうして家族を見るたびにああいう態度を向けられる様になったんだ」
こん国のボンボンは性根が腐っとる奴しかおらんのか。
「ひでぇのお。ワシに気をつけろつったのはこういうことか」
「ぐううううううう」
腹ん音がしたな。アリアの慌てっぷりを見るに、そういうことか。
「なんか食うか、アリア」
「い、いえその。あの…………ごめんなさい」
「ええんじゃ。ワシも腹ぁへったわ」
どっかええ飯屋はねぇかの。
「ここなんかええんじゃねぇか?」
結構老舗っぽいみためじゃが、こういうとこが美味いんだよな。
「もっと綺麗なところもあるんだぞ?」
「高級レストランとかねー」
「わかっとらんなぁ、ガイア、マルクス。こういうちぃーっと小汚いところが、ぶちうまかったりすんだよ。それに、アリアもたまにはこういう庶民的な飯食いたいじゃろ?」
「わ、私はその」
「ええから入るぞ! ごめんくださーい!」
中ではおっちゃんとおばちゃんが2人で切り盛りしておった。いよいよ雰囲気でてきたなぁ!
「いらっしゃい。って、お貴族様がなんでこんな店に」
「おっちゃん! ワシらになんか食わしてくれや」
「随分変な喋り方をするんだな。だが、うちの店はお貴族様の舌に合う様な高級なものはだせないぞ」
「おっちゃんの飯が食いたいんじゃ! おい、おみゃあらも座れ座れ!」
「…………そこまでいうのなら。ちょっと待ってろ」
おっちゃんが料理し始めた。皆んなも座ってそれを待っとる。ん〜〜、ええ匂いがしてきたのぉ。
「おまちどう」
出てきたのは、……なんて名前じゃったかのぉ。とにかく、パスタじゃパスタ。しかも高い飯みたいにちんまりしとんじゃなく、大盛りじゃ。こういうんをまっとったんじゃ!
「なにしょんな。早う食え!」
一口とって一気に口へ持ってく! ……思ったとおりじゃ、ぶちくそうめぇ!
アリアは嬉しそうにモリモリ食っとる。アスラン達も恐る恐る口に入れた。
「……美味しい」
「本当ですね」
「ああ! 美味いぜこれ!」
「すっごーい美味しいね!」
気に入ったみたいじゃな。
「シェフ、一体何が入っているのですか?」
「シェフなんて大層なもんじゃ無いし、入ってるもんもそんな凄いもんじゃ無い、……ってあ、アスラン様?!」
おっちゃんがアスランに気づいて慌て出した。
「やばいかこれ……。おれ、アスラン様にパスタ食べさせてしまった……」
「そう怯えないでくれ。この料理、とても美味だった。ありがとう」
「アスラン。このパスタには特別なもんが入っとるんじゃ。それは材料とかじゃねぇ。おっちゃんの料理への情熱と愛情じゃ。これが料理を一番美味くすんじゃ」
あ、おっちゃんが泣き始めてしもうた。まずいこといったかのぉ。
あの後、皆んなぺろっと平らげてしもうた。まあ、美味かったし、当然よな。
「きて良かった。こんなに美味しい料理屋があったとは。特別な食材を用いて無いというのもとても興味深い」
「じゃろ? あそこの他にも、料理に魂込めとる店はたっくさんあるけぇ、飯屋巡りはやめられんのじゃ」
はあ、いい昼飯になったのぉ。さて、こん調子で周るかの!




