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失われていく自分の世界  作者: 糸守 朱知。
メギド胎動編
194/198

194.地図から国が一つ消えた日

よろしくお願いします。

各国の代表が集まる天幕を抜けてハインケルは軽くため息を吐く。ギルド長として長年ウキトスの街で暮らしているが、今回のような出来事は後にも先にもない。それほどに荒れていた。10年前の事件の際にも同じようなことを感じていたが、今回はそれ以上の大事だった。中枢たるオルロイが一夜にして消滅し、その原因は不明。時を同じくしてロク商議会の長たち大半とは連絡が取れず、生存が確認できているのはパーレルムとガンテストの二人。3国が来た際に対応するにしても長が1名不足していたことにより、ハインケルに白羽の矢が立てられた。そして備えていた通りに3国はほとんど時を同じくして都市国家連合国に軍を率いてやってきた。


決定権がないということでここまで相手の発言を適当に流してきたものの相手の思惑を読み取ることくらいはできる。都市国家連合という国がなくなるのではないかという感覚を得ていた。


天幕から自分を心配してついて来てくれたギルド職員と冒険者たちの集団に向かう。


メルラをはじめとしたギルド職員たちがハインケルを視認すると手を振ってくれる。ハインケルはその集団に向かっていく。その集団には冒険者パーティも数組おり、Aランク冒険者パーティ、ハーモニーのイーリもいた。ハーモニーは冒険者が複数名同時脱退をしたそうでパーティとしての体裁を保てているかは置いておいてもAランク冒険者パーティとして認められている。それほどにイーリの力は強大だった。


ハインケルも都市国家連合国に長年暮らしていたため愛着はある。10年前のウキトスが最盛を誇った時代であれば冒険者の街としてウキトスだけは独立させようと、今回の話し合いは躍起になっていたはずだ。


現にメルラはイーリからそうした行動をする場合に協力すると言質を得ていたようで、今回の会談の前にハインケルは聞いていた。


天幕から職員たちが待つところに向かう最中に周囲を軽く見回す。クティス、オセアニア、クラーヴとどの国も大量の兵士が待機している。とてもイーリ一人でどうにかなる問題ではないとハインケルは考えていた。


だから話し合いにも消極的参加で、解放されれば適当に天幕から出る。そのため、ハインケルのため息は軽いものとなっていた。


「お疲れ様です。ギルド長。話はどうなったんですか?」


「天幕内に各国の代表者が複数いては話が進みにくいということで、私は今戻ってきたところだよ。詳しいことはこれから話し合うようで、私にはわからない。」


ハインケルの回答を受け、質問を投げた職員はより一層不安そうな表情を浮かべる。ハインケルの今回は何もしないという方針はメルラとイーリにしか伝えていない。今、不安な表情を増した職員はハインケルがどうにかしてくれると強く期待していたようだった。


ハインケルは申し訳ないと感じながらも近づいてきたイーリに視線を移す。


「どの方向で話は進みそうだった?」


ギルドと冒険者の関係は雇用窓口と従業員であるが、従業員サイドの言葉使いは大して気にされていない。そのため、イーリがタメ口でハインケルに話かけても不快そうな表情を浮かべる職員は誰もいない。


「そうですね。最初に聞いたクラーヴ王国の要求をオブラートにした感じですね。国を吸収したいけれど、現地まで来ている3国の互いの存在が直接的な要求を封じているみたいです。不幸中の小幸いといった感じでしょうか。」


「話し合いが進まないからという理由で人数を絞った以上、ある程度の結論は出されるだろう。あまり楽観視できる状況ではないと思う。本当にウキトスは都市国家連合の決定に従う、でいいんだな?」


「ええ、そのつもりです。争わないことに越したことはありませんし、3国は3国で世界各国に手を広げているギルドに手出しをすることは難しいでしょうから。こちらから波風立てなければ問題ないかと。」


ハインケルの決断にイーリは否定も肯定もしなかった。話を聞いていたギルド職員の方が何か言いたそうにしていたが、彼らもギルド長の決断には了承したのだろう。これ以上この場で会話が交わされることはなく、一同は天幕の方に視線を向けた。




話が拗れて再び呼び出されるようなことだけは起きないでくれとハインケルは願った。




しかし、そのハインケルの願いは叶えられなかった。




突如、天幕が吹き飛んだ。


砂塵に巻き込まれるのではなく、内側からの衝撃によって。


ウキトス陣営のハインケルたちだけでなく、オセアニア評議国、クティス獣王国、クラーヴ王国、全ての待機する兵士隊は天幕が吹き飛ぶ瞬間を目で見て、音で拾った。


ハインケルの願った厄介ごとの回避はより厄介な問題として降り注ぎそうな予感を彼にさせる。


「イーリさん、天幕の様子を確認しなければいけません。ついてきてもらえませんか?」


「わかった、急ごう。」


二人が少し距離のある天幕に向かって走り始めた瞬間、再び天幕の内側から巨大な攻撃が外側に溢れる。闇属性の魔術にも見えたその攻撃は無数の蠢く生物の集合体にも見えた。



「あれは、、、」




ハインケルがギルド職員やイーリたちと会話していた時の天幕ではガンテストだけが口を引き結び、今後の展開に関して頭を悩ませていた。オセアニア評議国<ズーザメン>代表のロジフェート・パウラの登場によりクティス獣王国とクラーヴ王国の言葉の応酬は止まり、3者で都市国家連合を糾弾する方向に切り替わった。その瞬間からガンテストにできることは何一つなかった。彼はもとよりセキューの長。外交担当のディプロマの長、プロマリアと比べて交渉ごとにおいての実力には雲泥の差がある。ロジフェートが3国間の間を取り持とうと動いた時点でガンテストの、いや、都市国家連合の崩壊は確実のものとなっていた。


項垂れるガンテストを無視して3者はより良い条件を引き出そうと互いに交渉を行ないあっている。戦争や武力衝突になることはないが、互いに互いの足元を見るような際どい交渉を行なっているため、集中は交渉相手に向けられている。項垂れるガンテストのことなど全く視界にはならない。


そのため、この場にいる6人目に対しての認識も声をかけられるまで誰もできなかった。


四獣長ニーニャに実力のお墨付きをもらったアルベルトも、シープエントの護衛として残ったライモンドも反応はできていない。


ただ、見知らぬ声がした瞬間にアルベルトは警戒心をむき出しにして剣の柄に手をかけ、ライモンドは手に力を入れて爪を鋭利な刃物のようにして6人目に向ける。


「珍しいですね。竜人と獣人と人が人をいじめている光景なんて」


ローブを目深にかぶるその侵入者は珍しい光景を見たと穏やかに驚いている。


「何者だ!」

アルベルトは剣を抜いて鋒を侵入者に向ける。


「どうも、お邪魔しています。都市国家連合のオルロイという街に向かっていたんですけど、道に迷ってしまって。ご存知の方はいませんか?それともそんな街の名前はご存知ありませんか?」


「こっちが誰かって聞いてんだ。答えろ」

アルベルトの質問を流して一方的に話を振るローブ姿の侵入者。ライモンドも恐ろしく伸びた鋼鉄の爪で侵入者を指差す。


「私が誰かなんてどうでもいいではありませんか。それよりもオルロイに関してご存知でしたら教えてください。」


アルベルトとライモンドという強者を前にしても、それを気にした様子もなくただ自分の要件を突きつける侵入者。彼自身は侵入したという自覚もなければ、この場にいるものたちを傷つけることもしない。自分が傷つけられる心配すらしていない。


その様子をアルベルトは実力が未知数の不気味な相手と考え慎重に相手の動きを伺う。しかし、ライモンドはおちょくられていると感じ、侵入者の元まで瞬く間に移動すると侵入者の右肩めがけて鋭利な爪で引っ掻いた。否、ライモンドの爪は引っ掻くという優しいものではなかった。切断。そう表現するに相応しいものだった。侵入者の右腕は肩口からスパッという効果音が聞こえるほど綺麗に一刀された。


どさり。


侵入者の右腕が肩口から地面に転がる。そんな音が聞こえるほどにライモンドの爪の攻撃は見るものを戦慄させた。


しかし、切り落ちたかに思えた侵入者の腕はライモンドの爪を綺麗に通しただけで腕が体から落ちることはなかった。ローブは確かに切り込みが入っていたため、侵入者の腕は確実に切断されたはず。それがわずかに黒く変色したかと思えば綺麗な白い肌がローブの内側からわずかに見えるだけで、血が流れることすらなかった。


「突然どうしたんですか?質問に答えてくださいよ」


唖然とするライモンドに話しかけたかと思うと侵入者はライモンドに向かって口を大きく広げていた。獣の本能がひどく警鐘を鳴らす。ライモンドは急いで後方に倒れ込んだ。仰向けになったライモンドの眼前を黒い光線が突き抜けていく。光線は天幕を突き破り、パタパタと霧散していく。


光線の威力に冷や汗をかいたライモンドはローブの侵入者を警戒しながら起き上がり、相手の行動を観察する。相手に攻撃が効かない以上、その仕掛けを理解するまで、こちらから突然攻撃をすることはできないと認識を改める。


「失礼しました。突然攻撃されたもので反撃してしまいました。それで、オルロイに関して何かご存知ですか?」


「オルロイはここだ。」

一連の流れを見ていたアルベルトはまた話が通じないやつがきたと萎えた様子で答える。パーレルムと異なり、今度は口を塞ぐのも一苦労しそうな侵入者。アルベルトはさっさと相手の求めている回答を答えて撤退させようと考える。


「ここがオルロイですか。どうして砂漠に?オルロイは砂漠の街でしたか?」


「それはあなたの仕業ではないのですか。」

さらに質問を投げるローブの侵入者に対してここまで一言も口を開かなかったロジフェートが問いかける。


「私が?」


「ええ、四獣長であるライモンドさんの攻撃を受けても何もダメージを受けず、それどころか反撃まで。もしかしたらこの砂漠を生み出したのがあなたなのではと思っただけです。」


アルベルトとシープエント、それにライモンドはロジフェートの突然の発言に内容を理解できないでいる。


「私にそんな力はありませんよ。それより、この地を砂漠にした者がいるのですか?時間の経過で砂漠になったのではなく?」


「原因はわかりません。突然オルロイは消滅しました。隣国である我々は原因を調べている最中です。もし何か知っているのであれば教えていただきたい。」


「私はオルロイがどこだか知らなかったんですよ、砂漠になった原因など知るわけありませんよ。ですが、まさか。・・・・・。」

先ほどまでつかみどころのない口調をしていた侵入者の声音がわずかに真剣みを帯びた。

最後に口にした言葉は誰に宛てたものでもないため、周囲のものが聞こえる声量ではなかったが、アルベルトとライモンドはこの世界でかなり上位の実力者。侵入者の発言内容は意図せずとも聞こえてしまう。そしてその内容を聞いた二人、表情を変化させた。


「ではなぜ、オルロイを探していたのでしょう。あなたの実力や容貌の不審さから何も関係ないとは思えないのですが」

侵入者の発言が聞こえなかったロジフェートは二人の様子を気にすることなく、質問を続ける。


「どうにもそこの竜人は私が何かを知っていると思っているようですね。そして周りの方々はあなたの思考に理解が追いついていない様子。まぁ別の理由で思考が揺さぶられている人もいるようですが。この砂漠化に関してははあなたが一番情報を握っているようですね。少しついてきてもらえますか」


ローブ姿の侵入者はロジフェートに向かって一直線にかけだす。

理解の追いついていない面々の中でも、さらに余計な発言を聞いてしまったアルベルトがロジフェートの間に割って入り、侵入者と対峙する。


「どうやらオセアニア評議国は我々よりも何か詳しい情報を持っているようだ。話すのであればここで話してもらおうか。」


「竜と獣と人。国と国。情報の大事さを理解しての行動でしたが、そうすると人と竜のあなた方2国の方が私の邪魔をされるのですね。」


ローブ姿の侵入者は再び口を開いた。アルベルトは攻撃が飛んでくると予測して大剣で攻撃を受けようと身構える。そうしなければ背後のロジフェートに攻撃が及んでしまうからだ。


しかし、アルベルトは侵入者の言動にもう少し気を払うべきだった。侵入者はロジフェートと会話をしたがっていた。その相手をわざわざ攻撃するはずがない。


実際、侵入者はアルベルトでもロジフェートでもなく、それどころか誰かに狙いを定めることなく、左斜め上めがけて光線を発射した。


黒くて光線の威力は2度目の方が凄まじく、光線の束になり損ねた力が周囲にばちばちと音と圧力を撒き散らす。光線が収束してようやくアルベルトは動き出すことができた。自分の前に守護のために構えた大剣からわずかに顔を出し、侵入者の様子を伺う。しかし、アルベルトの視線の先には侵入者はいなかった。急いで周囲を見渡し、警戒したが、すぐにロジフェートまでもが消えたことにアルベルトは気が付く。


「ライモンドさん、ロジフェートさんと侵入者がどこに行ったか見ていませんでしたか!?」


「やられた、気がついたらあいつらはいなかった。」


ドゴォォン!!!


天幕の外から何かが地面に力強く叩きつけられる音がした。


「今の音は!?」


「わからない、今は急いで状況を確認するべきだ」


天幕に取り残された3人は急いで外に出た。


天幕の外に出て最初に目についたのは立ち込める砂埃だった。発生源には先ほどアルベルトたちが見失ったローブの侵入者がロジフェートを抱えた状態で地面に倒れ伏していた。


『落雷』


その声が聞こえるとともに、晴れ模様の空から侵入者めがけて稲妻が空から降ってきた。

侵入者はロジフェートを抱えたままその雷を避ける。侵入者はローブに付着した砂埃を軽く手で払う。そして声のした方向に向かって再び暗黒の光線を放つ。それもアルベルトとライモンドに放ったものとは比べるまでもなく高火力なものをタイムラグほとんどなく連射する。


1発、2発、3発、、、、と続け様に光線を放つ勢いでローブは自然とめくれて侵入者の顔が顕になる。侵入者の口からは光線が放たれ続けるため正確な容姿を見たわけではない。それでもこの砂漠地帯には似つかわしくない潤いに満たされた美少年がそこにはいた。アルベルト自身、貴族の出身であり、容姿には自信がある。それでも今、口を大きく開いて光線を放っている彼には劣るような気がしていた。


そんな侵入者は光線を放ち続ける。


威力はもちろんのこと、速度もかなり早く、金獅子騎士団団長のアルベルトも四獣長のライモンドもずっと避け続けることは難しいだろうと感じていた。だからこそ、その攻撃を避け続ける者がいることに驚かされる。


光線に狙われている方は白い狐の仮面をつけて、両腰に剣を携えている小柄な人種。最初の雷はこの白狐の仮面が行った攻撃だろうと侵入者との攻防を見ていたアルベルトとライモンドはあたりをつける。


光線は1発目に打った後、白狐の動きに合わせて次を放っているようで次第に白狐の避ける動作に無理が見え始める。砂漠で隠れる場所もないため動きは読まれやすい。それでも白狐は巧みな足捌きで次弾の光線の着弾位置を誘導していた。それでも時間が経てば動きは大雑把になり、地面を大きく転がり逃げたりと当たるのは時間の問題かに思われた。そしてとうとう白狐の避けた先に光線が間髪入れずに着弾する。


『雷壁』

誰もが攻撃を喰らってしまったと思った次の瞬間、白狐の目の前に四角い壁が現れた。壁は光線が当たっても砕けることなく、バチバチと音をたてながらも光線を防いだ。


『雷速』


侵入者はそのことも予測できていたのか、想定外の盾が現れても光線を放つことを止めなかった。光線を防いだ後、盾から出てきた白狐の動きは先ほどよりも早くなり、光線の狙いも的外れなものが増えていく。


次第に侵入者と白狐の距離が狭まっていく。


「どうしてお前がここにいる?この砂漠化に何か関係があるのか?」

白狐は距離が近づいたら声をかける。この声は周囲に聞こえるほどのものではないため、聞こえたのは侵入者と近くにいたロジフェートくらいだった。


聞こえていた侵入者は白狐の声に返答ではなく、光線を返す。


それでも白狐は冷静に距離を縮めていき、直前に繰り出された光線を直撃スレスレで避けると腹部に一撃攻撃を叩き込む。


『雷掌』


白狐の突き出した掌が侵入者の腹部に触れると遠くにいるものたちにすら聞こえるほどの雷鳴が鳴り響く。当然侵入者は吹き飛ばされるかに思えたが、ライモンドの爪攻撃同様に衣服にダメージは入っていたが侵入者自身には攻撃は聞いていないようで、ただ距離を取られるだけになった。


どちらとも動き出さないまましばらくの時間が過ぎる。その頃には天幕の内側から攻撃が飛んでいったことに気がついている各国の兵士たちが部隊を率いてやってきていた。


兵士たちに囲まれる状態で両者とも動き出しはしない。


そして、何か話した後に侵入者は肩や腹部の破れたローブを脱ぎ捨てる。いつの間にか、どこから取り出したかもわからない新しいローブを頭から被った。すると、不思議なことにローブは地面に吸い寄せられるように形を崩して、侵入者の姿はそのまま消えてしまった。


白狐はその様子を確認すると近くまで来ていたハインケルの元に歩み寄っていく。


アルベルトたちは白狐という実力者が冒険者ギルドにいること、未知の存在が謎の理由を持って行動しているという情報を得た。侵入者にさらわれかけたロジフェートが持っている情報に関しても、これから都市国家連合をそれぞれで分け合うために必要だと感じていた。


アルベルトとシープエントは互いに視線を交わすと無言でロジフェートの元まで向かう。


「ロジフェートさん、ご無事ですか?」


「何があったのかを聞かせてもらいましょうか」


アルベルトが心配している一方でシープエントは早く話を聞きたいようでロジフェートを催促する。


「天幕はすでに壊れている。ここなら他のものに声が漏れることもないだろう。なぜ、攫われた?」


ロジフェートはしばらく思案した後に口を開く。


「これは確定の情報ではありません。ここオルロイが消滅した原因は天災ではなく人災だとオセアニア評議国は断定しています。それもたった一人でここを消滅させたと。侵入者は消滅させた人物を探しているようでした。私がこれ以上の情報を持っていないと知ると簡単に去っていきました。あの白狐に関しては何も知りません。」


原因不明となっていたオルロイ消滅。その原因がたった一人の者が行ったとオセアニア評議国では断定されている。それだけではとても荒唐無稽な話だが、先ほどの侵入者以上の実力があればもしかしたらと思ってしまう。


アルベルトは自分が国内でも上位に入る実力者だという自負がある。だからこそ、ロジフェートからオルロイ消滅の原因が人災と聞けば疑ってかかったに違いない。


そのためロジフェートが黙っていたことも納得できる。信憑性のない情報は情報として価値を持たない。それどころか相手からの信用を失いかねない。そのためロジフェートは話すことができいなかったと考えた。


「問題は先ほど話し合った内容をどうするかですね。侵入者と白狐は何か因縁がありそうだった様子。こちらから手を出さない限りは問題はないとは思います。」


「それにギルドは今回都市国家連合としてではなく、あくまでギルドとして動くとハインケルさんより聞いている。それならば先ほど話し合った条件は何も変える必要はないのでは?」


アルベルトとシープエント、ロジフェートは天幕をぶっ壊され、襲撃を受けたと思わせないほどあっさりと先ほどの話に戻った。


彼らは皆、侵入者も白狐も対応するには自分一人では手に余ることだと判断して、素早く国もとに帰るための連携プレーが始まった。


そうして謎の美少年による襲撃があったものの、3国でのいざこざはなく、むしろ手を取り合って都市国家連合国を解体してしまったのだった。


ありがとうございました。

変則的ではありますが、3章ラストです。

この後は、閑話あげて、まとめて4章に移ります。

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