表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ロレッタ

探偵の告白

作者: うさぎ発表会

「ねえ、わたしもう探偵をやめようと思うの」

「何を言い出すのよ、めい」

 とある山奥の旅館。他でもない探偵の提案した旅行の最中。突然の引退宣言に、助手は戸惑いを隠せない。

「これまで数々の殺人事件を解決し、今や名探偵の地位を確立したのに」

「これ以上はあなたにも迷惑がかかるわ。散々振り回して悪かったわね」

「何を言っているのよ、名探偵めい。やめないで、めい名探偵」

「ごめんなさい。だけど、わたしはこの瞬間をもって、探偵を廃業するわ」

「めいめい……」

「もう続けるのが嫌になったのよ」

「どうしてなの。給料が安いから?」

「いいえ」

「行く先々で必ず殺人が起きることに嫌気が差したから?」

「違うわ」

「まるで死神ねとわたしが吹聴して回ったから?」

「そんなことしてたの」

「いずれにしても突然すぎるわ。そうよ、せめて次の事件を解決してから引退するというのはどうかしら」

 少女探偵は拒んだが、結局は助手の熱意に押され、次の事件で最後となった。

「それにしても、どうして突然やめたくなったの」

「実はわたし、隠してたことがあるの。あなたや世間は、わたしが数々の難事件を卓越した推理力で解決してきた。そう思ってるわよね。でも、違うの。本当は、もっと別の力を使って犯人を言い当てているのよ」

「別の力?」

「ねえ、わたしね。超能力が使えるのよ」

 あまりに突飛な告白に。助手もにわかには信じられない。しかし少女の真っ直ぐな目は、嘘など吐いていないことを証明していた。

「驚いたわ。でも、超能力を使っていようと、事件が解決するならいいじゃない。

 どんな超能力なの。テレパシーで容疑者の思考を覗くのかしら」

「いいえ。わたしに見えるのはもっと別のものよ」

「わかったわ、幽霊が見えるのね。そして被害者の霊から犯人を聞き出すんだわ」

「いいえ、違うわ」

「それなら一体なんなのよ」

「まだ秘密。教えたら探偵を続けられなくなるの。事件を解決したら、教えるわ」



 * * *



「犯人はあなたね」

「そんな、俺の完璧なトリックが見破られるなんて……」

「わたしには全てお見通しなのよ」

 かくして、旅館で起きた殺人事件も見事に解決してみせた。

 最後の仕事を終えた探偵は、永い眠りについた助手に囁く。

「わたしの超能力はね。未来予知なの」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ