第7話 会いたいなぁ
年齢 19歳
技術Lv 1
お腹 ――――●―――――――
喉 ――――――――●―――
体力 ――●―――――――――
ステータス画面を見て若干の安心感を覚える。
体力が下がっているのはロープフック(木製)を投げまくったせいだろう。
お腹のアラームと文字も視界から消えている。
この海藻によってなんとか命の危機は逃れたという事だろう。
吐きそうになりながら海藻を4つも食べたんだ。
そりゃお腹のゲージも膨れてないとやってられないというものだ。
ひとまずある程度ではあるが空腹も収まったのでいつもの休憩タイムに入ろうかと思う。
すでにライフラインは確保した。
もちろんずっと海藻など食べてはいられないがそれでも食べている限り急に死んだりはしないだろう。
焦る必要はない。
なにせこの世界から出る方法なんて見当もつかないし。
戻ったところで何かあるわけじゃない。
すでに太陽は水平線に脚をつけており暗くなるのもすぐだろう。
暗くなればそれだけ行動に危険が付きまとう。
今日はこれで終わり、また明日。
俺は自分に言い聞かせるようにまた眠りに入った。
ーーーーーーーーーー
いつからだろうか、成瀬の顔をまともに見れなくなったのは。
もともとあいつは俺にかまい過ぎるところがあった。
だから正直めんどくさいというフリはよくしていたがかまわれるのは嫌じゃなかった。
性格もよくて美人で周りの評判もいいときた、そんなあいつが俺の隣にいつもいた事をうれしく思っていたはずなのに。
それが当たり前になってきて、ずっと一緒だと思ってて、急に顔を見るだけで恥ずかしくなって。
思春期ってのもあるんだろうけど、たぶんあいつと自分自身を比べてしまう俺の器の小ささが確信的な原因だとは思っている。
ようは完璧すぎる幼馴染を持ってしまったがゆえの葛藤って事だな。
しょーもない。
そういえば小学校の時の運動会で同級生の家族が自分の息子娘を応援してる中、俺の母親は朝から夜までパートでもちろん見にこれない環境だった。
毎度のことだったから特に気にもしてなくて子供ながらに大人って大変だなって思ってたのを覚えてる。
それでも朝早く起きて毎日俺の弁当は作ってくれていた。
大変だったろうな。
べつに友達も少なくなかった俺は、同級生の家族に混ぜてもらって一緒にご飯を食べてたりしたから寂しくもなかった。
ある日、あいつが......成瀬がうちの小学校に転校してきた。
成瀬も俺と同じような境遇だったのかな? あいつから話は聞いたことないけどあいつの家族も運動会に来たことはなかった。
転向したてで友達もいなかった成瀬はその日一人でコンビニのお弁当を食べていた。
別に特別な感情があったわけじゃない。
ただ一人でいたからっていう理由だけだけど俺は成瀬に声をかけて同級生の家族の輪に入れてやった。
初めは緊張してたのか全然話さないやつだったけどあっという間に俺より友達が増えてさ。
笑えるよな。今では俺が輪の外にいるって始末だ。
いやほんと、始末に負えない。
成瀬はその時から家も同じ団地だって事がわかってしょっちゅう遊ぶ仲になった。
あれから数年であんなに女って成長するんだもんな。
俺なんていつまでもガキのまんまだ。
ってまた比べてる俺がいるな。
いかんいかん。
俺があいつにしてやったことなんてそれくらいしか覚えがない。
なのにあいつの笑顔にはいつも救われていた記憶がある。
ちょっとお節介なところもあるけど......
みんなに会いたいなぁ。
母さんに会いたい。
成瀬に会いたいな。