入学式
校門をくぐり、まわりに知り合いがいない
ことを確認すると、体育館に向かう。
案内された席に座り、体育館をぐるりと見渡す。能力の系統に
よって色の違う制服を着た、自分と同い年の新入生が約200人、
話しながら楽しそうに、まわりを見渡して不安そうに、あくび
をしながら退屈そうに、席に座っている。
隣の人は・・・なんとなく見たことがあるような気がした。
多分気のせいだろう。と思うことにする。
「定時になりましたので、これより、王立魔法学校入学式を始
めさせていただきます。司会は、生徒会副会長の月影 宙が務め
させていただきます。」
と言うアナウンスが流れ、入学式が始まった。
「では、生徒会長、お願いします。」
生徒会長。どんな人なのだろうか。
「新入生の皆さん!入学おめでとうございます!」
かなり元気そうな人だ。本当に生徒会長なのだろうか。
「私は生徒会長の宇野 朝陽だ!これから、私達と一緒に学校
生活をエンジョイしよう!」
まさかこんな人でも生徒会長になれるとは・・・
「生徒会長、ありがとうございました。続いては・・・」
生徒会副会長も、大変そうだな。・・と思ったのだった。
生徒会長の衝撃が抜けないまま、
「以上を持ちまして王立魔法学校入学式を終了さ
せていただきます。では、クラス分けに移ります」
とアナウンスが流れた。
「では、新入生の皆さんには、他の新入生の方と戦ってもら
います。制限時間は1時間、場所はこの学校全体です。今から
10分後に始めますので、それまでに学校内に広がってくだ
さい。」
クラス分けって・・・そうやってやるの?
とりあえず体育館を出て、校門まで戻ってみる。
・・・と。
「あ、やっぱり!さっちゃんだよね!?」
・・・さっちゃん?そんな呼び方をするのは・・・
「葉・・・?」
秋野 葉。私が小3の時に転校してしまった双子の、弟の方だ。
「紅は・・・いるの?」
秋野 紅。双子の、兄の方だ。
「いるよ。でも、お腹痛いってトイレ行っちゃったんだ」
そうだ。紅はよくお腹が痛いといってトイレに籠っていた。
と、葉が言った。
「さっちゃん。クラス分けだけど、最後の30人になるまで協力
しない?僕、さっちゃんと同じクラスになりたいんだ」
あぁ、葉はこういう人だったな。自分中心。
「30人になったら逃げても戦ってもいいから!お願い!」
まあ・・・それくらいなら、違反にはならないはずだ。
「わかった。いいよ、協力してあげる」
そう言うと、葉はぱあっと笑顔になった。
「ありがと、さっちゃん!あ、そろそろ紅の様子見てくるか
ら、じゃあね!」
そう言って、葉は去っていった。
しかし、まさかこんなところで再開してしまうとは。
沙來は、葉が去っていった方を見て言った。
「でも、相変わらずだったな」