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―――王立魔法学校にて―――
はじめまして。南月ハクです。
今回は、魔法学校ものです。
4月。
少女は、真新しい制服に身を包み、王立魔法学校の立派な正門を見上げていた。
桜 沙來、15歳。今日からここの生徒となる者。
普通の人間の子であった彼女が、特殊な能力を持った人しか入れない魔法学校に入学することになった理由。それは、ある事件がきっかけだった。
―――――――5ヶ月ほど前。
その日は普通に授業を終え、沙來は一人で下校中だった。
そこで沙來は見てしまった。
前を歩いていたお婆さんのバッグを盗った、ひったくりを。
その時沙來は思った。
何かあのひったくりを捕まえられる物は無いか。
すると、沙來の視界の隅に、ツル植物が見えた。
もしあれが伸びたら、ひったくりを捕まえられるかもしれない。
するとその時。
『草花、我に味方せよ。花笑・・・発動』
という言葉が浮かんできた。
その言葉を言ってみる。
「草花、我に味方せよ。花笑・・・発動!」
するとその植物の蔦が伸び、ひったくりを捕らえた。
「!?」
そう。沙來の能力は、植物を操ること。能力名――――
『花笑』。