勇者と出会いそして死ぬ
私の名前はマーヤ。リンル村出身五十人ほどの人数で細々と暮らしてきた。両親はおいしい食堂なんて名前の食堂を営んでおり、たまに旅人などと会うことがある。彼らは勇者の話を聞くと決まってこう言う。
とても強く、美しい青年だったと。
「あれ、こんなところにスライムがいる」
「あら、この辺りはもうスライムの生息地ではないはずなんですが」
「迷いこんだんじゃねーのか。ほっとけよ」
絵に書いたような姿。順番に魔法使い、僧侶、戦士だろう。
魔法使いは私と同じ年のようにみえるので十六付近の年齢だと思う。キラキラ輝く星屑のようなローブを纏い絵本にあるような黒くて大きい帽子をかぶっている。大きな木の杖についている赤い魔石はとても澄んでおり魔力の高さをしらしめていた。
僧侶はとても綺麗で知的そうな女性、二十代後半だろう。白がよく似合っており、綺麗な青い髪が際立っている。美しい、その一言だ。
戦士は二十代前半だろうか。鎧はいくらか傷がありこれまでの戦いを想像させる。男前だが近づいてくる女には威嚇しまくってそうだ。戦い以外興味ないという顔つきをしている。こういう男が優しいだけの男よりモテるんだろう。
そして先頭に立ちながら黙って私を見ている勇者。
勇者というより、王子様といった方がしっくりくる。
金色に輝くサラサラの髪、血色のいい白い肌。格好こそ庶民丸出し旅人衣装だがお忍びかなにかの王子様にしかみえない。爽やかすぎる。水仕事とかしたことなさそう。
ぽやっと王子様いや勇者にみとれていると、勇者は無表情で足を踏み出した。
その足はどんどん私の視界を埋め尽くして……
グチャッ