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Brave of Hearts ~再び繋がる心~  作者: 烏天狗
第一章 新たなる決意
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第6話 平和の為に

前置き、やっぱり長いですかね・・・。

どうにかして会話で説明できるようにすることでベタな誰に説明してるの?って展開を避けたいところ


次回更新は7月18日午前10時です。


以降の投稿はすべて午前10時投稿になっています(予約投稿済み)

「私たちは勇者様が犠牲のもとに作り上げてくださった平和を生き続ける責務がありました」


悲痛な赴きで語るのはかつての歴史を知っていて、再び起こる争いを退けられなかったからだろう。


「けれども世界に住んでいるのは私たちのような平和を好む方ばかりではないのです」


いくら平和を実現してもそれは一部の者によっていくらでも破壊できる脆く儚いものだ。特に世界には様々な思想を持った者がいるのだから説得に応じてくれる人がいるとも限らない。訪れるべくして訪れた争いといえる。


「何度も交渉しました。それでも、止まりませんでした。そして、その交渉もついに限界が訪れてしまいました」


王女様は泣き出しそうな目をして、言葉を発しなくなった。恐らく、戦争をしなければならない程に決定的なものを彼女は間近で見ていたのかもしれない。


「私が代わりに話そう」


その王女様の気持ちを察したのか、代わりに国王様が話を続けることになった。


「私たちは相手国の王族にこの子を嫁入りさせることも視野に入れて交渉を行っていた。あの国にこの子を渡したくはない。・・・苦渋の決断だったが平和を維持するためには仕方がないとこの子も了承してくれた」


政略結婚まで視野に入れるとは恐れ入る。親としては愛する娘の為に将来を約束された人生を歩ませたいと考えるのが道理だ。そんな危なっかしい国に嫁がせるなど本当に苦渋の決断だろう。・・・しかし、彼女が今ここに居るということはそれも失敗に終わったという事だ。


「私は一国の王だ。容易に城を出ることは許されない。本当はついていきたかったのだが、国の兵士を連れていけば軍事的衝突は免れないと私の妻がアイリを連れて2人で直接交渉に向かった。そのときじゃった・・・」


これまで穏やかな声音だったのが段々と険しい声になる。クラスメイト達はあまりの変化に驚きながらも聞き入っている。


「あの国の者は喜んで二人を招き入れ、交渉のテーブルに着いた。あの者どもは私の妻と娘を力づくで手に入れる算段だったのだ。それが直接乗り込んできたことを受けて薬を盛って手に入れようとしたようだ」


国王様の話を聞いて王女様の体が震えている。よほど怖い経験をしたのだとうかがえる。しかし、国王様と王女様の話を聞いているとこの国には女王も居ることになる。紹介されることが無かったということは・・・。


「そろそろ気付いている者もおるだろう。薬に気付き、相手の策略に気付いた妻は娘を逃がすために足止めをして・・・・・最後は殺されたのだ」


本当に悔しそうな表情と声音で話す国王様。きっとその時、付いていけなかった事を悔いているのだろう。同じ大切な者を失うという経験をしている俺には気持ちが非常によくわかった。


「・・・嫌な国ですね」


あまりに汚い国のやり方にクラスメイトの一人が声を上げる。


「だな」


「許せねぇ」


「同じ人間とは思えないわね」


それに賛同するかのように声が上がる。思っている以上に正義感の強い者たちだと思う。それは俺に対する常日頃の行動にもよく出ていた。・・・ただの嫉妬心で行動してた奴も居ただろうけど。


「ありがとう。君たちは良い人たちだな」


クラスメイト達の言葉を聞いて涙を流す国王様。見れば王女様も涙を流していた。自分の為に犠牲となった母を目の前にした彼女が一番つらいだろう。


「もう私たちも、そして国民も止まれない程に憎しみの感情が生まれてしまっている。それは長引けば長引くほど負の連鎖となる。だから、その前に叩きたいのだ」


だから・・・と言葉は紡がれる。


「かの国の暴挙を鎮めるために、あなた方の力を貸していただきたい」


そういって頭を下げる国王様。


一国の国王がここまでするのは異例だろう。俺の時も頭を下げる事なんてしなかった。


本音を言えば今でも戦いたくはない。けど、そんなくだらない国のせいで俺たちが築いた平和を壊されたくなかった。彼女の為にも、そして同じ痛みを知る者として力になってあげたいとも思った。クラスメイト達と同じように活動するかはわからないが、俺の中でどうしたいかの方針は決まった。


そして、俺と同じように国王様の態度や言葉によって気持ちが届いたのか、クラスメイト達は満場一致で国王様にこう答えた。


「「「「「私たちにお任せください」」」」」


こうして俺は再び争いへと巻き込まれることになった。


だが彼らは今は正義感に突き動かされて戦うということの恐怖を知らない。それは時に致命的な隙を生み、最悪死に至る。だから、それを知っている俺がさりげなく援護してやればいい。関わりたくないと言いながら彼らを助けようとしている辺り、彼女の言っていた「お人よし」という評価は間違っていなかったのかもしれないと思いながら決意する。


今度こそ、犠牲の無い平和を目指して地球へ帰る・・・と。

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