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魔術世界≪マージナル≫

カタカタッカタッ…カチッ。

「これでとどめだ。」パーンパパパッパパーンと

そのネットゲームのファンファーレがヘッドフォンから聞こえてくる。

「よし、次のクエストは…。」

俺の名前は、角 宏人。

文武両道でありながら、ネトゲ廃人というハイスペックな高校三年生だ。

今から話す物語は、俺が実際に体験した出来事だ。

この日もいつものようにクエストをこなしていたのだが、途中見つけた広告を

間違えて押してしまいパソコンに一通のメールが届いた。

「ん…なんだ。いかにもやばそうな[ライフリズーム]っていうサイトは!

 とにかくこのページから出よう。」

しかしページを閉じようとすると忠告のサブページが開きこう綴ってあった。

[あなたの人生をリセットしてもよろしいですか?]

(なんだ!?今までもこういう脅し文句があったが実際に起きたことはなかったからな。

 そもそも人生をリセットなんて出来たら苦労しねーっての。)カチッ。

YESのボタンをクリックしたとたん周りの風景と自分の体が真っ白になっていき最後に

「ようこそ新しい人生へ。」

という女性の声が聞こえ『角 宏人』という人物は消えた…

少しして俺は目が覚め恐る恐る周りを見渡し鏡を見て驚愕した。

(なんで俺赤ん坊になってんだ。)

ちなみに俺の種族が人間から妖精族に変わっていることに気付いたのはこの一時間後だった。

その後俺はすくすくと育ち色々なことを知った。

まず、この世界は「マージナル」という魔法の世界であるということ。

第二に「マージナル」では16を迎えると男女ともに種族間の戦争に参加しなければならないこと。

第三にこの世界の住人は必ず五属性の光・闇・火・水・風のいずれかの魔法の才能を持っていること。

そして最後にこの戦争でのダメージで命を落とすことはないこと。


これらの決まりごとは生まれた頃から教わってきていることで魔法の使い方や戦い方は、魔法学院で

学ぶことができる。

そして俺はこの世界に生まれてから今年で14年だ。そう今まさに学院で学んでいる時期なのだが、

実は俺、絶賛遅刻しそうです‼

「あぁぁぁぁぁ!間に合わないかなぁぁ。やばいよな。」

と、呟きながら時計を見てみると遅刻まであと五分だった。

「よし!あとはそこの曲がり角を曲がれば学院だから間に合うぞ。」

俺は、駆け足で曲がり角を曲がろうとしたその時、なんと曲がり角の向こうからひとつの影が飛び出して

きて勢いよくぶつかった。

「痛ってーな!!誰だよ人が急いでるときに、ぶつかって来やがったのは。」

 と、振り返ると1人の女の子が横たわっていた。

「イタタターふぇぇ~絶対に頭割れましたです。」

 と、言いながらこっちを見ていきなり近寄ってきた。

「えと、あなた名前なんていうんですか?」

「ジルだよ。あんたは?」

「ジルさんですね。私はミシィです。」

「あぁよろしくミシィ。それで・・・」と、俺が言い終わらないうちにミシィが聞いてきた。

「ジルさん!私の頭割れてませんか?さっきぶつかってそのまま電柱にぶつかったんです。すごい痛かった です。」

「頭は割れてなんかないよ、大丈夫。ぶつかったことは謝るよ。悪かったな、俺も急いでたもんでな。」

 と、俺が謝るとミシィも「私もです。」と言いながら微笑んだ。

そして二人同時に自分の時計を見て飛び上がり同じ方向に駆け出していた。

「はぁ、はぁなんとか間に合った。」

「ですぅ~。」

 そう、時間ぎりぎりで適性検査の行われる魔法学校に着いたのだ。


「それでは、適性検査を始めますので順番に並んでください!おねがいしますぅぅ!」

 受付の女性が顔を真っ赤にしながら注意をしていた。

 退屈だったので待っている間ミシィと話していたのだが、なんとミシィと俺の出身村が同じだったのだ。

 さっきの曲がり角でのこともあったおかげか俺たちはすぐに意気投合し、

 好きな食べ物や村の景色などについて話していた。

 するといつの間にか順番が回ってきたのでミシィに先を譲り俺はその後に検査を受けたのだが、なぜか検 査員の人たちがなかなか結果を教えてくれなかった。

 なぜだろうと思いながら待っていると1人の検査員が近づいてきてこう告げられた。

「あなたの属性は前例がありませんので結果出ませんでした。しかし、だからといってほかの方々とは

 なにも変わらずに戦争には参加できるので安心して頑張ってください。以上です。」

「では、次の方どうぞー。」

 俺は検査室から外に出て叫んでいた。

「だったらどうやって魔法習えばいいんだよぉぉぉぉ!!!!」

「えと・・・大丈夫ですか?ジルさん。なにがあったかはわかりませんがとにかくファイトです。」

 そんなミシィの励ましを聞きながら俺の気分は、絶望の淵へと落ちていった。


 そして、この日は何かをする気力もなく気が付けば翌日の朝になっていた。

「・・・ん?朝か・って今何時だ。」

 時計を見ると短針が7を回っていた。

「やばい!学校まであと30分しかないじゃねぇか。なんで母さんは起こしてくれなかったんだよ。」

 急いで一階に降りるとソファにエプロン姿のまま寝ている母親の姿があった。

「くっそ。母さんが起きてたらなんて考えた俺がバカだったぜ!また、走るのかよ!!」

 もし、母親が起きていたら魔法で送ってもらうこともできたのだが、なにを隠そう家の母親は、

 一度眠りに入ると自身が満足して起きるまで何があっても起こすことはむずかしいのだ。

 そんなことを考えながら家から5キロある魔法学校に向かい走っていると少し先で横たわっている

 女の子がというかミシィがいた。

 俺は立ち止まり声をかけてみた。

「おーい。ミシィ大丈夫か?」

「んむぅ・・・ふぁぁぁあっジルくんどうしたんですか?私の顔になにかついていますか?」

「あのなミシィ遅刻するぞ。ここまだ学校じゃないからな。」

「ふぇ!?あっホントですねどうしましょう?ふふふふ。」

 (この子もう頭やられてるんやないやろか)なんてことを思っていると・・・・

 いきなりミシィが俺の手を握ってきてこう言った。

 「ジルくん私の属性って水なんですよ。水っていろんな使い方があって・・・。」

 ミシィは右手を空に掲げて「ウォータースライダー」と、呪文≪スペル≫を唱えた。

 すると、空中に氷でできた滑り台のようなものが出現し、学校の方へと向かって伸びていった。

「ね?こんな使い方もあるんですよ。さぁ、行きましょうジルくん。」

 俺は驚いていた。いくら学校で魔法を習っていたとしても属性がわかってからたった一日で

 魔法を使えている奴がいるとは思っていなかったからだ。

(ミシィ意外とすごいやつなのか!?)と、ぼーっとしているといつの間にか氷の滑り台に

 座らされていた。

「おい、ミシィこれ大丈夫なのか?」と、聞くと。

「わかりませんよ。だって今初めて使った魔法ですから。まぁ、とにかく当たって砕けろですよ。

 さぁ、行きましょうジルくん、学校へ。」

 そういうとミシィは俺の手を握ったまま滑り始めた。

「ちょっ、なにこれどんどんスピード上がってるんですけどぉぉぉ!!!」

「はははははっ。ジルくん大袈裟ですよ。これすごく楽しいじゃないですか。」

 そんな感じで滑っていると後ろの方で「バキンッ!!」という音がした。

 これにはさすがのミシィも危険を感じたらしく滑りながら学校に着くまで魔法を強化しつづけていた。

 このあと無事に学校に遅刻せずに着けたのは奇跡だと思う。






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