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NPCに恋をして  作者: Nozi
4/6

第4話 アリスのお薬講座前編

こんにちは、Noziと申します。

またこの小説をごらん頂きありがとうございます。

今回は、前から考えてはいたけどもどこに入れようかと悩んでいたやつを書いてみました。

というか何を書こうかなかなかまとまらなかったので思いついていたネタを使ったという感じ、だんだん残弾が少なくなってきた感じが…。


まあこの話自体ストーリーの大筋はラストまでだいたい考えてあるのであとは途中をどう進めてラストに着地するかってことなんですけど…。


あ、せっかく書くスペースがあるので前書き後書き書いてますが、面倒な方は読み飛ばしください。


それでは今回も最後まで読んでいただけたら幸いです。

よろしくお願いします。


「こんにちは~」


 僕たちは火星から戻ると、ミスミさんの鍛冶屋『スミス・ミスミ』を訪れた。

 店の奥から店主のミスミさんが顔を出す。


挿絵(By みてみん)


「よ、いらっしゃい。武器の調子はどうだい?」


「はい、とってもいいです。こないだの戦闘でも助かりましたよ。これのおかげで」


 僕は剣の柄に手をかけながら言うと、ミスミさんは


「そいつはよかった。こっちも作った甲斐があったってもんさね」


 うれしそうに言った。


「ところで…あれは手に入ったのかい?」


「はい、このとおり」


 僕は聖なる炎を見せる。


「へぇ、きれいなアイテムだね。じゃ早速だが…いくらで売ってくれるね?」


「へ、いやそんなお金なんて、これを使って防具を作ってくれるだけで」


「ああ、いや、説明不足だったんだが…聖なる炎ってのは素材としてじゃなく鍛冶屋の装置を上位に発展させるために使えるのさ。そうすれば今後アタシは『ネプチューンの鱗』みたいなレアアイテムを使って武具作成が行えるわけ。鍛冶屋としてはかなり重要アイテムだったんだなこれが」


「…なるほど。じゃ、次に作ってもらう防具をただにしてくれるってことでどうです?レア素材を使ってミスミさんが作った防具なら十分価値があると思いますし」


「いいのかい?それで。こちとしてはありがたいが…。じゃあせめて二人分作らせてもらうよ。それでどうだい?」


「もちろんOKです。じゃ、これ」


 僕はミスミさんに聖なる炎を手渡した。ミスミさんは礼を言うと奥の工房へと戻っていった。


「私達のはどうする?」


 軍神マルスの報酬、聖なる炎は人数分もらえた。僕のをミスミさんに渡してもサチとシホの分が余る。ちなみにリルハが持っていった一つはペンダントに加工したらしい。ちょっとしたアイテム作成で作れるペンダントにもかなりの金属性と木属性の耐性がついたようだ。

 ちなみにこのAWOには基本属性として各惑星に対応した5属性、つまり木火土金水がある。各属性には陰陽五行を参考にしたらしい優劣があり、たとえば火属性は水と土属性に弱く、金と木属性に強い。まあこれにのっとり、いずれ戦う『グランドドラゴン』の炎のブレス対策として水属性の防具を求めていたわけだ。

 くわえて中間属性として雷や氷、風属性があり、上位属性として光と闇属性がある。これらの優劣関係はまた特殊で、属性をうまく使えばそれだけ戦闘を有利に進めることができる。


「武具の素材にならないです?」


 シホが言う。そういえばアイテムの説明にさまざまな用途でって書いてあったな。さまざまって何だろう。まあ武具の素材か…あとは、松明とか?


「ま、後で聞いてみましょうか」


 僕達はミスミさんが戻ってくるまで、店の片隅の待合テーブルで待つことにした。


「ところで、こないだここで話したことで気になってることがあるんだけど…」


 そうサチが話を切り出した。


「AnotherNEPTUNE(アナザーネプチューン)って何?」


 そうだ、この間は話が途中になってしまったが、確かにシホがそんな星があるといっていた。


「ポセイドンに会えばいけるはずだったのですよ。AnotherNEPTUNE。でも結局このアイテムがもらえただけでした」


 シホはそのときポセイドンにもらったアイテム『海神の証』を取り出した。説明欄には、詳細不明、としか書いておらず、使い道はやはりわからない。って、待てよ


「シホはAnotherNEPTUNE…長いから海王星で良いや。海王星に行くためにあのモンスターと戦って、ポセイドンに会おうとしてたってこと?」


「カイオウセイ…はい、そうなのですよ?わたしは全部行きたいのです!」


「でも海王星って、このAWOにあるなんてやっぱり聞いたことないわよね…」


 サチはまだシホの言うことを信じていないようだった。かくいう僕も完全に信じたわけではない。攻略サイトには、確かに情報はあまり多くないサイトではあるが、海王星の存在を示唆するものは何もなかった。ゲーム中でもそんな星噂でも聞いたことがない。もしかしたらトップクラスのプレーヤーなら何か知ってるかもだけど、知り合いもいなければ話す機会もないし…。


「…カイオウセイはあるのです。みんなでいく方法を考えるです!」


 ふんっと拳を握り鼻息荒く話すシホ。いつもより興奮して話す様がちょっとかわいいな、なんて考えていたら、ミスミさんが戻ってきた。


「お~、おまたせ!」


「できたんですか?」


「ああ、もうばっちり!ありがとなぁ、ユキヤ、サチ、シホ!」


 ミスミさんはとてもうれしそうだ。まあそれはそうか。レア素材が使えるようになったということは、それだけ強い武器を作れるということで、鍛冶師としては最重要事項であろう。


「じゃあ早速やるかい?」


「あ、それなんですが、その前に残ってる聖なる炎を素材として使ってみたいんですけど」


 僕はサチとシホのアイテムを示した。


「へ?これを素材に?もったいなくないか、鍛冶師に高く売れるぞ?これは」


 よっぽど設備の強化がうれしかったんだな。


「まあ、それはそうかもしれませんが、攻略優先だとやっぱり作れる武具はチェックしときたいかな、と」


 僕は話を進める。サチとシホもうなづく。


「この先また各惑星の強敵と戦うこともあるかも出し、ね。強い属性武器とかできるといいんだけど」


「何ができるか楽しみなのです!」


 それにミスミさんは答えて、


「わかったよ、ちょっと待ってな」


 また奥へ引っ込んでいった。




 少しして、


「結構いい武具できるぜ。この聖なる炎ってなぁ有用なアイテムだな。どうする、ついでに作ってくかい?」


 ミスミさんが作成可能アイテムのリストを片手に出てきた。


「どうする、サチ、シホ」


「まずリストを見てみましょ」


 さて、リストを見てみるとなるほどかなりの火属性を持った武器や属性耐性の高いアクセサリが並んでいる。これを作っておけば金星や木星に行くときに優位に戦える。


「…わたし、土星にいきたいのです。」


 シホが言う。何か目的があるのだろうか。


「いきなりどうしたの?」


「ですから、火属性の武器で金星か木星に行ってそれから土星に行くための武具をそろえるのですよ!」


 やる気満々という感じで鼻息荒くシホが言う。時たまテンション高くなるな。こういうところはほんとにNPCってこと忘れそうだ。


「海王星はいいの?まあ行く方法わかんないけどさ」


「海王星?それって現実世界(リアル)じゃ土星よりさらに先にある惑星だよな。天王星、海王星、冥王星だろ?」


 ミスミさんが横から口を出す。僕たちはシホと話していたことをミスミさんに説明した。


「へぇ、もしそれがホントならすごいことだぁね。まだ言ったって人聞いたことないよ。こりゃあまり情報漏らさないほうがいいかね」


「まあ、不確定情報ですし、今のところはそのほうがいいかもですね」


 まあそこまで必死に隠す必要もないであろうが、まだあるかどうかもわからない惑星の話を拡散するのもな。もちろんシホの言うことを信じないというわけではないが。そんな僕の気持ちを知ってかしらずか、


「絶対あるですよ!…土星にはAnotherPLUTO(アナザープルート)へ導いてくれる神様がいるはずなのです。だから土星にも行きたいのです」


「な!…っていうかシホは何でそんないろいろ知ってるの?」


 サチが言った。確かにそれは不思議だった。まあNPCにもそれぞれ知っていることはいろいろあるだろうし、シホはもしかしたらそういう情報をプレイヤーに伝達するためのNPCというだけのことかもしれない。いや、しかしそれにしても自分が行きたがるってのはNPCの行動ではないような気もする。まあ、やっぱりそこはAWO(このゲーム)らしいということか。


「…わたしは…あれ、何で知ってるですかね。言われてみればずっと前から知っていたような…うう、よくわからなくなってきたのです…」


「ま、まあいいんじゃないか!とにかく海王星に行く方法を探しながら土星に行くための装備を整えようか」


 僕はなんとなくそれ以上シホに悩ませてはいけないような気がしてそう言ったが、


「ちょ、ちょっとまって!」


 サチがそれを制して


「『グランドドラゴン』はどうなるの?私達そのために水星と火星に行って素材集めしてきたのに!」


「うん、それなんだけどさ、火星の『軍神マルス』にかなわなかっただろ?あれで火星最強モンスターじゃないんだから今の僕たちじゃまだ地球最強のモンスターには勝てないんじゃないかな」


「う、ま、まあそうかもしれないけど…、やってみなきゃわからないじゃない…」


 サチはまだ納得していないようだった。たしかにずっとそれを目標にプレイしてきてやっと装備も整うところだしわからないでもない。


「じゃあ先にグランドドラゴン討伐に行くですか?わたし、そっちも行きたいですよ」


「ま、ゲームなんだしそんなに悩まずいろいろやってみたらいいんでないかい?」


 ミスミさんが一言。まあ確かにそうだな、と思う。なら


「じゃあ、まず行くだけ行ってみようか。グランドドラゴン。難しかったら土星でレベル上げすれば良いし」


 ぱっとサチの表情が明るくなるのがわかった。


「どうせやるなら勝ちに行きましょ!そのためにまずは準備よ!じゃ、ミスミ、早速ネプチューンの鱗で防具をお願い!」


 俄然やる気になるサチ。僕はこそっとシホに聞いた。


「シホのほうは後回しになっちゃうけど、良いかな」


「へ?わたしもグランドドラゴン行きたいのです。問題ないのですよ!」


 シホは本当にこの世界を楽しんでいるんだな、とそのとき思った。




「さて、アイテム調達に行きましょ。最強モンスターと戦うんだから念入りに準備していかないとね!」


 僕たちはミスミさんに防具作成を頼み、店を後にした。と、突然


「わっ」


 男が走ってきてシホにぶつかった。男はそのまま走り去ってしまう。


「な、なによあいつ謝りもしないで!」


「だいじょうぶか?シホ」


 僕はシホに手を差し伸べた。


「う、うん。だいじょうぶ、なのです」


 シホは僕の手を握り立ち上がろうとした。が、シホは立ち上がれず僕は腕を引っ張られる。


「ど、どうした?」


 シホはお腹を押さえ膝をつく。なにがあったのかとサチも心配そうにシホを見る。


「う、ぐ」


 苦しそうなシホのお腹辺りを見ると、黒いあざのようなものができている。僕は咄嗟にシホのステータス欄を確認する。毒だ。さっきのやつに当たられたとき毒性の武器でやられたらしい。PK(プレイヤーキラー)の一種だろうか。


「だ、だいじょうぶか!?」


 毒消し草を取り出しシホに飲ませる。が、どうも効き目がない。どういうことだ。普通の毒じゃない?何とかしようと基礎スキル『基本調合』で毒消しと回復アイテム(ポーション)を調合し解毒薬をつくる。これなら毒だけじゃなく猛毒にも効くはずだ。

 しかしこれを飲ませても一向によくなる気配がない。


「な、何だこの毒」


 そうこうしている間にもシホのHPが徐々にではあるが減少していく。仕方ない応急的にポーションを使いシホのHPを回復してやる。


「サチ、何かわからないか?」


「…これ、まさか…」


 サチは心なしか青ざめている。何か知っているのか?


「どうすればいい?」


「う、うん。たぶん毒師(ポイズンマスター)が作れる特別な毒だと思う…。治すには特別な薬が必要なはず…。そもそもプレイヤーがなることはほとんどなくて薬は出回ってないの」


 薬が出回ってない…。ならどうすればいいんだろうか。僕たちは戦闘向けのロールだし基本的な調合以外はできないし、回復呪文にも疎い。このままだとシホが…。


「…β版でパーティ組んでた人が薬作れるはず。行ってみましょう」


「あ、ああ。早くしないと」


 さすがにこのままのシホをつれては歩けないので一旦家に寄り、回復アイテムをできるだけ渡して、僕とサチの二人でその人のところに行くことにした。




「ね、ねぇちょっと待ってよユキヤ。ちょっと思うんだけどね、そんなにあわてることないと思うの」


 薬を作れるという人に会いに行く途中、サチが言った。そのとき僕も気づいた。


「これはゲームなんだからもし、もしHPが尽きてしまっても、拠点に戻されてレベルとお金が減るだけじゃない?」


 そうだ。走る速度を緩める。なんとなくリアルに物事を考えてしまっていたが、別にほんとに死ぬわけじゃあ…。いや待てよ。


「…うん、ちょっと思ったんだけど」


「ユキヤ?」


「NPCなんだよ。シホは。サチはNPCが死んだところって見たことある?」


 そもそもNPCには基本的にはHPなど設定されていない。AWOではたしかにNPCは相当人間らしく生き生きとしているが、ステータスというものがないのだ。当然毒などにもならない。では、シホは?なぜシホにはステータスがありダメージや毒を受けるんだ?


「…だからプレイヤーみたいに死んでもやり直せるかどうか、わからないよ」


 そう言って僕は怖くなった。今までのボス戦、何とかなっては来たけど一歩間違えば危ない場面はいくつもあった。もし、やられてしまったら、シホはもう復活できないのではないか?


「考えすぎじゃない?これは、ゲームなのよ、あくまでも。いくらシホが特別でも…」


 サチもそうは言ったが、その可能性を捨てきることはできないようだった。


「とにかく、急ごう。回復アイテムはたくさん置いてきたけど、なにがあるかわからない」


 僕たちはまた走り出した。




「サチ、ちなみにその人はどんな人なんだ?」


 サチに先導され、走りながら僕は尋ねた。ちなみに目的地は隣町にある薬屋らしい。


「えっとね、ちょっと変わった人、かな。もともと四人でね、ゲームしてたの。β版のときね。その人、『アリス』って名前なんだけど、アリスは戦士系じゃなくてアイテム創造系(クリエイター)のロールをいろいろ試してる人で」


 サチの言葉はなんとなく歯切れが悪い。その『アリス』って人と何かあったのかな。


「…あのね。たぶん、たぶんなんだけど、今回の毒作った人、たぶんそのアリスなの…」


 !な、なんだって!


「で、でもね、犯人とは関係ないと思うの。β版のころから変な薬いろいろ作ってた人で…。このAWOってアイテムの調合の組み合わせ数え切れないくらいあるじゃない?アリスはそれを極めようってプレイヤーなの」


 なるほど。サチが言うにはこういうことだった。


 β版でパーティを組んでいたアリスは、戦闘用のアイテムをいろいろと提供する代わりにパーティに入っており、各種モンスターの素材を集めては、調合を試しまくっていた。そんなある日できたのが普通の薬が効かない毒だった。何故効かないとわかったかというと、なんとアリスはその毒を自分で試したのだ。アリスは特に自身のレベルには無頓着だったので死んでも問題はなかったわけだが、やはり異常な行動だと思う。そして試行錯誤を重ね、何度か死にながら特殊な解毒薬を作ることに成功した。


「確かに変わってるかもね、そのアリスって人」


「うん、でも大体アリス自身かモンスターで薬試してたから、やっぱり犯人じゃないと思う。悪い人じゃなかったし」


 そういえばなんで、サチはβ版のときのパーティメンバーと一緒にゲームしてないのかな、とそのときふと思ったが、このときはそれどころでもなかったのでなんとなく聞かずに目的地に走った。




 拠点としている町『アスト』をでて、途中何度か雑魚モンスターと遭遇しながらも振り切り、僕たちは隣町『テール』へやってきた。


「この町の路地裏にアリスの店があるわ、早速行きましょ」


 サチに促され、路地裏を行く。路地裏は薄暗く人はあまりいない。たまに酒場や占い師がいたり、よくわからない店がある。僕は初めて来た場所なのできょろきょろと周りを見回しながらサチについていく。と、


「ここよ」


 促されて店の入り口、その上部にある看板を見上げた。

 看板には『至高の薬局ワンダーランド』とポップな自体で書かれていた。なんだこりゃ。


「どうやらやってるようね、インしてなかったらどうしようかと思ったわ」


 サチは“OPEN”と書かれた表示板が下がっている扉に手をかけ、開ける。中には黒いフードをかぶった魔女のような格好の背丈の低い女の子が店の番をしていた。


「こんにちは、アリス、久しぶりね」


「お!さっちんやないか、ひっさしぶりやなぁ」


 アリスという名前にはあまり似合わない、関西弁のような口調の返事が返ってきた。


「β版以来やん、元気しとったか?うち?うちはほら、見てのとおりや。繁盛してるで、おかげさまで」


 といっても今は客は居ないようだが、まあ確かに店を持つってことはそこそこ金がなければできないことだし、内装も店名にあわせてファンシーなグッズで飾られており、なかなかに金がかかっていそうだ。


「で、どないしてん。うちのとこくるってことはよっぽどのことがあったんかいな」


「そうなんだ、あのときの薬、覚えてる?」


 サチが問うと、


「ん?あのときってぇと…あれか!死にまくったやつ!そら覚えてるで。なんや毒買いにきたん?ほしけりゃ売るけどPKなら感心しないでうちも」


「ちがうの、私の仲間がやられちゃって、解毒薬がほしいのよ」


「何や、そういう事かいな、それならそうとはよ言いや。っても今無いで」


「え!?」


「いや、薬やくすり。うちとしたことが材料切らしてしもてなぁ。至高の薬局の名が泣くでホンマ」


 なんてことだ、頼みの綱のここにも薬がないなんて。でもあきらめるわけには行かない。


「じゃあ、材料をとってくれば作っていただけますか?」


「お、兄ちゃん誰や?さっちんの連れ合いか?」


 連れ合いって…。いやいや今はそんなこと言ってる場合じゃないな。


「どうなんですか?」


「何やせっかちなやっちゃなあ。そら材料さえありゃ何ぼでも作れるわ。なんや、とってきてくれんのか?」


 サチが間に入って答える。


「うん、なにが必要なの?」


「せやなぁ、今足りないんはマンドラゴラと青トウガラシとトリカブトリーフやな。どれも木星行かな無いもんやけど、えぇか?」


 AnotherJUPITER(アナザージュピター)か、まああそこは独特の植物で埋め尽くされてるからな、薬草や毒草ならやっぱりあそこか。


「わかりました、行ってきますけど、どの辺りに生えてるとかわかりますか。できるだけすぐ行ってこれるとこがいいんですけど」


「ん、あー『ユーピテル大森林』にようさんあるわ。マンドラゴラだけは戦わなかんけど他は簡単に取れるやろ」


 僕は早速出て行こうとしたが、


「ちょいまちぃ、セッカチな兄ちゃんやなぁ。ほれこれ持ってき」


 ぽんと薬のビンをほうってよこした。


「これは?」


「まああれや、うちの作った(もん)で苦しんでんのやろお仲間さん。それ使えばしばらく毒状態抑えられるさかいな」


「ありがとう!」


「まあホントのとこうちが最近売った毒が使われてそうやし、そんでなんかあったら夢見悪いしなぁ」


 それでももう一度礼を言って僕たちは店を後にした。




 それから僕たちはアリスの言うとおり木星に行くことにしたが、とりあえず準備とシホの様子見に家に帰ってきた。


「シホ!大丈夫か!」


 シホは部屋の奥にあるベッドに横になり、苦しそうに息をしていたが、僕に気づくと上体を起こしこちらを向いた。


「あ、ユキヤ…おかえりなのです。シホは、だいじょうぶなのです」


 何とかポーションでHPの減少は抑えているようだった。早速アリスにもらった抑制薬を試す。


「これ、毒の回復はできないけど症状を抑えられるらしい。飲んでみて」


「ありがとう、なのです。…んくんく、ぷはっ」


 早速ステータスを確認すると確かに毒は消えていなかったが、HPの減少は抑えられたようだ。


「すこしらくになったのれす…」


「よかった。それじゃこれから木星行ってくるから、もう少し待ってて」


 家を出て行こうとすると、


「わたしもいくのです。ふたりでずるいのですぅ」


 シホが後ろをふらふらとついてきた。たしなめるように言う。


「今回は薬の材料とって来るだけだから、おとなしく寝てて。治ったらまた行けばいいよ」


「うぅ、残念です…」


 そういって何とかベッドに戻ってくれた。早く行ってこなくては、と意志を固め僕はサチと木星に向かった。

読了お疲れ様でした。


今回のお話、いかがだったでしょうか。評価等つけていただいたらとっても喜びます。


さて今回はタイトルにもありますが前編なので後編に続きます。


また文章をこねくり回してそのうちアップしますので、また読んでいただけたらさらに喜びます。


それでは、また、よろしくお願いします。

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