5 こわいよる
ウルフ君と一緒に首都『ルーブ』に行くことが決まり、さっそく近くの『エトリーズ』に向かうことにしました。
場所の位置関係的にウルフ君から聞いたことをまとめてみます。
まず、2つの目的地並びに今いる森は全て『コンサル大陸』上に存在しています。
森が『コンサル大陸』の一番北を示していて、そこから南に歩いて数日掛かるところに『エトリーズ』がある。『エトリーズ』は『コンサル大陸』最北の町と言われていてそれなりに商業が盛んらしいです。
そして首都『ルーブ』は『エトリーズ』から南西に馬車を用いて、途中にある中継地となる町や村にいくつか寄りながら進むと1月すなわち30日掛かるらしいです。思っていたよりもかなり大変そうです。
といいますか、ウルフ君はこれを知っていながら私を連れて行くことを決めたのですか・・・本当に優しいです。
『コンサル大陸』の中央に『ルーブ』は位置し、噂では魔物の襲撃に襲われにくい場所だからと言われているようですが真偽は定かではないみたいです。
とにかく、これが旅の予定となるのですが、困ったことが起こりました。いや、旅をするのなら当然なのですけど・・・。
「野宿・・・ですか。」
この日は『エトリーズ』にたどり着くことはなく、暗くなってしまったからです。焚火をしているため、一応この辺りは少し明るいです。事前に「歩いて数日かかる」といわれていたので、当然覚悟はしていたのですか・・・。
「怖いか?」
「ひゃあっ!?」
いきなり後ろから声を掛けられたのでびっくりしてしまった。
「す・・・すまん、そこまで驚くとは思わなかったから。」
振り返るとウルフ君が申し訳なさそうな表情をしていた。
「こ・・・こちらこそごめんなさい。私、唐突の事に対して免疫がなくて。」
「あー・・・あと、もしかして暗闇が苦手か?」
「えっと・・・はい・・・。」
私は暗闇に対し苦手意識がある。
箱に入って間もない頃、私は魔法が使えず真っ白な空間で眠ることを強いられ結構大変でした。(目の上にを布を覆う等あらゆる手段はあるものの)
その後、魔法が使えるようになり、『闇の魔法』も使えるようになりました。私はそのときかなり調子にのっていて、寝る前に何も考えずに『闇の魔法』を使ってしまったのです。その結果、次の日起きても暗闇は晴れることなく、約6日近くもの間、目が見えない状態で生活することになってしまったのです。
そのような事があったため、一応魔法の使用方法を改善させたものの、『闇の魔法』を使用することに対し少々抵抗があり、また暗闇に対して苦手意識を持っているのです。
でも、旅をしていくためにはやっぱり野宿にも慣れなきゃいけないのは分かります。
(・・・わかるんですが・・・。)
私は深く悩んでいると、ウルフ君がポンと頭に手をのせ撫でてくれた。
「よかったら寝ている間、手を握っておくか・・・なーんて・・・。」
「いいんですか!?」
私は頭の中に渦巻いていたモヤモヤが晴れたような感覚がした。
ウルフ君が傍にいてくれるなら・・・とっても心強い。
「お願いします!是非ともお願いします!!」
「お・・・おう・・・元気になったようでなによりだ・・・。」
私は彼の気が変わらぬうちに全力でお願いしました。
その日の夜は、手の温もりを感じながら眠ることができ、いつもよりもいい夢が見れそうです・・・。
「お休みなさい・・・。」