司とゼロワン2
銃口をゼロスリーの身体へ向けて弾をドババッ!と音を立てながら撃ち込むが、全て流れるように弾かれる。
跳ねるように移動し、ゼロワンの懐へと飛び込み攻撃始動を抑え込んでいく。
左手にはナイフを構えてそれでゼロスリーの接近を牽制するが、当然のように死角へと回り込まれてしまい舐めるように小太刀で服だけを丁寧に裂く。
「使い魔がいなかったら結局あなたはゼロツーにも劣るんですよ。ゼロワン」
「ふん!言ってくれるじゃない」
ゼロスリーの足元に弾が切れるまで撃ち続けて切れたと同時に使い魔を呼び出そうとするが、頭の中が急に痛み出し、それを中断してしまった。
「がっ!?な・・・んで———」
呼び出す隙に加え痛みに耐えるため頭を抱えているのも合わさりゼロスリーの攻撃を避けることが出来ずに壁に叩きつけられてしまう。
「そして呼び出そうにも出来ない。あなただけで僕に勝てる要素はありませんよ!ゼロワン」
動揺している中、何とか身体だけでも動けばまだやれるため息を整えようとするが、その休みさえもらえない。戦闘の基本であったが、今のゼロワンにとって最も厳しいものとなっていた。
「はぁはぁ・・・・・・」
「このまま僕が勝てば夢が叶えられる。僕の望む夢がね!その為に男の方のゼロワンとともに礎になってもらうよ!」
逆手に持つ右手の小太刀を器用に使い、ゼロワンが持っていたナイフを弾き飛ばした。
「最後の1本貰った!」
現在何か呼び出すことが不可能な以上、もうゼロワンに出来る行動は回避だけだ。しかし背後は壁・・・。
左胸部を斬り裂かれ、小さな悲鳴と共に壁に寄りかかるように倒れ込んだ。
「勝った・・・・・・」
小太刀の血を拭き取り鞘に収めると反対側にある扉へと向かっていく。ゼロツーを追う為だろう。
部屋も半分ほどまで足を進めたところで、ゼロスリーは何かの気配を感じ小太刀に手をつける。
「(ゼロツーがわざわざこちら側から来たのか?にしては気配が軽い。となればゼロワンの息がまだ続いてるのかな?)」
敢えてここでは小太刀ではなくナイフをゼロワンへと投げつけて確認する。回避するわけでもなく簡単にブスリとゼロワンの腹部へと吸い込まれた。
「(でも気配はまだ・・・・・・)」
そう。気配は弱くなるどころか強くなっていく。
「死んだふりするには気配がダダ漏れだよゼロワン」
「・・・・・・そ、そんなつもりは、いっ・・・ないんだけどね・・・」
腹部のナイフを抜き取りそれを左手で持ち直し、右手には呼び出したククリを手に持っていた。
「へえ。武器は出せるようになったんだ」
「さっきのナイフのおかげでね・・・失血が酷いおかげで感覚が鈍くなったみたいだよ。感謝するよ」
しかしその代わりに受けたものは、視界の歪みだ。それだけでも充分に吐き気を催す。
「(出来たところで・・・って話だけど、気づかせる訳には)」
ククリで薙ぎ払うが簡単に避けられて今度は右袖が裂かれて包帯があらわになる。
軽くではあるが本体にも当たっていたようで、包帯から血が滲み出て赤く染まっていく。
行ってはいけない方向に意識が向いてしまい、その隙にゼロスリーは右膝に小太刀を差し込み、固定した。
「負けだと認めれば殺すまではしない。半殺しにはするけどね」
どうする?と尋ねるように最終勧告をゼロワンへ通告する。
固定されたまま膝をついていたゼロワンは呼吸3回程間を開けると口を開く。
「結構ですかな?それともやだ?ごめんこうむる?好きなので解答を返すよ」
「(ゼロツーが見たのと全然違うな・・・)そうか分かったよ」
首を斬ろうとした時、ゼロスリーの視界に何かが映った。
「んっ!」
後方に跳ねるように後退し、左手の小太刀を右手に持ち替え警戒する。
ゼロワンの左手には右膝に刺した小太刀が握られており、それでゼロスリーを斬ろうとしていたのは容易に想像出来た。
「・・・・・・」
ゼロワンは何も呟かず立ち上がり、ゼロスリーへと走り込む。
「だから無理だって言ってるでしょうが!」
視界に次にどの方向から攻撃が来るかが見える。そこにタイミングよく小太刀を近づけて止めようとしていたところだ。
「なっ!?」
その線が、1本しかないはずの線が2本に増えていた。
「(どっち?)」
判断はしきれなかったが、大きく位置がズレているわけではなく、弾くだけなら問題はなかった。
金属音が部屋に響くと、それ以外の音が消されたように静かになった。
互いに口を開くことはなく、そして動くこともなく互いを睨み合った。
長い沈黙の後ゼロスリーは口を開く。
「どうやったの・・・?」
「勝ったら教えてあげる」
新たな線がゼロスリーの視界に入ると、当然のように回避に移るが、その映った後に別の線がゼロスリーを襲う。回避先に置かれてしまい回避は出来ない。
「くっ・・・!」
回避が間に合わなくとも直撃は避けられる。2つ目の線が頬を掠め、その後ゼロスリーは大きく距離を取る。
そしてその瞬間あるものが見えた。今は何も変化はなく、見間違えとも思ったがそれは違うとはっきりと分かった。
・・・・・・何故なら2つ目の線が出る瞬間、右目が黒く光っていたからである。




