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けじめを付けに

「松長。呼ばれた理由は分かっているな?」


上層部の人間たちが松長の周りを囲む。その内数人は敵意を隠さず向けていた。


「分かっています。言い訳になりますが、発言の許可———」


囲んでいる内の1人が声を荒げる。


「分かってんならやる事は1つだよなぁ!あぁん!?」


「それをするのは言い訳をさせて貰ってから———」


「そんなん後で聞いてやる!さっさと詰めろや!」


この状況で詰めるということは、極東の人間がやると言われている指詰めだろう。


「まあ待て。1方向からの話しか聞かず裁判を行うのは我々の今後に関わる。松長許可する」


「ありがとうございます。では——————」


今まであった事を包み隠さず——————ゼロツーが言っていた司のカルバニズムは別問題として言わず——————話した。


「ふむ・・・なるほど・・・。他のみんなはどう思う」


先程強い口調で言っていた男は椅子に深々と座り腕を組み答える。


「理由があんならしゃあねえ。そいつを否定したら泣き寝入りが正解になっちまう。」


他の人たちも腹のなかはどうであれ、概ね問題なかった。


「待て」


1人だけそれに反対する男が手を上げた。


「しょうがない。それはわかる。だがな、人を殺した以上然るべきものは必要だ。特に同志であるならばだ。それに泣き寝入りする状況だとしても、我々がいるのだ。行動に移す必要はない」


「じょーじょーしゃくりょうってやつが」


「情状酌量か。それがあったとしても同志殺しは重大な違法行為だ。それにこのまま無罪で終われば敵対したところも他の企業にも示しがつかんだろ。店長(みせなが)厳しいものにしろとは言わんが、それなりの罰はやるべきだと考える。個人的意見ならば指を詰めるのではなくて爪を剥ぐ程度でいいのではないだろうか」


「だけど相手側はどうすんだ?」


「松長のを剥いだ後呼べばいいだろう」


「新たな意見だ。みんなはどうする?」


店長が完全無罪でいいか反対した男の言うような処置で済ませるかを全員にもう一度尋ね直して出た答えは、爪剥ぎで纏まった。


「刑は全手足の指の爪だ。当然だが麻酔は無しだ。あったら刑ではないからな」


店長がどこかに連絡をつけるとすぐにペンチを持ってこられて松長の指に当てられる。


逃げられるわけにはいかない———逃げるわけがないことは分かっているが、痛みで指を丸められても時間がかかるだけなのでそれを防ぐ為———ので手足を固定する。


「覚悟はいいな?」


松長は僅かに震えたが首を縦に振る。


ベリッ!!!!!


1枚目。歯を食いしばり自傷行為で痛みを和らげたかったが、固定のせいで出来ない。


ベリッ!!!!!


2枚目。顔を無造作に振り回し涙を流す。


「痛いな・・・一度休むか?」


「はぁはぁ・・・・・・・・・・・・いけます。あいつは下半身が吹き飛ぶようなものを受けたんだ。こんなぐらいで・・・・・・ぐぅうううう!!!!!」


一度に3枚目と4枚目を剥ぐ。暴れるが手足が固定されているため剥ぐ事を止めることは出来ず次々と剥がされていく。


「1枚ずつ剥ぐとは言っていないしな。それに痛い時間は短いほうがいいだろう?」


「・・・・・・・・・・・・」


指の爪が全て剥がされたところで一度休憩に入る。


「はぁはぁはぁはぁはぁ・・・・・・きっっ」


「少し休んだら次は足に行く。そこの、足をやる前に指の手当てを。爪は生えてきはするが、元が潰れれば意味がない」


爪を剥いだ部下はペンチを箱にしまうとその箱から消毒液や絆創膏を取り出す。


「沁みますよ。我慢して下さいね」


「ん“ん”ん“ん“ん”ん“ん“ん”ん“!!!!!」


声にならない音を発してその痛みに耐える。


消毒液をかけたあと絆創膏を指1つ1つに巻きつけると、またペンチを掴む。


「続けろ」


そして足の爪を剥ぎ終わった。松長は身体をぐたりと前へ倒し肩を上下に動かす。


「これで松長への審問及び懲罰を終了する。全員解散」


各々は部屋を後にし残ったのは手足が自由になった松長と店長だった。


「流石にまだ動けんか」


「はぁはぁ・・・・・・まさかこの場でやるとは思いませんでしたよ・・・。覚悟はありますと言いましたが、審問中にやるなんて」


「生で見てもらった方が信用されるだろう?」


「そうですね・・・」


「下に帰る前に1つ質問がある。いいか」


血で赤くなっている絆創膏を見ながら、店長の言葉に頷く。


「じゃあもし、自分を含めて4人の仲間がいるとしようか。その4人のうち1人を殺さないと全員が殺される。そんな状況になった時君はどうする?」


傷を見ながら考える。どうするか?状況をイメージし考える。


「・・・・・・俺なら自分の命を捨てます」


「何故だ?人生は1度きり、それを捨てられるというのか?」


「本当は捨てたくない。だけど誰かが捨てなきゃいけないのなら、俺が捨てる事で友達を守れるのなら俺はします。自分の命が大事なら俺は今1人で来ないで司を連れてきてこいつが全てやりましたと責任を押し付けて逃げますよ」


松長の回答に驚いたのか、沈黙が数秒ほど続くとそこで「そうかと呟き部屋を後にした。


「(4人指定したところすれば、昔そんな状況にあったのか?それで自分の命欲しさに・・・・・・いやそれはないか。それだったらあんな悲しいというか後悔したような表情はしない)」


靴を履きおぼつかない足取りで部屋を出ると、ゼロツーとゼロスリーが顔を青くさせ頬が膨らみ、見えるところには青痣が見えた。


「・・・・・・お前らもやられたか」


「内出血はすぐ治る。指のやつは爪でも剥がされたか?」


「最初はエンコになりそうだったよ。仕事上エンコになんてなったら、仕事の数減るとこだった」


「今貴様の会社が潰れられたら困るのはこちらだ。ゼロワンが目を覚まさなかったらどうする」


「そんときゃ潰れる前になんとしても起こすつもりだ」


ゼロツーの肩を借りつつ帰路についていく。


「無理やり起こして僕たちの知ってるゼロワンを起こさないでよ?ゼロツーの話が本当なら止められないから」


「あれが何か分からない以上、発現条件も分からないから保証が出来ないな。俺も努力する」


松長はやる気に満ちた目で2人にそう告げた。


「(俺の仕事は終わった。あとは目が覚めるのを待つだけだ。・・・・・・覚めても生きる気力があるかどうかは不安だが)」


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