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その後に

「木下。どうにか出来ないのか?」


「傷の方はなんとか出来たんですが、ゼロツーさんの話からするとトリシュさんを自分の手で殺した事が響いてるみたいなんですよ」


「だがそのあと動いてるだろ?なんでこの状態なんだよ」


司は会社の緊急治療室で治療を受けたが、意識は戻らずにいた。


生物としては生きているが、人としては死んでいる状態が、もう数日続いていたのだ。


「何でも屋とは言っても流石に専門の中でも更に特化していないと知り得ない情報までは・・・・・・」


すみませんと頭を下げる木下だった。


「いや、出来ないことを無理やり聞いた俺も悪い。すまないな」


どうにか反応する方法を探していたが、これといって見つからない。


妹たちに合わせたり、好きな音楽や歌を聴かせたが、全て効き目がなかった。


「このまま目覚めるのを待つしかないのかよ・・・」


そんなある日、隣の治療室で危険な状態が続く瞳が松長を呼んだ。


「どうした瞳さん。悪いが司との面会はまだ・・・・・・」


『そうじゃない。司君の意識を戻す方法を思いついたの』


「・・・・・・どうやるんだ?」


『私は司君に生き返らせてもらった。だから、あの本で司君から支配権を奪えた。あの時の契約者とのパスは切れてる。だから私は今パスが元の司君へと戻ってる』


瞳は途中で咳き込み、それがマスクに血が付く。その血はまるで時間が経った血液のように真っ黒だった。松長の背中に悪寒が走る。


「パスが外れている筈なのにまだ繋がっている・・・繋がっているのなら生きている筈。でも出血は」


『うん。この黒さ。多分身体は死んでる。ずっと意識があるから細かく調べてないけど、多分調べたら脈も何もかも止まってると思う』


瞳は松長に腕を伸ばしてその腕を掴む。彼女の言う通り止まっていた。


「・・・・・・もしこれが司が目を覚まさない原因だとするなら、俺たちはどうすればいい?」


『わかってるでしょ?』


「っ・・・・・・」


わずかにたじろぐ。


『私のパスを切る。切れたはずのパスが続いているのだからそれしかない』


「そんなことしたら司が起こした行動が全て無駄になる。それは出来ない!」


松長が瞳の提案を蹴ったところで社員の1人が松長を呼ぶ。


「どうした?」


店長みせながの方から今回の件についての説明を求められて・・・」


「どんな理由があるとはいえ襲撃すりゃな。それも同じグループ内でだ」


「ですがそれはこちらが先に・・・」


「だからだろ。上に報告しておけば良かったってくどくど行ってくるんだろうなぁ・・・・・・」


「どうしますか?」


「行くしかないだろ。行くのは俺1人だ。説明をミスしたくないからな」


説得は運良く出来ても何もなく帰れるとは松長も考えていなかった。だからこそ部下が傷つかないように1人で行くと言ったのだろう。


「それも大事だけど私を・・・・・・」


「あなたへの対処は後日言わせてもらう。今はこちらの仕事が優先だ。今すぐあなたを殺しても店長への報告が遅れれば全員死んでもおかしくない」


「・・・・・・分かった。じゃあ待ってる」


瞳はそれを最後に窓の方を向き口を閉じた。今は話すことはない。松長と部下は部屋を出た。


「社長・・・・・・」


「俺は会長(かいなが)グループなのに彼らのようにビシッとはっきりと決めれない。優柔不断なガキだ。本当どうにかしたいよ全く」


松長はそうぼやくと自分の部屋に戻り荷物を整える。可能な限りの証拠と理由、それらを彼ら店長に見せることで正当性を見せなければならない。


荷物を整えたバックを手に持って店長の場所へ向かおうと部屋を出ると、扉のそばで試作品2号(プロト02)試作品3号(プロト03)が壁に寄りかかって待っていた。


「お前ら怪我の方はもう良いのか?」


「これぐらい怪我のうちには入らんよ。・・・・・・部下の1人から聞いた。上に行くんだってな」


「それがどうかしたか?上の命令を仰がずに行ったんだ。そりゃこうもなるさ」


「いやね、ゼロツーが言いたいのは護衛に付くってこと。流石に話の中までは無理だけど、そこに行くまでに何もないとは考えにくい。だから安心して話が出来るようにって」


「お前には生きてもらわないとゼロワンの全力を見れないからな。俺は、俺たちはそれに勝ってこそ意味がある」


「自称オリジナルのあいつがいた時点でそれはもう意味がないとしてもか?」


「俺たちの目的は言えないが、その目的に必要だとだけ言っておく」


にやりと松長は笑みを浮かべると言葉に甘えてそれを受け入れた。


「(こっからは俺の戦いだ。あいつが身体なら俺はあいつがそれを思う存分振るえる様にするだけだ)」

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