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ダンジョン戦7

肩を上下に揺らすトリシュと一切汗もかかず、担いだままの男。どちらも倒れていないので、身体の疲労が見えるトリシュが負けたのだろうか?


「それで全力だったのか? それともこいつを背負ってたからか? 前にあった時とは随分と丸くなったようだな」


頬を流れる汗を拭くと槍を構え直す。


「そうか・・・・・・まだやるか。勝たないと出られないのだから当然ちゃ当然だがねえ。少しそこでくたばってろ」


敵の右手から火の玉のようなものが作られると、消えた。


「(な、なんだ? )」


「がっ!!!!!」


トリシュの悲鳴が聞こえた。腕からトリシュに視点を変えると、トリシュの左足が消えていた。


「トリシュ! お前っ!!!!!」


「戦いに手を抜くやつがいるか初心者!」


「一厘しか出さないとか言ってるくせにそれ言うのかよ!」


「お前らに合わせた状態で俺は全力を出した。なんの問題もないだろ」


言い切るとまた一つ球をトリシュに飛ばす。今度は見切れたようで弾いたが、続いて放たれた球を対処することは出来なかった。


左腕が吹き飛ぶ。意識が朦朧としてきているのか、今の体制を維持するので精一杯なのか、ゆらりゆらりと身体が揺れている。


さらに二つ球を飛ばして、トリシュの四肢をもぎ取った。


「トリシュ!!!!!」


先ほどのようにパタパタと身体を揺らすが離す気配がない。このままじゃ・・・・・・と司は焦りを感じる。


「(トリシュが動けなくなった時点で俺がこいつに勝てる可能性はゼロだ。0.なんパーとかじゃなくてな。なら出来ることはこれだけだ)」


右腕から流れ出る血を左手に付けるとトリシュへ飛ばす。


「なんのつもりだ?」


「ワンチャンを作るためだ。少し噛みつかせてもらう! 」


叫ぶのと同時に蛮刀を作るとそれを敵の腹部に目掛けて差し込む。


「ぐっ! お前っ! 」


投げ捨てられる司。もうまともに動ける身体ではなかったこともあり、体勢を変えられないまま空中に浮く。


「その子が死ぬ前に殺してやるよ」


「早くなっただけだろ! トリシュ! あとは頼んだぜ! 蘇生契約! コストは・・・・・・」


もう一度右腕の血を取り胸にその血を付ける。


「ちっ! 」


先ほどトリシュに放った球とは違って黒い光線を司に放つ。


光線は即座に司に触れて燃えていく。


「があああああああああ!!!!!!!!!!」


言い切る前に身体全身が溶け始め痛みが襲う。だがまだやらなければいけないことがある。耐えろ。耐えてみせろ。司は自分に言い聞かせる。


「コストは!この俺だあああああ!!!!! 」


言い切ったのと同時に司は飲み込まれその声は消えていった。



「・・・・・・間に合ったみたいだな。良くやったぜ小娘。そうは思わねえか? トリシューラ」


四肢を失っていたトリシュから衣服と共に手足が再生していた。髪の一部が赤くなっていたりもしたが、1番の違いとして見て分かる分かる程に背が伸びていた。


「久し振りに見たぜ! お前さんの全力の姿ぁ! ホントべっぴんさんだなあ! 」


右腕の袖から糸を伸ばしてそれを使い切れた腕が付いたままの槍を手に取る。


「マスター・・・・・・」


「命を賭してやってくれるなんざ、マスターとは失格だが、人間としては鑑だなぁって思わねえか? 」


答えることもなく、トリシュは敵へ突っ込む。


「その姿になっても俺にゃ勝てねえんだから、少しぐらい話しようぜ? 」


「あなたを倒して、ツカサをマスターを助けないといけませんので、あなたに構ってる暇はない。地獄の鎮魂歌ダークサイドレクイエム——————いえ、シュウヤ」


槍がシュウヤと呼ばれた男に一直線に飛んでくるが、それを燃える剣で流す。


「あれは技名だから叫んだが、名前として使われるのは恥ずかしいから辞めてくんない? 」


「あなたが最初にそう名乗ったのでしょうが」


「若さゆえの過ちってことで」


互いに余裕があるのか、打ち合いながらも会話が続けられる。


シュウヤの切り上げでトリシュは槍ごと後ろに飛ばされる。


「いくぜ! フレイムソード展開だ! 」


足が地面に着いていないトリシュの状態では回避出来ない。トリシュはバランス悪い今の状態でフレイムソードにひと突き放つ。


槍はシュウヤの顔を僅かに擦りフレイムソードもトリシュの腹部を擦っただけだった。


「実力は均衡してるなあ!トリシューラ! まともにやりあえることに感謝しないとなぁ! この小娘に。いや、もう女性って年齢か? 興味ねえからどっちでもいいんだけどさ」


シュウヤの横薙ぎが素早く左右に振られるのをトリシュはしゃがみを使いながら距離を近づける。


しゃがんだまま槍先を突き立て顎に刃は向かうが、フレイムソードの柄の部分でそれを防御する。


「ほうれ、早く勝たないとお前のマスターが死んじゃうぜぇ」


「言われなくとも、全力で!」


槍を何度か回すと、左腕と足を前に出して狙いをシュウヤに定める。


「また熱量対決か? いいぜ。受けてやる」


フレイムソードが消えてまた腕が燃え始める。


「聴かせてやるぜ地獄の猛火。そして死者へと送る鎮魂歌! 全てを消し去れ!地獄の鎮魂歌ダークサイドレクイエム!!!!! 」


右腕が赤く、黒く燃えている。


「破壊の聖槍———今ここに新たな道を創り出さん。インドラよ刮目し我らに新たな道を導き給え! 空前絶後!!!!!」


二本の光の刃がもう一度衝突を開始した。

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