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守護者に連れられて

何日も繰り返せば、慣れてしまう。戦場という極限状態にいるとそこが日常になってしまうのと同じように。


それを危惧したのか、トリシュはいつもの場所とは違う場所にバイクを走らせていた。


「どこ行くんだトリシュ? 諦めさせるつもりならあのまま続ければいいだろ? 」


「いえ。あのままやっても進展がない。そう判断したんですよ。とりあえず騙されたと思って乗っていて下さい」


「トリシュがそういうなら乗っとくけど、別んとこ行っても俺は諦めねえからな」


「その口が開けなくなるぐらいのものを見せますよ」


トリシュに掴まったまま平原を走り続けて行くと、森が見えてきた。あの場所でトリシュと打ち合うのだろうかと司は考えた。


バイクは森に入っていくと速度を落とすことはなく、逆に速度を上げて森の中を抜けていく。


平原ではほかに物がなかったが、ここには木がありそれの側を走る形だ。司が怯えた表情でトリシュに尋ねる。


「ト、トリシュさん・・・・・・? あのですね、スピード落として貰えるとおおおおお!!!!!? 」


司の頼みとは逆に速度を上げてかつ木にぶつかるギリギリを走り始めた。


「わざとだな! わざとだろ! わざと以外ないな! 」


トリシュはわずかに口を緩めるとクスリと笑う。


「ななななんか変なこと言いました!? 俺ええええ! 」


「・・・・・・秘密ですよ! 」


しつこく尋ねられるほどの余裕もないので、トリシュに強く抱きつくと目を閉じて目的地まで恐怖と戦いながら待つ。


バイクが森を抜けていく。動物たちも音に反応して逃げているのか元からいないのか出てこない。


坂を降っては登るを何度・・・・・・いや、もう数えきれないほど繰り返したところでやっと、バイクは速度が遅くなって停車した。


止まると同時にバイクを降りた司は産まれたばかりの子鹿のように足を震わせて膝をつく。それほど怖かったのだろう。


「アビィビィビィビィビィビィ・・・・・・」


「怖い運転をしたのは謝りますからね? ここからは徒歩で行きますよ。ツカサ」


「わ、わわわわわわわわわ」


「はあ・・・・・・いつまで腰を抜かしているんですか? 」


「もう2度こういう狭いとこは走らせない。走らせるぐらいだったら降りるわ・・・・・・」


なんとか立ち上がることは出来た司だが、それでも足を動かすことが出来ずに手を膝に付けて過呼吸気味になっていた。


反省しているのか、トリシュは司の肩を持つとバイクはそのままに近くにあった廃墟に入っていった。


廃墟といったが、どちらかというと廃墟というより漫画などでみるダンジョンというやつに見えなくもない。入ったそばから階段なのだからそう思われてもおかしくない。


一定段降りると、そのまま降りる階段と左右に道のある踊り場に着いた。


そこで司を降ろすと、トリシュは司に話しかける。


「マスター。ここは俗に言うダンジョンです」


息が落ち着いてきたようで、トリシュの言葉に返す。


「見りゃわかる。けど何故わざわざこんなところに来る必要があるんだ? あの方法じゃ俺が諦めないと踏んだからか? 」


「それもありますが・・・・・・気分です」


「(どうせやる気もないくせに・・・・・・)気分とはこれまたひでえなぁ。そんで左右の道は何があるんだ? 」


「行く経路が違うんですよ。階段で降りれば、早めに降りれる代わりに危険なものがある。左右は微妙に違うだけで同じという感じですね」


「詳しいな。何度か来たことあるのか? 」


僅かにトリシュが遠くを見るような視線を向けると話を続ける。


「昔、私の師匠に連れてこられて。今のツカサのように私も足を震えさせましたけどね」


「じゃあなんで同じことをやったのか・・・・・・コレガワカラナイ」


ため息を吐くと階段の方向を指す。


「理由は・・・・・・? 」


「危険はどうせゼロツーたちから味わってる。今更1個や2個増えても関係ない。本音は後ろに戻りたいだけど、どうせそれは無理だろ? 」


「あれは入り口ようですから。出口からしか出れませんよ」


「悲しいなぁ・・・危険を突破して出りゃ今回は終了って感じか。やってやるさ」


よっこらせと立ち上がるとトリシュに首で「行こうぜ」と合図すると、トリシュも反応して階段をさらに降りていった。


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