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守護者との会敵2

太陽の光とは別の何かが司の目に入る。


「くっ・・・・・・痛っ!」


身体中に鈍い痛みが走る。視界も光は認識できるがそれ以上のことは出来ない。


痛みを感じているということは生きているということか。


痛みの走る身体を押して身体を起こすと、表情までは歪みで見えないが、1人の人間がなにかを口に運んでいた。


匂いと空気や横になっていても問題ないほど座席が大きいことから、それなりのレストランなのだろう。


「お目覚めですかマスター?」


「・・・トリシュ?・・・・・・!?」


不明瞭な視界のまま座席の上に立ち上がり小型の蛮刀を構える。


「どういうつもりだ・・・?殺すんじゃなかったのか!」


「ここは食事をするところですよ、マスター。人を殺す所じゃない」


「そういう話をしているんじゃない!」


「ぼうず。その嬢ちゃんの言う通りだぜ?ここは飯を食うとこで武器を握るような場所じゃない。さっさとそんなもん納めて食いな」


呆気にとられる司を食べ物を口に運びながら見るトリシュ。


「いやいや!ここが食うところってのは分かる。けどこいつに殺されかけてんだ」


「ゼロツーたちにも同じことされたでしょう」


「あれは停戦協定的な・・・」


「家では狙わない。それが彼らとの話です。しかし一度ゼロツーたちに匿われた時あなたは彼らには襲われなかった。ここにどんな理由があろうと攻撃されなかったという事実に変わりがない」


「だから自分も同じことをすると・・・?」


「生殺与奪の権利はこちらにあります。あなたの命を奪うのは簡単なことなんです。手を抜いているってことですね」


「・・・・・・そうかよ」


座席に座り直し不明瞭なまま食べ物をかき込んでいく。


後ろで調理をしている男がガハハと笑うと後ろから司の背中を叩く。


「いい食いっぷりじゃねえかぼうず!見てると気分がいいもんだ!」


「食ってるところに背中を叩かないでください。・・・強くなるために体力を付けなきゃならないんだ」


「そうか。んじゃ、いくらでも持って来てやるから食えよ食えよ〜」


調理師と司が話しているところを見ながらトリシュは笑みを浮かべて次の食べ物に口を付ける。


「ん?なんだよ?なにがおかしいんだよ」


「いえ、昔一緒にいた人に似ていまして」


「それを思い出したと?」


汁に浸された麺を口に運びながら笑うトリシュを睨みつける。


「ええ。ここもあの人とよく来ていまして」


「ふーん。だから料理人のおっちゃんもトリシュに対しての口が軽いわけか。俺にもだけどな」


そう呟くと、すぐに目つきが強くなる。自分が狙われていることを僅かな時間とはいえ忘れていた。


「そんなに嬢ちゃんに殺意を飛ばす必要なんてないだろ。ぼうず」


「そうだとしてもやっぱり警戒はしないと」


「この街内では攻撃はするつもりはないですよ。ここの皆さんは知り合いですし、今回の件も理解した上で協力なされてるんです」


「俺かお前が死ぬまで戦い合うっていうのをか?みんな知り合いなら止めるだろ普通」


「詳しい話は知らないからな。嬢ちゃんが人の殺しをこっちに依頼するようなこと以外は尋ねはするが、とみゃしない」


他人ではないが家族ではないということなのだろうか?それとも家族だからこそ家族の判断を本人に任せているというのだろうか。この時の司には分からなかった。


・・・・・・さあ今食べるものが最後の食事になるかもしれない。司が死にその身体をトリシュが奪うのか。それとも司が覚悟を決めてトリシュを殺すのか・・・。その答えをまだ司は見つけられずにいた。

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