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作戦8

司は長い時間眠りについていた。これは体感の話で実際はそれほどのものだったのかもしれない。何があったかといえば・・・・・・。


試作品5号(プロト05)は膝の上に司の頭を乗せている。


ゼロツーはどうにか目が覚めないかと木下たちと連絡を取る。


「マツナガと言ったな会長グループの末端。ゼロワンのこと知っていたんだろう?」


『お前もゼロワンというのを知っていた以上変だとは思わなかったのか?』


「こちらの質問が先だ。答えないならあんたらとの契約は破棄してここで殺させてもらう」


空気が固まる。冗談だろうと目元を隠したままゼロツーを見る2人。


無線先も驚きを隠せないのか松長以外の声が微かに聞こえる。


帰る言葉はない。僅かにゼロツーの銃が司の頭に近づく。


「こちらは冗談じゃないぞ。元からこいつは殺す予定だったんだ。今はこちらにも危険があったからそちら側についてはいるが、ルールの変更が虚偽があったのなら、今すぐこいつを殺して俺たちは俺たちのしたいことをする」


『・・・・・・ふぅ・・・・・・』


身体から息を出すように息を吐くと返ってきたのは意外な言葉だった。


『好きにしろ。お前にその勇気があるならな』


「なっ・・・!?」


「松長さん!?今なんて?」


『今の俺はゼロツーと話している。ほかの試作品(プロトタイプ)の話は聞き入れない。それでどうする?殺すか?オレは構わんぞ』


「貴様の友人じゃないのか!」


『間違いじゃない。だがそれは松長()としての話であって会長グループ(オレ)じゃない。どういう意味か分かるか試作品2号(プロト02)。この作戦自体司のわがままを受けてのものだ。最近会ったばかりの人間に命をかける?それはいい。ただのお人好しで片がつく。だがこれ以上迷惑をかけるのであればオレは司を切り捨てる。他にもデータの取れる人間はいるからな』


「いいんだな・・・・・・」


『やりたいのならやれ。やれば今度こそお前はゼロワンを失う事になるがな。条件付きとはいえ会える可能性を捨てられるならな。オレにはその覚悟がある』


ゼロツーの銃に力が入り指が引き金に近づく。あと数ミリ指を引けばそこから弾が飛び出し司に最後の一撃を与えるだろう。


銃声が部屋中に広がった。その銃弾は司に当たることはなく別の場所へと飛んでいった。ゼロツーが別方向に撃ったわけではない。司とゼロツーの間に壁が現れたためだ。


ただの拳銃でわずか数センチのものを貫通するにはそれ相応のものでなければ無理だ。厚さ数ミリの鉄塊を貫くことが出来ないその銃に試作品6号(プロト06)の作った壁を越えることは出来なかった。拳でなら違っていただろう。


試作品6号(プロト06)・・・・・・邪魔をするな。このまま放置すればまたいつあれが出るか分からない。俺と対峙している時は俺の知っているゼロワンに近く感じたが、2人が来てから別の者になっていた。あの人は自ら人を殺しに行くような人じゃないかった。まるであれはそうしなくちゃいけないような・・・・・・そう、強迫観念だ。その強迫観念に突き動かされてやった感じだ。それだったら危険だ。あの人にも男の方のゼロワンにもこんなことをさせるわけにはいかない」


「ゼロツーが辞めさせればいい」


銃口はそのままに首を横に振る。


「無理だ。ゼロワンが生き続けるという事はこれからこいつは強くなる。前は逃げることしかしてなかったこいつはたったの1週間と3日4日でここまで強くなったんだ。それも前は本がなければ出来なかったことが出来るようになっていたりとな」


「だからって殺さなくても。寝てるのなら放置でも」


「寝ているからこそ危険なんだ。ゼロワンの意識がないという事はほかのゼロワンの意識が入り込みやすいということに他ならない。いいから壁を外せ。君たちを撃ちたくはない」


「・・・ゼロワンを撃ちたいなら私たちを撃てばいい」


「そうか・・・」


重なった銃声と空薬莢の音、そして倒れこむ試作品6号(プロト06)


壁に隠れていた試作品5号(プロト05)はそれを見て悲鳴をあげる。


「やって・・・やっていいことダメなことある。ゼロツー。それをやった」


「お前も邪魔するか?」


銃口が試作品5号(プロト05)に向けられる。動くことなど出来るわけがない。動いたら司が死ぬ。どう転んでも積みというやつだ。


容赦なくゼロツーが弾を撃つ。倒れこむ試作品5号(プロト05)・・・・・・はいなかった。何故ならば——————。


「遅くなったなぁ・・・・・・みんな」


司が立ち上がり弾を弾く。その弾はゼロツーの背後に近づいていた敵に当たりその場は静かになった。


そして・・・・・・司が次にこぼした言葉は・・・・・・。

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