作戦6
どうやっても・・・敵意を消しても反射を利用しても・・・ゼロワンに一撃を与えることは出来ず数十回という吹き飛びを繰り返していた。
「くそっ!どうすればいい・・・あの人に勝つにはどうすればいい・・・力じゃ赤い悪魔に。回避しても強制的に動きを止めさせられて直撃を受ける。どうすりゃいい!」
「いい加減自分の実力は分かったろ?だからボクに任せればいいんだ」
あの2人がどうなるか分からない。だがゼロワンを倒せないようでは決して勝つことは出来ないだろう。だからゼロツーたちに向かわせないようにしているのかもしれない。
ゼロツーは少しずつ彼女の言っていたことが理解出来てきた。今の自分がまるで司のような状態だと。ただゼロワンの攻撃が死ぬようなものでないだけであって、状況はあまり変わらないのかもしれない。
しかし異なることもある。ゼロツーには司のように助けてくれるような何かを持っていない。つまりはどうあがいてもゼロワンには勝つことが出来ないのでは?と思い始めていた。
「星屑の拳!」
ゼロツーの拳が同時にマシンガンの弾のようにゼロワンへ襲い掛かる。しかし全て赤い悪魔の腕に弾かれてしまう。
「必要なのはただ一撃のみ。本当にボクを倒そうと思うならもっと頭を使うんだよ」
赤い悪魔に腕を掴まれ動きを止められたところにゼロワンの横膝蹴りがゼロツーに入る。吹き飛びかけるが赤い悪魔は放すことはなくそれを何度も繰り返される。
「がふっ・・・」
数回繰り返されてそこで数回目の空へ飛ぶほどの一撃を受けて地面に落ちた。
———今の俺ではあいつの腕を砕けない。奴を放置してゼロワンの元に行っても拳が届く前に赤い悪魔に止められる。どうすればいい・・・・・・どうやれば両方に追いつける?———
「ポツー。君の拳は十分力がある。けどそれを拡散に使えばそりゃ砕けるものも砕けないさ」
———拡散では1発の威力は落ちる。ならそれを1つに絞るのは・・・?
出来るかどうか分からない。だがもう他の手段はない。それに賭けてみるしかゼロツーにはもう手段がなかった。
倒れた状態で回し蹴りを行いゼロワンと赤い悪魔から距離を取る。
「あんたはこう言ったな。拡散はダメだって」
「ダメとは言わないけど、正解択じゃないよねって話し」
「ならあんたの言った通りにしてやる」
右手を左手で包んで構える。
「必要なのはただ一撃・・・・・・砕けぬのなら砕けるまで殴る。それを一撃で・・・・・・」
多くの拳を左手で無理やり押さえ込んで圧縮していく。
「拡散部分は1点に・・・・・・!」
左手を離しゼロワンへと飛びかかる。当然のように立ち塞がる赤い悪魔ヘ拳を放つ。
「1点集中星屑の拳!」
赤い悪魔の腕に当たる。止められたかと思われたが、後からババババと同じ場所ヘ音のみが赤い悪魔の腕を貫く。
数十回音が鳴ると別の音も混ざり始めていた。割れた音が鳴る。ゼロワンは何の音か分かったのか、ゼロツーへと殴りかかる。
途中で攻撃をやめることはなく、ゼロワンの一撃の直撃を顔面で受ける。
血が流れる・・・・・・だが拳をずらすことはなく最終的にその腕を砕ききり赤い悪魔の武器である腕を奪った。
「これじゃ防御に使えない・・・・・・っ。戻って赤い悪魔!」
赤い悪魔を手元に戻しつつ距離を取りながら小火器をばら撒く。こうなればいけるとゼロツーは素早くそれらを回避するとゼロワンの目の前に滑り込み顔を目掛けて右手の拳を放つ。
狙うところが分かるのならば問題ないとゼロワンはその拳を左手で薙ぎ払う。それと同時に右腕をゼロツーヘと飛ばす。
共に相手の腕を防ぎ防がれる。
「防御に入ったなゼロワン」
「いいや防御じゃないさ。ただ腕に対して攻撃しただけさ。攻撃は最大の防御だからね。けどどうする?純粋な力勝負ならボクの方が上だよ?」
「なら純粋な力以外であんたを倒すだけだ」
防いだ右腕を左手で掴みゼロツー側に引き込もうとするとそれ以上の力で引っ張り返し逆に投げられる。
空中にいながらも攻撃を止めることはなく、腰のナイフを腹部へ投げる。
そのナイフを飛び越えてゼロツーよりも高い場所まで飛ぶと空間に壁があるかのように足をつけてそこからゼロツーへと飛びかかる。
なんとか先に地面についたゼロツーはもう一度先ほどの1点集中星屑の拳を放つ。
ゼロワンも負けじと両腕を引いてぶつかるところでクロスボウのように腕を前へ突き出した。
2人の腕がぶつかりあい、お互いに進んでいた方向と別方向に吹き飛んだ。