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作戦5

「いやあ」


「いやあ。じゃねえ!どういう原理だ!?何でゼロワンはさっきまで男だったろ!何であんたが出てくるんだよ!」


「だからボクがゼロワンだからに決まってるからでしょうが!ポツー!」


銃口を下ろすが警戒はかけつつ話を続ける。


「それだったらいつもゼロワンは常にそのパーカー着ていたってことだろうが!」


「そこは松長君に聞いてみればわかると思うよ。でもさボクが男じゃないってことは知ってた筈なのにねー」


「・・・・・・」


「あの後ボクの身体が弄られて外に捨てられたわけだしそう思ってもしょうがないよねー」


ゼロワンの態度に呆気を取られたのか、開いた口が塞がらない。


はあ・・・・・・とため息をつきつつ頭を片手で押さえる。


「じゃあ何で今になって戻ってきた?戻れたのなら何でもっと早く戻ってこなかった?」


「無理やり出たら今のツカサの人格は崩壊する。そうなると悲しむ人がいるからね。ボクはただ、彼が普通でいられるよう生き返っただけさ」


「普通にいられるといったが、ゼロワンはそれを知っているのか?」


「意識がない時にやったから彼は知らない筈だよ?知ってたら知ってたでボクは気にしないけど」


そういえばと何かを思い出したかのように手に手を乗せると別の話を切り出す。


「そういや君たちは2人の少女を助けに来たんだよね?」


「それはゼロワンの目的であって俺たちは俺たちの実用性を見せつけてもう一度やり直すためだ」


「最終的はツカサを倒すことが出来れば実用性って証明出来るよね?だったら今はボクの提案を聞いてくれないかい?」


「提案?」


首を縦に振る。


「今からボクが上にいるやつらから2人を助け出す。そのあとツカサに身体を返して君たちの好きにすればいい勿論死にそうになったらボクが出できちゃうけど、ボクが出てきた時点でツカサはほぼ死亡しているようなものさ。ボクがボク自身を高速で治療しているようなものだから治療しなかったら死んでいるわけだし元の目的は達成されるんじゃないかな?」


「飲めると?」


「まあ飲めないわな。君はボクがこれだけの死体を作ったと思ってるんだからね。取り返すといってもその取り返したのは首だけ・・・・・・とかになるんじゃないかってね。状況判断でなら考えられるのが今のボクに説得力がないことを悔やむところだよ」


肩を降ろすと上から2つの物体が落ちてきた。ライトを当てると1人が少女の、もう1つは司を襲った巨人の死体だった。


「やはり殺していたな。そんな奴を信用できるわけが」


悪寒がゼロツーを駆け抜ける。ライトをゼロワンに当て直してみるとただ優しく笑みを浮かべていた。


「言っただろう?ボクは殺してないっていったのはこの部屋中の血の持ち主であってここを管理していた人とは一言も言ってないでしょ?」


言い返す言葉がない。


「もしそうなら何でこうなるまで出なかった?」


「簡単な話ボクが出られる状況じゃなかった。よし出ようと思ったら向こうはツカサを再生させてまた殺す。それを数十回行ったんだよ。意識も途切れる前に蘇生させられちゃうからボクが出ようとすると強制になっちゃうしね」


「だったらいつ出た。そんな奴が休む時間を与えるとは思えない。何で出れた?」


「飽きたんじゃない?」


「軽いなっ!余計に信用出来るか、俺たちでやる」


そうか・・・としょげるともう一度顔を上げてゼロツーを見る。


「ボクのことを覚えているならどうするか分かるよね?」


「力で示せって事だな。良いだろう俺がここ2年間で得た技見せてやるよ」


右腕を腰に当て左腕を前に構え形を取るゼロツーと右手をただ前に出すだけのゼロワン。


「来て赤い悪魔(レッドデーモン)


司がカオちゃんやチェンちゃんを呼び出した時のように現れたが、大きさが違った。2メートルはあるのではという大きさだ。


「さあ君の力を見せてみろ!ポツー!」


言うまでもない。ゼロツーは素早く赤い悪魔をすり抜け右手の拳を強く握りしめ殴りかかる。


ゼロワンはそれを右手で受け止め勢いを殺すこともなく後ろへ投げる。


腕を掴まれたまま投げられるが身体を捻ることで何とか倒れることを防ぐ。


着地と同時に左腕で殴りかかるがこれも簡単に止められてしまった。


「くっ・・・・・・」


「ツカサは思ったより力をつけてくれてたみたいだね!純粋な力じゃボクは君に勝てなかったもんねー」


少しずつ押し込まれていく。足に力を入れ床が窪むほどの力を出すがそれでも押し返す事はできずその場で止まってしまった。


ならば押してダメなら引いてみろと言うばかりに腕を引きゼロワンの身体を引き寄せる。


背中を床につけたところで腹部に足を当て蹴り飛ばす。


蹴りは攻撃としてではなく方向指定に使ったようなものなため威力はなくただ空中に浮く。


そこに銃弾をフルオートで撃ち込むが全て赤い悪魔に弾かれてしまう。


起き上がりつつ弾倉を入れ替えてもう一度銃口をゼロワンに向ける。


「ゼロワン!赤い悪魔をどうして攻撃に参加させない?同時にすれば俺なんて・・・舐めてるのか」


「昔みたいになってきたねーボクは嬉しいよ。んじゃ質問に答えよう!理由は簡単攻めと守りのステをガン振りにしているからさ。この子を防御にガン振りすればボクが攻撃してる隙を援護してもらえるでしょ?今みたいに動けない空中でもああ弾いてくれる。それにただの攻めだけならボクでも出来るしねー」


んじゃつぎはこっちの番だと呟くと、ゼロツーの写し鏡にような構えでゼロツーと向き合った。


「君に教えたのは守りの型、攻めのじゃない。君はそれを無理やり攻めに使うからボクみたいな型を知ってる者からすれば余裕のよっちゃんちゃんと言うやつだね」


「だから?」


「冷たいなぁ・・・・・・せっかくだから攻めの型を教えてあげるよ。応用だから君でも使えるはずだしね」


赤い悪魔を横に移動させゼロツーへと飛ぶこむ。ここまでは今までのゼロツーと何ら変わらない。


「必要なのはただ一撃。残りは全て布石・・・」


正拳突きをゼロツーはゼロワンの時と同じように掴もうとするが、足に痺れ———いや震えがくる。


巨大な何かが下を通ったのかと僅かに視界を下に向けてしまう。


それが命取りだった。掴む筈だった腕をすり抜け肩へと吸い込まれて行きゼロツーは降り側の階段の踊り場まで吹き飛んだ。

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