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作戦4

遅れて到着したゼロツーとゼロファイブおよびシックスは上層エリアへと足を進めていた。


「重要な場所だってのに思ったより敵兵が少ないな・・・」


「下に出払ってるのかも?」


2人の能力を使いこちらは常に盾になる壁を作りながら発砲して進んでいく。撃ち漏らせば壁に閉じ込められてゼロツーたちの弾だけ彼らを襲う。


『HQよりゼロツーへ。ゼロワンのシグナルを確認できない!そちらからはどうだ?』


本部の方の慌てようは普通ではなかった。こういう反応の時はなにか大事なものを失った時になる奴だ。


機械内地図を開くと映し出されたのは下で戦っているハチと雷電、ゼロツーたち3人とその上にいるのはゼロスリーだけだった。


ゼロワンのものだけない。機械の中枢部だからと言ってここまで慌てる必要があるのだろうか?


なにかの理由でパワードスーツを脱いだ可能性もあるが、まあ低いだろう。だからシグナルがなくなったことで慌てているのだろう。


ゼロスリーたちが通った道をそのまま進み上がって行くと、瓦礫と共に腹部を押さえたまま倒れこむゼロスリーがいた。


「ゼロスリー・・・・・・2人とも応急処置は出来るな?俺はゼロワンのシグナルが消えた場所に先行する。治療が終わり次第来てくれ」


「了解。ゼロツーも気を付けて」


「ま、待ってゼロツー・・・・・・た、多分ゼロワンは巨大な人にやられたんだと———っっっ!!!!!思う・・・。一度当たった相手だから倒すのは無理でも硬直状態には出来ると思ったんだけどね・・・思ったより成長速度が速いみたいだ」


「無理するな。お前がやられたのは瓦礫のせいだって知ってる。動けるようになるまでは休んでろ」


3人を置いて先へ進むと、途中の階段で嫌な、吐き気を催す匂いがゼロツーを襲う。


「(血か・・・・・・にしては強い。これだけの匂いを出すには数十単位で生物を殺さないと出ないぞ・・・)」


上がった瞬間に攻撃が来るかもしれない。周りを見ながら進んでいく。


階段を登りきるところで左右を見渡す。右には何もない。左には司が背中を壁につけて倒れていた。


部屋は暗く司の状態が確認出来なかったため、近づくゼロツー。


「ゼロワン・・・!」


司のそばによると司の身体は下と上が捻り切られたようだった。


餃子の中身のように流れ出ている。かき集めて身体に戻してももう間に合わないのは誰の目にも明らかだった。


「こちらゼロツー。ゼロワンを発見。現在は息があるものの治療は間に合わない。ゼロワンがいなくなった以上撤退も視野に入れた方がいいと提示する」


『そ、そんな・・・』


「ゼロワンを1人にさせたこちらのミスだ。すまない」


部屋に何かが割れる音が聞こえた。音の方向に銃を向ける。


『ゼロツー・・・・・・司を、お願い出来ませんか?』


「悪い、敵がいる。先にそちらを優先する」


無線を切り意識を音の先に向けるが部屋の暗さをどうにかするために明かりを点けて先を見渡す。


ガリッ!


骨が砕ける音がする。人の力で骨を砕くことは出来てもそれが目の前ならば聞こえても問題ないが、少なくとも近くにはその音を出した持ち主はいない。離れたところから聞こえるのは事実だ。尋常じゃないことは確かだ。


ゼロツーが点けた明かりが床を進んでいく十数メートル進んだところで人の足が見えた。


ガリッ!


音がさらに大きくなる。近づいているわけでもない。さらに強い力が音を立てているということだ。


明かりを上げていくと身体が血に染まった人間が座っていた。


銃口も自然と上がっていく。座っている人に銃を向ける。


「貴様がやったのか?ゼロワンを一度殺しただけではこれほど血生臭くならない」


「ん。ポツー?その声。ボクだよボク。覚えてない?」


「オレオレ詐欺ならぬボクボク詐欺か?」


「そういうつもりはないよ。分からないならしっかりとボクに光を当ててみたら?」


必要ないとばかりに弾が飛ぶ。


「光じゃなくて弾を当ててこようとしたか・・・本当に覚えてないの?」


立ち上がり手に持った何かを投げ捨てそれがゼロツーの足元に転がる。


感触はまるで冷たくなった人肌のように感じた。


僅かに視界をそれに落とす。小さく悲鳴をあげながら階段まで飛び退く。


「あんた自分が何をしたのか分かっているのか?」


「因果応報って言葉知ってる?ただボクはそうしたまでさ。悪い?」


「良し悪しの問題じゃない。人を食らっていい訳がないだろうが!貴様がゼロワンを殺してその破片を・・・!」


「ボクが殺したんじゃないって言っても聞いちゃくれないだろうけど念のため言うよ。ボクは殺しちゃいない。それに食ってもいない。ただ自分の身を守ろうとしただけだ」


ゼロツーの銃に力が入る。


「君が食べていたって思うのはただの携帯食糧だよ。人間の顎で常人以上の骨を砕ける訳がないじゃ———」


パンパンパン。言葉を遮られる。


銃弾を大型蛮刀の刀身で弾く。弾倉を入れ替えつつ回り込むように移動し銃弾を撃ち込むがそれも見えているから簡単だと言うように弾いていく。


「やっぱり人と話すときは顔が見えなきゃ信用っていうか話が通じないか。SP(ステルスパーカー)解除。わざわざもう1人のボクに渡すために作るなんて凄い技術だよね。松長君」


弾を弾きながらフードを外す。声のトーンで女性というのは感じたが、衣服から見えた姿は男性的な身体つきだった。


しかしゼロツーをもう一度見直した時には身長は目立つほどの変化はなかったが、身体つきが、特に胸が大きくなっていった。パーカーのチャックを開きファサッと音が聞こえる気がした。


「これなら覚えてるでしょ?」


「んな・・・バカな。何で・・・何であなたが生きている!」


ゼロツーの目が大きく開かれる。銃がカタカタと震えて狙いが定まらない。


「そうだよ。君たちがずっと読んでいた。ゼロワン・・・・・・そのオリジナル。現ゼロワンのツカサがゼロワンになる前の人格だ」




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