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反攻作戦開始前2

「行きは使えたのに帰りに壊れるとかついてねえ!」


「戦闘で色々なものが壊れましたからね・・・しょうがないかと思いますが、やはり文句はでますね」


「救急の人みたいに滑って降りるか。あっでもこの高さからだと摩擦でおててが黒くなっちゃう!」


「だから大人しく階段で降りているわけですが主任。身体に馴染ませるには逆に良いのでは?」


「その前に熱さで手を離して死んじゃうわい!」


大人しく諦めて階段で降りて行く。火災により崩壊したとはいえ、それでも高層ビルであることには変わりない。同じ場所をぐるぐる回り続けているのではと思いたくなるぐらい回っていると、そこでやっと一階まで降りてくることが出来た。


「(俺ではなく会社を狙うような手段を選ばない輩なのにこういう時には放置なんだな・・・)」


襲撃されないのに越したことはないが、逆に不安にもなる。自分たちの方がよっぽど強く、そういう汚い手段をもう使う必要がないという事だろうか?


パワードスーツの力もあって簡単に作戦場所近くのファミレスに寄ることが出来た。


司だけではなく木下も共に来店すると、奥の窓が近くになく簡単には狙撃のされない場所にゼロスリーとハチ雷電が座っていた。


「キノシタさんだっけ?あんた。どうしてここに?命令違反してでも俺たちの援護に来たのか?」


「主任のことを考えてです。いくらパワードスーツを装着しているとはいえ途中で倒れられたら作戦の支障をきたしますから」


ハチは期待した答えと違ったのか舌を鳴らすと腰にある携帯に手を伸ばし画面を見る。


試作品(プロトタイプ)が必要ないというのは逆に言えば量産体勢が整ったとも言える。効果はどうであれ試作品1号()本体(オリジナル)との性能差は明らかだった。


登録していなければ肉体に負荷をかけないとなにも出来ず、かつその召喚したものでさえ多少の武を持っているものには通用しない程度でしかない司と、そういう類の作業をせず———見ていないため実際のところは分からないが———に、その上一切の劣化がないのだ。


そのようなものを量産出来る体制が整ったのであれば、必要ないのも一般の人間には納得がいく。


試作品(プロトタイプ)たちからすれば納得のいかないが、どこかで納得している自分がいるのも理解していた。


———証明したところで俺たちがあの場所に、あの方の元に帰れるのだろうか?設計図がある以上戻ったところでアグレッサーとしてしか使われないのではないだろうか?———


そう思ってしまう。背中に冷や汗が流れる。


「ハチさん・・・でしたよね。私は直接あなた方を援護は出来ません」


携帯を閉じで舌を強めに鳴らし嫌そうな顔をするが、視線は木下に向かっている。


「ですが、戦闘状況の把握は行うつもりです。主任のパワードスーツには無線発信機としての機能も内蔵されています。主任の通った道や主任へと届く僅かな振動をを元にルート及び建物の構成を把握できるようにしてあります。みなさんにはこれを右目に付けていただきます」


流されるようにテーブルに並べられたのは片眼鏡型の機械装置だった。ヘッドホンのように耳に被せる形で多少の衝撃には強そうに見える。


「この機械がそれら全てをやるのか?」


「いいえ。それが手に入れた情報を元に有効なルートの作成や待ち伏せなどの対策をこちらで行いあなた方に渡した機械で網膜上に展開します。戦闘時の視界の妨げにならないよう思考でオンオフの切り替えも可能です。もしものことも考えて手動でも可能なのでそこのところは問題ないかと」


ゼロスリーはそれを持って「ふーん、これがそんなに有能な機械なのかねぇ」と顎に手を当て疑い深く機械を回し見る。


「機械の中枢を主任のパワードスーツに組み込むことで小型化させているので、主任に何かあれば機能は低下します。そうなったとしても一度調べた場所はこちらのサーバーで管理していますので問題なく使用出来ます」


客に見られるのは恥ずかしいのだろう、全員がポケットにそれを入れてると適当な飲料物を口へと運び店を後にする。


外に出ると松長がバン型の車とともに全員を待っていた。


「敵のエリア内だ。一応警戒はしているが、見られたくはない。中に入れ」


全員が中に入ると、松長の部下たちが即座に扉を閉めてその場を離れる。


「俺は上との問題で直接的には手伝えない。身体もこうだしな。頼む方の態度ではないし条件でもあるが最大限の協力はする」


車の横がシャッターのように降りると質量を無視しているのでは?と思いたくなるほどの小火器から重火器が納められていた。いくら何でも屋だとはいえ、民間が持っていい武器ではないものもちらほら見えた。


そういう武器は使い慣れてないのか誰も手を付ける———司はパワードスーツのこともあって持っていこうとしたが、木下が「どうせ使えない、使いこなせないのだから持っていっても無駄です」と言うと渋々それを棚に戻す。———ことはなく適当な小火器を手にとって外に足を進めていく。


最後に車を出ようとした司が振り返り松長に向かって呟く。


———2人を頼む。———


これが誰なのか、松長には尋ねるまでもなくああと頷き旅立つ者たちを見送った。



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