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一週間目(8)

迂回しないとと司の腕を引っ張るが、止まることはなかった。自殺するつもりだろうか?


殺気を放つ男のそばを抜けるが、何も起きなかった。


「ほら、何も起きなかっただろ?」


「いや、その感覚はおかしいでしょ。何でそんな度胸持ってるのに武器はないの!」


「何かされた訳でも無いんだから気にするものでも無いでしょうが」


「松長くんが頭が痛くなる理由が分かった気がする・・・」


「それどういう意味だよ?」


司の質問に答えずに腕を外して先のバス停へと向かって行く。


「何だよ・・・・・・」


頭を掻きながら背後を見たが、殺意を出していた男は消えていた。横に道があるのでそこを抜けて行ったのだろう。


すぐに瞳を追うと、松長と瞳が誰かに襲われていた。すぐに向かいたかったがまずは身を隠し一度2人を囮に敵の見た目を確認すると、殺意の男とは違った。


「別の・・・?いや、あれは・・・ハチか!」


そんな相手に松長を対面させる訳にはいかず、その上瞳も殺させる訳にもいかない。とはいえ今の司に何が出来るのだろう?武器もないカオちゃんもチェンちゃんもない。これでどうしろという?


ただ出て行っても殺させるだけだ。表情からして戦闘狂なところがありそうなハチが気に食わないという事で全員殺す可能性だってある。


「(どうする?どうすればいい。ああもう時間がない!)」


ブックスはない。だがやるしかない。負荷は大きいだろう。だが気にするものじゃない。死ななきゃ負けじゃない。


「(お前が本当に俺をマスターだと認めるなら、ここに来い。今回だけでも良い!)来おおおおおおおおおい!!!!!トリシュ!」


閃光がが道のようにハチの手前に来ると、光の粒子の中からトリシュが槍を持って松長とハチの間に入った。


「なんか叫び声が聞こえたと思ったらそう言う事か!会う度に強くなってるなゼロワン!」


「あの時は後ろ手に回りましたが、今回は違いますよ。試作品(プロトタイプ)


「おうさ!俺を楽しませろ!」


鉄塊と槍がガキンッ!と火花を散らしながらぶつかり合う。鉄塊の重さもあり少し押されているようにも見えるが、槍で流しているので関係ない。


「ほらほらどうした!周りの奴らはよお!共にやれば簡単に倒せるかもしれないぜ!俺をな!」


とはいえ行動パターンの分からない人物との近接攻撃は難しい。攻撃している方が下がるまで援護は出来ない。


「ちぇっ。つまんねえな。ゼロワンも使い魔は出してるが本人がいない以上ここにいても意味ねえな。女!ゼロワンに会ったらこう言っておけ!次はもっと強くなれってな!」


トリシュのひと突きを左手で軽々と止めて、空いている右足で蹴り飛ばした。後ろに少し下がったトリシュに奪った槍を投げつけるが、それを松長は間に入るようにして槍を止めて身体にそれが刺さる。


「ぐっ・・・!」


「ゼロワン以外にもそういう行動のする奴がいたんだな・・・っと!その身体でよく動けるな」


肩に刺さったままでハチに拳を振るうが先程まで通り当たることはなかった。


「そんじゃあな!お前ら!これ以上は約束違反になっちまうから!ほなさいなら」


鉄塊を片手に飛び上がると、建物の上をスパスパ飛び変えて消えていった。


膝をつきながら槍を抜き取ると当然だが血が流れ出す。瞳とトリシュはすぐにそばに駆け寄ると肩を使って持ち上げる。


「お前ら司は良いのか?特にトリシュは司がマスターだろ?俺のことは気にしないで良いからな・・・ぐっ」


「司ならこう言います。俺のことよりまっちゃんのことだと。それに、後ろにニアさんたちがいるはずです。見失わないように司とそれほど離れていないはずですから」


そう言い3人はバスに乗り会社に戻った。


トリシュはそう言ったが、後ろにいた2人は司を探していた。


「隠にぇてトリシュさんを呼んだのにゃらこの近くにいそうにゃ気がするにゃりけど・・・全然見つからないにゃりよ!」


「数秒で誘拐なんてあり得ない。戦闘が始まった時は確かに電柱のそばにいたはずなのに・・・」


司がトリシュを呼んだところにあったのは、大量の血痕だった。2人によぎる。ごく僅かな一瞬で司が誰かに襲われて連れ去られたのではないかと。


2人は別れて様々の所を探して数時間が経ったが、形跡を見つけられたのは、先程の血痕だけだった。

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