一週間目4
途中で弁当を買いたかったが、金がないのでどうしようかと悩んでいると、瞳が代わりに出すと言って適当なのを手にとって買い、それを司に渡した。
「すんません買って貰って。金が入ったら何か奢りますよ」
「好きにすれば。話は変わるけど、このまま学校に行って大丈夫なの?」
「まあそうだよな。俺とあなたが一緒にいたらまっちゃんたちが起こりそうだ。そう思ってここで一度別れよう。授業が終わったらまたここで集合と思ったけど、外はまずいな。正門前で集合にしようか」
「分かったわ。それじゃあ先に行くわね。赤街君」
「どうぞどうぞ。今は雷電もいないから気をつけて」
「誰のおかげでこうなったのか・・・」
「あなたの勘違いが原因だと思うんですけど」
文句を言い合いながらも2人は距離を置いて学校に入って行き、司は直行で教室に向かう。
ほかの生徒はいたものの、松長やニアたちの姿は見えなかった。授業が始まるまで時間はまだあるのでいなくても何の問題もないが。
荷物を席に置いて瞳が買ってくれた弁当に手をつけていると、そこで松長が教室に入って来た。
「よ。先にきたと思ったんだが、今来た感じか?」
「お前のおかげで一度帰る羽目になったんじゃい!何勝手なことしてくれたんだよ。どんな理由があろうとお前を殺そうとしてきた人を何で逃してんだよ」
「逃したつもりはないし、変に捕まえたままだと疑われるかもしれないだろ?無駄なストレスは溜めたくねえ」
「そのおかげでこっちはたまったんじゃい!」
弁当を口に運んでいる司の胸ぐらを掴んで睨みつける。だが気にも止めずに、その体勢で食べ続ける。松長の批判には慣れているからなのかもしれないが、今この状況でやればどうなるか。
「ああああああ!殴りてぇなぁおい!」
「殴ったらそこでゲームオーバーですぜまっちゃんの兄貴」
「ここ最近暴力振ってる人間が言うことじゃねえなぁ!」
「俺のは不可抗力だし、正当防衛だし。ノープロブレムだぜ」
「はいはいそうですか。それじゃあ瞳さんのはお前に責任を持ってもらう・・・と言いたいところだが、お前を雇ってるのは俺だ。だから責任は俺が持つがお前には瞳さんから何で人殺しを容認するようなものに参加してるのか、それを聞き出して欲しいんだ。今時拷問や罵倒は炎上案件だしな」
「ごめんまっちゃん。罵倒はまだしも、拷問はいつの時代もダメだぞ?捕虜の扱いは決められてるわけだし」
頭を掻きながら「キツめに言っただけだ」とこぼすように呟く。
胸ぐらを掴まれたまま弁当を食べ終えてお茶を口に含む。ぷふぁと音を立てて今度は松長の方を見る。
「それで追加は?」
「・・・・・・貪欲だなぁ司」
「金があればここまで酷くないさ。無ければ貪欲にもなるってもんよ。んで追加は?」
「お前の瞳さんの逃亡幇助を不問する」
「かぁあ!ツマンネ」
胸ぐらの腕を外して机に伏せる。拒否ということだろう。松長もそれは理解しているので、適当な紙に金額を提示するとそれでいいとばかりに、親指を立てる。
だがそこから松長は紙に司が負っている借金の金額を引いたものをもう一度見せると、その減り具合に落胆したがそれはしょうがない。手持ちにいくつか入るだけで儲けものだと無理矢理納得してそれを受ける。
「お前は命が狙われているんだから、情報は早く手に入れろよ?瞳さんが個人で襲ってきたって言うのは考えにくい。情報提供者がいるはずだからそいつを懲らしめれば瞳さんと戦う理由が減るし、司も狙われる時間が減るわけだから、頑張れよ」
予鈴と司の返事が重なって声は松長には届かなかったが、動作で通じた。司もさすがに金くれるならとけっこう本気でどうやるかを授業を聞きながら作業し始めた。




