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筆休み

今回はシナリオとは関係なく単発的なものです。


何故か書きたくなったので書きました(まる)

「あっ・・・ちぃいな。コーラが飲みたい・・・カオちゃん、チェンちゃん。コーラ買ってきてくんないかに?途中で菓子を買ってもいいからさ」


2人のマスターである少年、司が2人を呼び出すと、買い物を頼みます。


けど、2人は身体が球体です。太っているわけではなくただ子供のように小さいだけですが。


2人はお菓子が買えることがとても嬉しくその場でぴょんぴょん飛び跳ねます。


「けどお前らだけじゃちと不安だなぁ・・・トロワも追加させるか」


ブックスを手に取ってトロワという使い魔も追加で呼び出します。カオちゃんとチェンちゃんのような球体ではなくちゃんとした人の身体をしています。骨があちらこちらに見えるので、このままでは恐怖を他人に見せてしまうでしょう。


司はトロワに自分の衣服を着させます。これで側から見れば、でこぼこした友達という感じになっています。これならあまり違和感はありません。


「これならそれほど目立たないだろ。トロワ、カオちゃんにチェンちゃんはコーラ買ってきてくれ。その帰りにお菓子買ってきてもいいからさ」


3人は了解と手を上げると元気に外へと足を運びます。


外はジメジメ服がザラザラと、居心地が非常に悪いです。好きなお菓子を食べることができるとしても、このような環境にはあまりいたくありません。急いで買い物をして涼しい部屋に戻りましょう。


「アチィ・・・」


トロワ暑さで汗を流します。皮膚は無いはずですがどこから出ているのでしょう?カオちゃんもそれを疑問に感じているようです。


日陰を極力進みますが、暑さは熱風がビル風として流れるので日向よりはマシレベルでしかないようで、身長の低いカオちゃんとチェンちゃんの2人は定期的に持ってきた水を口に含みます。


「イギャ?」


カオちゃんはどこまで行くのかとトロワに尋ねます。特に決めているわけでもなかったのか、どこに行けばいいんだろうと考え込んでしまいました。


しかしセミさえ逃げてしまうこの暑さではあまりいい考えは浮かびません。どこでもいいんじゃないとカオちゃんへ適当に返します。


そんな適当でいいの?と首を傾げますが、場所なんて指定されてるわけじゃないんだからとトロワは2人を説得します。


カオちゃんとチェンちゃんの2人は互いに顔を合わせると首を縦に振り、そっかぁと一応に納得します。


しかし会社を出てからというもの、コンビニはおろか自販機もありません。運良く見つけてもこの暑さです。マトモなものは残っていません。もちろん司が頼んだコーラもないです。


どうしようどうしよう・・・・・・3人は一度近くの公園の木の下で考えます。地図などは持ってきていないので確認は難しいです。ですが諦めません。それは使い魔の意地やプライドもあるのでしょう。3人には小さな身体の中に大きな心を持っているわけですね。


行くあてもなくこまめに水分補給をしながら歩いていると、大きな、それはそれは大きな駐車場がありました。これだけの規模のものです。近くに何かショッピングモールかなにかがあるはずです。


やった!カオちゃんとチェンちゃんは全速力でその駐車場に走り出します。トロワも周りを見ながら2人を追いかけます。


駐車場に近づくと、大型ショッピングモールがそこにはありました。


トロワはぴょんぴょん跳ねる2人を抑えて静かにして普通の子供に行動しろよと忠告します。短い腕を自分の額に当てます。しかし理解しているようには見えず、トロワは首を横に振りながらため息をつきました。


ショッピングモールの食品館に入るとすぐに飲料コーナーに行き冷えたコーラを何本かカゴに入れていきます。そのついでに自分たちが好きなお菓子を入れます。


レジに持って行くと、そこには仕事をしているゼロスリーがいるではないですか。


「ギィ・・・」


「君たちは・・・ゼロワンのところのだよね?こんにちは」


警戒するカオちゃんに優しく挨拶をするゼロスリーを見てトロワは今は敵対する意思はないのを感じました。もちろんそう見えただけなので変わる可能性もあると思いますが。


「お使いかな?偉いね。警戒しなくて良いよ?仕事中は戦う必要はないしね」


商品を通しながらカオちゃんの警戒を解くようにと優しい言葉をかけていきます。


全てを通して料金を払うと、すぐにレジ袋に入れて会社に足を進めようとしますが、そこでカオちゃんは持ってきていた水がないことに気づきました。


どうしようどうしよう・・・行きは探しながらだったので時間がかかったというのもありますが、帰りでも水分補給は必要です。


追加で買うかと悩んでいると、カオちゃんがトロワのズボンを引っ張りました。何かあったのか?と尋ねると、チェンちゃんがいないと涙目に言いました。水分補給をどうしようかなとチェンちゃんに聞こうとしたらいなくてそれで気づいたようです。


いつどこで別れたのかが分からないので、2人は通った道を逆走してみることにしました。


流石にレジは逆走出来ないので、そこは迂回してお菓子コーナーへ戻ると、他の客の子供はいましたが肝心のチェンちゃんがいません。


飲料コーナーも立ち寄りましたが、やっぱりいませんでした。


「イギィ・・・アギャァァ!」


我慢出来なくなったカオちゃんは大きな声と大粒の涙を出して泣き出してしまいました。


「マッ・・・」


とりあえず泣くのを辞めさせないと・・・トロワは買ったばかりのお菓子を1つ取り出してそれを与えます。


赤く腫れた目をゴシゴシ拭きながら、お菓子を受け取るとお菓子の甘さのおかげなのか、ゆっくりと泣き止み始めました。


また探していて泣き出されても対処の方法がお菓子しかないので、急いでチェンちゃんを見つけなければいけません。


トロワは探してくるから荷物を頼むと休憩室の椅子に座ったカオちゃんに任せてもう一度、飲料コーナーやお菓子コーナーを回り始めました。


しかしいくら回っても、惣菜コーナーや冷凍コーナーも探しましたがどこにもその影も形もありませんでした。


休憩室に戻ると、ゼロスリーがそこから出てくる所でした。もしかして仕事が終わったから攻撃してきたのか・・・?不安になったトロワは走って休憩室に入りました。


部屋には、特に荒らされた形跡もなく、ただカオちゃんとチェンちゃんが2人一緒に仲良く昼寝をしていました。


一瞬でもゼロスリーを疑った自分を戒めながら2人を起こすと、荷物を3分割して会社へと戻って行きました。


それを後ろから見ていたゼロスリーは小さく耳元で言われない限り聞こえないような声で呟きました。


「ゼロワンみたいにまずは自分の仲間を優先するんだね。僕が疑われてもおかしくないようにしたのにね。使い魔くんもとってもとっても甘いんだね」


そう言い残して街の中へと———多分仕事の続きなのでしょう———入っていきました。

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