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3日後7

消毒をして包帯を巻いた身体の上から直にパーカーを着てチャックを閉める。それを見ていた松長は「そんな格好でどこに行くんだ」と尋ねる。


「どこに行くって決まってるだろ。瞳さんの所だよ。なんで俺を狙ったのかそれを聞きたいしな」


「いや待てよ。いま何時だと思ってるんだ?もう日またいでるんだぞ?向こうも眠いだろうからまともな情報は取れないぞ?」


「それもそうか・・・んじゃ夜食でも食ってくるわ。それならなんの問題もないだろ?」


「・・・それだけか?」


「ん?それだけって何が?」


「モモ君が———妹が狙われたんだぞ?それでお前は何とも思わないのかよ」


「何も思わない訳がないでしょうが。ただ無理矢理聞いて、それで苛立って手を出したらきっとあいつら悲しむから。だから今は放って置くって決めたんだ・・・(さっきな)」


だったら余計に下に服を着ろと適当な物を松長は司に投げ渡す。


「一枚でいたいならそっちでいろ。パーカーだと色々まずいんだよ」


きょとんと松長を見ると、彼は目を逸らす。見てはいけないものを見ているような動きだ。


しょうがないと渡された服を着てから部屋を出る。


「(妹たちはもう寝てるだろうし、とりあえずゼロツーを探してみるか)」


いそうな場所は瞳がいる場所かゲストルームだろう。まずはここから見て行こうか。


———その頃のモモたちはどうか———


その身体には服を着ていても大怪我だと分かるぐらいに包帯が身体に巻かれていた。モモは腹部だけだから大丈夫だと医療班の人に言っていたのだが、向こうはプロだ。モモが思っているほどに腹部ではなかったのだろう。だから首のところまで包帯が届いている。


今は身体を休める為、と言っても寝るには少し遅いぐらいなのだが、それでも寝ないと無駄な体力を使うだけなうえ暇なので、何とか寝付こうとまぶたを閉じてはいるのだが、頭が完全に覚醒してしまっているようで眠れそうにない。


「(枕が原因なのかなぁ・・・でもそれだけじゃない気がする)」


暑苦しいわけでもないのに完全な覚醒だ。これじゃあ身体が持たない。


———お休みになられないのですか?———


「(寝たいんだけど、何故か寝付けないの。何かが無理矢理起こしてくるみたいに)」


声がモモに届くがそれには慣れているようで特に変化もなくその声と話しだす。


「(司兄が心配なのもあるけど、それだったらクルミも起きてない(・・・・・・)と違和感があるよ)」


側で寝ているクルミを撫でながら、小さな溜息をつく。


———とりあえず司兄に聞くのはどうでしょうか?ここが広いとはいえ時間が時間ですし、行ける場所も限られてくると思います。自問自答に近いこれでは結果は同じでしょう。寝付く根本的な解決にはあまり向かないかと———


「(・・・・・・)」


———それもお嫌でしたら睡眠薬でも頂いてきましょうか?———


「(それぐらいなら多分私・・・っっ)」


矢の刺さった場所とは違う所が痛い。胸が熱くなる。傷が原因だろう。


———無理なさらないでお休みください。横になるだけでも違いますよ———


胸の痛みが収まるとモモはもう一度横になるがやはり寝付けない。


「(ああぁぁぁ・・・もう寝たいのに何で?こんなこと今までなかったのに)」


考える。それが更に眠気を飛ばしているのだが、気づいていないらしい。意識が起きてるだけで頭の殆どは眠っているのかもしれない。


———私が表に出れば寝られるかもしれませんよ?———


「(むぅ・・・・・・背に腹はかえられないよね。分かった少しの間譲渡するよ)」


———ありがとうございます。モモさんはしっかりとお休みなさってください———


寝付いたと思ったら5分後、モモはまた目を覚ますが先程と気配が違った。


「むっ・・・モモさんの言う通りだ。ちと胸が痛いなぁ。今日は薬だけ貰ってこようっと」


口調はモモとの会話時とは変わったが、独りごとはモモとあまり変わりがないように感じる。


クルミを起こさないようにしつつベッドから降りるとすぐに扉に向かって歩き出すが、誰かに止められる。


「トリシュさん。何するんですか?」


「すみませんモモさん。ツカサから目が覚めても出すなと言われていますので。何か必要なものがあれば私が行きます」


「ちょっとお手洗いに行くのは?」


むっ、と少し考える動作をしたがすぐに首を横に降る。トイレも駄目ということか。


「お願いします。それぐらいは見逃してくれても」


「申し訳ございませんが」


「堅物」


小さく呟くが戻る気はないようで無理矢理でも出ようとトリシュを軽く押しこむ。


「ねぇ!お願い付いていけば司兄も何も言わない。そう思わない?トリシュさん」


「 ・・・・・・分かりました。しかしそれだけですよ。他は認めません」


やったと、腕を上げるとトリシュを後ろにトイレに向かった。

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