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3日目の朝(3)

「つまりは俺が半覚醒状態の時に丁度良く停電が起きて、それで俺が外に出たわけか。いつも取っている行動なら意識が完全には戻ってなくても出来ることもあるからな」


「そういう事。だからデータ上に残らなかったってわけ。そうだよね?まっちゃん」


「俺も常にお前を見ているわけにもいかなかったし、多分そうなんだろ」


嘘だ・・・・・・そう司は感じた。あまりにも出来すぎているのだ。司が出た瞬間に停電になって、いなくなった瞬間停電が終わったのならあまりにもタイミングが良すぎて逆に怖いレベルだ。誰かが司が起きるのを予測または見ていていたとしか思えない。


悪寒は走ったものの、まっちゃんに停電の原因を尋ねたが、ただバッテリーが上がっただけらしい。そう判断された理由はバッテリーの所にも監視カメラが設置されているらしく、停電寸前まで監視カメラには誰も写っていなかったかららしい。


「それで今度はこっちが質問してもいいか?」


「俺が意識がない状態で行った場所、そしてそこで聞いた内容だろ?ええとな・・・・・・山の方に大きな建物があるんだよ。そこで他の試作品(プロトタイプ)が俺を何故狙うのかについてとか、俺がそれに参加するとかだな」


「それでお前はどう答えたんだ?」


「・・・・・・俺は家族を、妹達を守るためにそれに参加した」


「馬鹿かお前は!勝てる訳ないだろっ!自分の力量を考えてからやりやがれ!」


「だからって無視したら、モモ達が俺のせいで襲われるかもしれないだろうが!事実、昨日カオルは襲われてる」


「そうだとしても、奴らが約束を守ると本当に思っているのかよ!そう言って結局は妹達を襲うかもしれない!そんなことも分からないお前じゃないだろうが!」


自分が弱いのにその上周りが被害に遭うのが見たくない司と、自分が弱いからこそ周りに力を借りろとまっちゃん。後者が正しい判断なのは司だって分かっている。けど、犠牲者が増えるのだけは嫌だ。というのが前に出ている以上、分かり合うのは難しい。


「もう決めちまったんだ。どうしようもないだろう?俺はやると決めたらやる人間だと自負してる。もちろんそれが間違いだと分かってもな」


「ああそうかい!・・・・・・はぁぁぁぁお前の言論と行動にはいつも驚かさせるな」


「だが、退屈にはならないだろ?」


「いつもならな。だが今回は命がかかってるんだ。楽しいとか言えるかよ。それなら、お前を最低限彼らの攻撃を防御のみに絞ったら負けないようにするしかないよな」


「えっ、いらないぜそんなの」


「わがままを言ったんだ。多少の理不尽は我慢して貰うぜ」


ゴクリと喉を鳴らしてまっちゃんの言うことを待つ。すると、まっちゃんはソファーから立ち上がり端にある棚から大型のリストバンドを手に取るとそれを司に投げ渡す。


「おっと・・・重りかこれ?」


「室内ではそれを常に付けてもらう。その状態でニアや木下の攻撃を常に避けてもらうがいいな?」


「今の時点で回避出来ないんだぜ?出来ると思うか?無理だろ」


「その無理なものを決めたのはお前だろうが・・・・・・」


「無理なら無理ってその審判さんに言って来たら?」


「行く前に試作品(プロトタイプ)たちに教わるだろうから無理だろうな。司、それだから可能な限り戦闘が起きていない間に経験値を稼ごうって話しだ」


「・・・・・・室内のみでいいんだな?」


「外では不意打ちで狙われるかもしれないからな。付けてて負傷ってのは俺もお前も嫌だろ?」


自分のせいだとはいえこれからストレスが溜まるなぁと思った司は軽く溜息を吐くと腕と足に巻き付ける。


「うげぇ・・・走るのはおろか歩く事だって辛いわこれ」


「俺が出来たんだ。お前も出来るだろ?」


「まあ、努力しますわ。そんでさっき言ってたが確認するけど、こんなかではニアやキノたちが攻撃するんだよな?」


「たちの中には俺やスネークも含めるかからその辺も気をつけろ。1時間後から始める。さすがにすぐ始めてもお前がキツイしニアたちも困るだろ」


「助かりました。次もよろしく」


「出禁にするぞ。されたくなきゃ言われた通りにしろ。あと念のため言うが、仕事中にもやるからそこんとこよろしく」


「えー!そりゃねぇぜまっちゃんのダンナ。いつも仕事真面目にやってないのに余計やらなくなるじゃん」


「そんだけのことをしでかしたんだから、頑張れ」


へいへいと心底面倒くさそうに頷きながら髪をかしゃかしゃと掻き乱すと、トリシュに声をかけて部屋を出る。トリシュも会社内では攻撃対象だというのを忘れているのだろうか?


2人が部屋を出ると、まっちゃんが溜息を吐きスネークの目つきが変わる。


「・・・・・・はぁぁぁ・・・・・・何の為にこんな田舎に会社を建てたのか分かってねぇなあいつは」


「ポジティブに考えれば、これだけで済んでるわけだけどね。ここ以外の会長(かいなが)グループ関係の会社がもっと近くにあるところだったらこれじゃすまないと思うよ。まあ、それでも()はそれでも良いんだけどさ」


「あんたも身体や心は変わってもそういうところは変わらないな。さすが殺戮者(ホロコースト)の二つ名は伊達じゃないんだな」


「根底は一緒だからね。けど、平凡君と比べれば圧倒的に人間からかけ離れてるけどね。後あんまり()の事それで呼ばないで。君だから聞かれても良いけど、君の会社だとはいえ会長(かいなが)関係の人がいないという保証はない。だからここからはこっちで。無言なのも変だから、適当な話をして撹乱しよう。いいね」


スネークとまっちゃんは耳元に指を当てると別の話をし始めた。しかし、考えてることと口に出していることを分けるのは非常に難しい。それが出来るというのは関心しかない。


そしてまもなく1時間が経とうとしている。司は震えた身体を深呼吸で可能な限り抑えてそれを待つ。さあ、ストレスが溜まる仕事の始まりだ。


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