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Zな彼女とネクロマンサーの僕  作者: キノコ二等兵
巨大人工浮島《ギガフロート》編
194/194

出張10

また期間が空いてしまいごめんなさい。


 当主たちは撤退してからもソファーを窓際に寄せて交代しながら司を待つが、その姿は見えない。


 待つと決めた以上動くつもりはないが、現状報告と対応の確認の為マツナガへ連絡を掛ける。


「———と言うわけでもうひとりの僕がこの場所に戻り次第帰投するよ」


『了解だ。帰投後の用意はしておくから安心して帰ってこいよ』


「ありがとうマッチャン」


 通信を切り再び窓を覗く。そんな窓から見えるのはフェンス越しにふらりふらりと歩く屍体のみだった。


 バッテリーの容量が行動限界に繋がる光龍は、起きていても無駄に電力を消費するだけな為まぶたを閉じて小休止に入っていた。


「(繋がってる感覚はあるけど、近づいてくるような感覚はない……。BOWになったとしても完全に活動を停止しなかったら接続は続く……?)」


 こんなことになったことはないし、こんな状況になった人もいないから判断はしかねる。


 何も変わらない現状に胸の鼓動が早くなる。今すぐにもここを出てビルへと戻って確認をしたい。だがミイラ取りがミイラになるということわざがあるように、自分がBOWに襲われてしまえばそれこそ終わりだ。


 レッドフィールドはその欲求を抑え込み窓際に寄りかかりながら司の帰りを待つ。


 時計の短い針が3つほど進んだ頃、光龍は過充電を避ける為か一度起き上がり予備のバッテリーに差し換えると固まった身体をほぐすように立ち上がる。


「レッドフィールド。手を洗いに行ってくる」


 そう言うと静かに部屋の外に出る。待てば来る助けとはいえ化け物がいつこちらに気付き、この建物の中に侵入し始めるか。その不安の中何もせずに待つというのは中々難しいものがある。


 BOWが少しずつ近づいてくる。こちらに気づいたというよりは何も考えずただ歩いているという動きだ。


「連絡のひとつくらいちょうだいよ……」


 太陽が西へ向かっていくのに合わせてレッドフィールドの心の中にも不安が増えていく。


 空が青から赤に変わり出す中間頃、1機の輸送機が近づいてくる。それに合わせてレッドフィールドの携帯に連絡が入る。


『こちら木下。主任聴こえますか?聴こえているけれど返事が出来ない場合は単語等でも構いません』


「こちらレッドフィールド。音声良好、光龍を含め2人は問題なし。もうひとりのレッドフィールドは現時点での合流は出来ず」


『木下、返信良好。大型可変輸送機(ゼイドラキャリー)による着陸を要請します。よろしいですか?』


「現在基地周辺にBOWを確認。音で彼らが集まる可能性大。その輸送機で軽く排除はいける?」


暴君(タイラント)級とかの大型でなければいけるかと』


「こちらではそのタイプは確認はしてない。逆に不安なのが時間経過によるキメラ級の発生かな。発生したら正直飛べない暴君(タイラント)級より厄介になると思う」


『でしょうね。ですので着陸と同時に搭乗出来るようもう1人の主任を』


 レッドフィールドの口元が小さく歪む。着陸までに司を見つけることは無理とは言わないが、すれ違いを避ける為とはいえかなりの時間を待った現状で見つけるのは厳しいと言わざるをえない。


 だが見捨てて撤退をすることが出来るわけもない。リスクを気にしていてはもう合流は無理だと判断してレッドフィールドは了解と返事を返す。


『燃料に余裕はありますので・・・・・・大体1時間といったところみたいです。それまでに』


「なんとかしてみる。間に合わなかったらそこは割り切る方針で」


『了解です。こちらも微力ながら捜索を行います。通信終了』


 木下からの通信が切れるとレッドは携帯をしまい光龍に先ほどのことを伝えるとバッテリーの状態を確かめてから立ち上がる。


「見捨てたくはないんだろ。俺が迎えに行く。バッテリーも満タンに近いしフル稼働しても問題ない量だからなこれならパッと行ってパッと帰って来れる」


「それなら頼みます光龍。僕じゃミイラ取りがミイラになる」


「低ランクのやつに借りを残しっぱなしなのは俺のプライドが許さないしな。再度確認するが、タイムリミットは1時間その間に見つからなかったら悪いが殉死したと判断し撤退を優先。それで間違いないな?」


 レッドフィールドが頷いたのを確認した光龍は首に手を当てると真横を大型車が通った時のような風を放ちながら外へと飛び出して行った。


 レッドフィールドに出来ることはただ司を待つ事・・・・・・その時に感じる胸の痛みはしんどく響くものだった。


 

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