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Zな彼女とネクロマンサーの僕  作者: キノコ二等兵
巨大人工浮島《ギガフロート》編
181/194

レッドフィールドの……

———もうひとりの自分はあれほど身を粉にしているのに自分は何をしているのだろう———


 少女はベッドで司のことが頭に浮かびそれの所為で眠れずにいた。


「(私の戦闘面はもうひとりのボク比べて低くなってしまった。これはボクが全くと言っていいほど訓練をしてなかったからっていうのもある)」


 だが代わりにといっていいのかレッドフィールドの能力は強化されていた。まるでレッドフィールドという1を肉体を司に分散させ残りの部分を彼女に移動したのだろう。


「(だからこそもうひとりのボクが使い魔の出せる出力が変化して召喚があまり出来ないのかもしれない)」


 事実司が大型の使い魔を召喚するには負荷がかかり場合によっては出血をもたらす。


「(分裂時間が長いから上限を元に力を分け合ってる状態なのだとしたらボクの肉体弱化にも説明はつく)」


 ベッドから身体を出して自室を出ると奥の部屋の明かりが見える。司が日を跨いで訓練を続けているということが分かる。


 何かしなければ……その心が彼女の身体を動かす。しかしその身体は司の元へは進まず、別の方向へと向かう。


 冷えを防ぐため上着を羽織り外へと足を進める。やはり眠っているのは自分だけで他の人は残業を気にせず働いている様だ。


 そんな中レッドフィールドは木下の部屋へと進む。そこも当たり前の様に明かりが灯されており、昼も顔を合わせていた身からするといつ休んでいるのか気になってしまうところだ。


「(ボクに出来ること…それはもうひとりのボクの勝率を上げる手段を増やす事だ。ボクが直接何かしたところで得られるものは少ない。けど間接的にとはいえ何か出来る事はないのかな?)」


 身体能力は劣っていても肉体の要素は同じのはず。そう判断して木下の部屋の鍵をマスターキーで開けて中へと入る。


 明かりが灯るリビングに行くと、猫背になりながらパソコンを睨みつけながらキーボードを叩く木下がいた。


「まだ完成には程遠いですよ。松長社長……ってレッドフィールドさん……と呼んだ方がいいですね。まだ起きるには早い時間だと思いますが」


「もうひとりのボクが頑張ってるのにボクだけ寝るわけにもかない。何か手伝える事は?」


「……正直なところないですね。今回のは耐久性とあの槍を使った武装を再現する義手の作成ですから。まあそれだけじゃないですけど」


「そういうのってみんなで作るものじゃないの?どうして木下がひとりで?」


「他のみんなもみんなでやることありますから。私たちの会社は何でも屋と同義なものです。これだけに注力している訳にもいかないでしょう」


 身体を大きく伸ばして手元のコーヒーを口にするとレッドフィールドに視線を向ける。


「主任が訓練を続けているんです。貴女は主任の代わりに眠ってください。貴女も分かっていると思いますが、ふたりで司なのだから、どちらかが休まないと倒れてしまいます」


「それは分かってるんだけど、どうしても寝れなくて……」


「人間は疲れすぎると逆に眠れなくなります。もしかしたら主任の疲労が貴女にも影響を与えているのかもしれませんね。少し待ってもらえますか?寝付ける様に睡眠薬を持って来ますので」


 薬を棚から取り出すとそれを一度にどれだけ飲めばいいかレッドフィールドに説明して服用させる。当然すぐには効き目は出ない眠気が来るまで木下の仕事を手伝い時間を潰した。

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