大会に向けて2
常に訓練をしている訳にもいかない。勿論その移動中にも学習中にも機動力を上げる為に司の手足には重りが取り付けていた。
重り自体はあまりないものの、訓練でヘトヘトになっている司にとってこれでさえかなり負荷がかかるものだ。
息を荒上げると側から見ればマズイ人間にしか見えない。それを防ぐ為に耐えようと何とか感覚的な負荷を減らすように動く。
「(泳いだ後の疲労感を常に受けてる感じだ……)」
「師匠にゃむい?」
「そう言うわけじゃない———ただ疲れが抜けないだけだよ」
「見にゃれていにゃいんだから、少しぐらいズルしても文句言われにゃいとおもう」
「そうしたいのは山々なんだけど、シフィルだけじゃない。他にも実力者が出るんだ。うちの会社を知らしめる為にも勝てるようにしないと。反射と思考が追いつくように」
気怠さを抱えたまま放課後を迎え帰路についていた司を背後からシフィルが話しかけてくる。
「やあ、お疲れ様」
「お疲れシフィル」
「大会とかがもうすぐあるんでしょ?司くんは出ないのかい?」
「俺は会社として出るつもりだ。シフィルは学校の選考会に出るのか?」
「低ランクの人間はまず選考すら受けることはできないよ。それにまず受ける理由もないしね。「無能力者の人権を」とかボクの考えるものじゃないし」
近くで見ていた司にとってそれは驚くものだ。ひとりで人型兵器を倒せるのだから誰かが誘うと思っていたが、そういうのはないらしい。
「君が出るなら大会は見に行くつもりだよ。頑張って」
肩を優しく叩き司に親指を立て校舎を出て行った。
「大会で優勝したい組織はシフィルを雇いそうなもんだけどなあ」
「まだ時間もにゃるしこれからじゃにゃい?
「もし雇うなら店長の所かね。まっ、出ないにしても俺たちは出るんだ。練習は続けるし相手の方頼むぜニア」
「無論だにゃりよ。ニアも強くなったところにゃっぱい見せるにゃ!」
司とニアは学校を後にし学生が少なくなる所でハチが乗ってきた車に乗り込んだ。
「1日どうだったよ?肉離れとか起こしそうか?」
「そりゃ激しい運動そのままで来てるんだ。疲労困憊は当たり前として肉離れとか筋肉痛は当たり前に決まってるだろ」
「それもそうか。オレからすりゃ筋肉痛とかになれるだけ健康なんだなって分かるから良いもんだぜ?もうオレはそういうのは味わえないからな」
腕は損傷で義手なのでまだしも脚は機能していた。だが、ネオツーの攻撃で痛覚等の生活に必要な部分は消えていた。無理をしているのか否か本人でなければ判断出来ない状態だ。
「そんな悲しい顔すんなよ。やらなきゃやられる。そんだけだろ?それに右腕はオレと変わんねえだろ」
「そうかもしれないな」
「今日も帰ったらやらなきゃいけないんだ。今だけもしっかり休んでおけよ」
「言われずともよ。今うちではサブがソラさんのを受けてるんだっけか?」
「オレが出る前はそうだったな。あいつボコボコになってたなぁ。能力解放しても全部避けられて懐に入り込まれておじゃんって感じだ」
司はサブを雇ってからも何度か手合いを行ったが彼がボロボロになることはなく逆に司がボロボロになることが多かった。
それにも関わらずサブがボロボロになっていると聞くと、司の背中に冷や汗が流れる。
そんな背中をさするニアに感謝しながら司は頭の中でボロボロにならない方法を考える。
「師匠。これはスポーツの話にゃんだけど、運動系は最初はボロボロににゃるのが常にゃり、それを怖がってたら強くなるものもなれにゃいにゃ。それを教えてくれたのは師匠にゃり」
「む、そうだっけか?」
「その場その場で適当なこと言ってたにゃりもんね師匠……」
「よくそんなやつを師匠って言えるよなニアちゃん」
「適当なこと言う人間でもニアを救ってくれにゃことは事実。それに後衛にゃたの人が前衛の人をここまで育てにゃんだんもん、そういうところは信にゃい出来ると思うにゃ」
「……き、急にニアの頭が良くなってる……」
「侮辱罪で会にゃがに売るにゃりよ?」
ニアはポカポカと殴り殴られながら冗談だと返す司の2人をハチはどこか遠くの景色を見るような視線を向けながら、帰宅した。