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Zな彼女とネクロマンサーの僕  作者: キノコ二等兵
巨大人工浮島《ギガフロート》編
178/194

大会に向けて

 店長の開催宣言後人々は明日からの準備の為に随時その会場を後にする。


「会社の名声を得るための戦いか。誰を代表にするか考えないとな、まっちゃん」


「俺たちの戦力じゃ良くて予選を途中までって感じだろうからなぁ。こんなんじゃ名声なんて手に入るわけない」


「ハチとかゼロスリーならどうにかなると思うけどな。あいつらが受けてくれればいいけど……」


 廊下を進みここに来る為に使った車の後部座席を開けると、ハチが窓を開けて司たちに手を振る。


「おう、仕事お疲れさん。ゼロワンさんよーどうよその服は」


「聞かなくても分かってるだろ。絶対に俺は仕事の時しかこういうのは着ねぇ。もう1人の方が着ることはあってもな」


「じゃあ仕事の時にパーカーはマズイしスーツにパーカーと同機能のもの入れないとなぁ?頑張れよマツナガ」


「今までは使う機会がなかったがこれからは司が出ることも増えるしちゃんと作るさ」


 ふたりが車に乗り込むとハチは車を走らせる。


 そんな車の中で司は緊張で汗をかいていたのか胸元を仰ぎ息を吐く。


「はしたないだろ。特に今さ」


「しょうがないだろ暑いもんは暑いんだから」


「そうじゃねえよマツナガ。ゼロワンは誘ってんだよ」


「後ろから撃ち抜いていいかなぁ?」


「折角良いもん持ってんだから使うのは当然だろ。にひっひっひ」


「ハチ殿セクハラだぞそれ」


「身内だから良いだろ」


「身内だからダメじゃろがい!そんな考え方修正してやる!」


「お?帰ったらやるか?大会に向けて経験値が必要だしな!」


 司とハチが敵意をぶつけているとマツナガとエヴィルはしょうもないと溜息を吐く。


「……やるのは構わないが明日からにしろよ。司は明日学校なんだからな」


「わかってるよーまっちゃん。そこまで俺もバカじゃねえ」


 ハチへの敵意を消すと脚を組んで外に視線を移す。


 そのあとは何か連絡が追加で入ることもなく帰宅した司たちをクルミとモモが出迎える。


「お帰り司兄ぃ!」「お帰り司兄さん」


 ふたりは司を抱きしめるとそれを司はふたりの頭を撫でる。


「ただいまふたりとも。緊張で汗だくだし話は後でもいいか?」


「はーい」


 ふたりが離れると司はすぐに汗を流していつもの服装を着てリビングに戻りソファーに座る。


「今度は近くにいていいよねー」


 ふたりがベタベタと司に触れているとトレーニング室からタオルで顔を覆ったまま青年が司の背後に立つ。


「お勤めご苦労さんレッドフィールド」


「ご苦労ですよほんと。ええと……」


前原空(マエバラ・ソラ)、ソラってシフィルも呼んでただろ?」


「ああ…そうでした。ソラさんどうですかうちの機械は」


「まあぼちぼちって感じだな。鍛えるのには充分だろうさね」


 汗を拭き切るとソラは反対側のソファーに座り前屈みに司を見つめる。


「さっそく本題にはなるが、今日の発表会で大会が開催したわけだろ?それに向けて準備が必要な訳だ」


「そうですね。戦闘型の大会だから俺自身も質を高めないと」


「でも司兄ぃ会社代表として出るから司兄ぃって決まった訳じゃないよね?」


「むむむ……この会社から出るとなるとサブとハチとかだよな……」


「俺は出れねえぞ」


「ここじゃ1番強いのになんでだよ?」


「そりゃ俺はお前らを護衛するのが仕事であってここに所属してる訳じゃないしな」


「下で会ってからこの方ずっと共に行動してきたのに所属は違ったのか……」


 やれやれとため息を吐きハチはベランダに出て行ったらゼロスリーもごめんねと舌を出すとそれについて行く。


 じゃあどうすればと頭を抱えていると、マツナガが俺はと執拗にアピールするが司は無視しているのか気づいていないのか、反応しない。


「あのふたりと比べて俺は弱いしそれ以外のメンバーも弱いし……」


 だから俺はどうよーと追加のアピールを続けるマツナガを苦笑しながらソラは会話を続ける。


「もし彼らが参加出来てたとしてもシフィルと当たったときどうするつもりだったんだ?」


「それはあなたにシフィルの癖とかを聞くつもりだっただけで、変わりませんよ」


「そうだな」


 俺はダメなの……?と司を背後から見ていたマツナガだったが、司はいい加減反応しないことに飽きたのか反応してデコピンを放つ。


「まっちゃんが出れるわけないでしょうが!戦闘を含める大会である以上怪我は免れないし会社の経営に支障を出したらダメでしょ」


「それだとお前も入るのでは?」


「俺はいなくてもキノがいるだろ。あいつの方が物を作るのには慣れてる」


 マツナガは納得は出来ないものの渋々頷いた。


 司1人では不安だと候補を考えようとしていると、ソラが司に尋ねる。


「お前シフィルと戦うのは想定してるみたいだったが、あいつにどうやって勝つつもりなんだ?開始までの時間で最低限出来ても土台に立つことが出来るのが関の山だぞ」


 ソラの司への目つきが変わる。友人とか知り合いに対して放つものではなく、本気の目だった。


「……時折出る殺意の波動を使いこなせるようになるしかないですね……」


「発動条件は?使用後の負荷はデメリットは。それも把握していない状況でそんな危険なものを使うつもりか?そんなもので勝てるはずはないし、勝てた所で他の奴を巻き込みかねない」


 そう言われると返す言葉がない。レッドフィールドと司がひとつの身体に入っているから使える部分もあるあれを単身で使えるとは思えない。


「使えないと分かっているなら選択肢は使えるようにするか、それともそれなしでも土台に立てるようにするかだ」


「それだと選べる物じゃないでしょう。使えるようにするって事はその分だけ俺自身が強くなる必要があるし、使わないでそれ並みに強くなるって事は使えるようにすればもっと良い結果が作れるわけだし」


「それが分かってるならやる事は分かってるよな?」


 ソラの質問に司は躊躇いつつも息を吸うとソラへと視線を向ける。


「ソラさん頼んでも良いですか?」


「それが俺がここにいる理由だからな。任せろ」


 ソラは立ち上がるとリビングを後にする。


「時間はないんだ。動く気になったらすぐに来いよ」

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