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Zな彼女とネクロマンサーの僕  作者: キノコ二等兵
巨大人工浮島《ギガフロート》編
173/194

憎悪戦争

 鉄格子から脱出し武器も難なく回収した司たちは外の景色驚いていた。


 四方八方から弾丸が飛び交いその弾丸が人々を貫いていく。


「な……なんだよこれ……」


 司は現状に理解が追いつかずその場に止まってしまう。


 そんな司にひとりの少女が突撃してきた。もう敵も味方もよく分からなくなっていると思われる。


 だがその攻撃は司に届くことはなく司を後ろに押し込みながら腰の剣で少女の首を切り裂き、身体と頭部を分けた。


「外の情勢まで把握してなかった。ごめんね司君。ヤミ地下から脱出するよ!」


「分かっている。弾幕の中を移動したくはないからな」


 ヤミは司の手を取ると下水道の道を探す。シフィルはそのふたりに近づかせないように弾丸を弾いていく。


「関係ない人間に撃つなんて……」


「向こうからすれば知らない人間は敵だ。やらなきゃやられる状況でそういう事は考えていられない」


「見境ないってことか……」


「だからこそシフィルがああやって前を張ってくれている。私たちはその間に進むぞ」


 身体を支えながらふたりは進んでいくとひとりの少女が、足に弾丸を受けたのか泣いていた。


「ヤミさん、あれ……」


「見捨てるしかない。レッドフィールド、お前が動けるならまだ考えないこともないが、今は無理なのはお前自身が分かっているはずだ」


「そうだけどさ……」


 司がそちらに意識を持っていき脱出に支障が出ても困ると判断し、ヤミは少女の周りに鎖を展開する。


「今出来るのはここまでだ。あの子が仲間に助けてもらえるよう祈るしかない」


「わがまま言ってすまない」


「ああこんな状況ではもう言わないでくれ」


 ふたりは進んでいき、地下へと降りれそうな場所を見つけた。


 シフィルも近くの敵対者を無力化するとその場に立つ。


 身体から細かい傷跡が残っていたが問題はないようで袖で血を拭うと地下への道を塞ぐマンホールを取り外す。


「うっ……これは……」


「何かあっんだよ俺にも見せてくれよ」


 ヤミは司が覗こうとしたところを自身の鎖でその目を塞ぎ見えないようにすると理由を話す。


「お前には不必要な情報だ。知って家族にでも伝えるか?」


 つまりは見てはいけないものがあるのだろう。伝説の傭兵とも呼ばれるシフィルが不快な顔をする程なのだから。


 司も戦いはしてきたつもりだがその言葉の通り戦いをしただけの人間だ。戦争をしてきたわけではない。


 鎖で目を塞がれているがそれでも匂いはある。嗅いだ事のないものだ。見なくても予想は出来た。しかし見てしまったらトラウマになってしまうのが明らかだ。


 弾が飛び交う地獄か不快な匂いが漂う地下通路を進むか。悩むまでもなくシフィルは地下へと飛び降り、内部を確認する。


 不快な匂いを放つ物質以外は特になくそれをヤミに伝えると司を抱き抱えて地下へと降りる。


「うげぇ……すんげえ匂い」


「あまり呼吸をしない方がいいよ。病気に繋がるからね」


 シフィルが先行して歩いた場所を移動していく。戦闘は上だろうがその音は風に乗って地下へと広がっていく。


「上だったらこんな銃声が響く中移動しなくちゃいけないわけだよな」


「だね。流石にあの弾幕の中君たちのことを気にしながら人々を殺さないように無力化は僕の腕じゃ出来ない」


「戦争経験者だから人殺しには慣れていると思ったがな」


「慣れても殺すのが好きなわけじゃない。憎しみで人殺しをしている連中に人殺しで返したら意味がない。ああいうのに必要なのは恐怖だ。武器に対する恐怖を作ることで戦う意思を奪う事が大事だったりするんだよ」


「生き残った者の役目か?」


「それは君の判断に任せるよ。もしかしたらそういう考え方をしながら実際は人殺しを楽しんでるかもしれないし」


「お前がそういう人間には見えないが……」


 地下通路をある程度進んでいった所で正規通路が塞がれそれ以上進むことは出来なくなっていた。


「地下から攻め込まれないようにする為か。ここからは外に出ないとダメそうだね」


「流石に登る時に目隠しはさせられん。周りが見えないようにはしておくから自分で登れ、レッドフィールド」


 シフィルが先行して地上へと戻る。ふたりはシフィルの手を借りながら登り切るとシフィルの視線が向かう方向を見る。


「今どちらからの勢力に加担せずかつ目立たず脱出出来るのはあそこだけ」


「大体1キロといったところか。身体が痛むだろうが走り切るぞ」


「耐えてみせるさ」


 3人は息を整えるとシフィルを先頭に次にヤミが、それを追うように司が壁へと向かって走り出した。

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