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Zな彼女とネクロマンサーの僕  作者: キノコ二等兵
巨大人工浮島《ギガフロート》編
169/194

四幻神《光龍》

 先程司の元に飛んできた光線は何処から放たれたのか。


 それは以前シフィルと司が戦闘を行った四幻神のひとりだった。


 初めての敗北でかつ、無能力者及び自分よりも低能力者に負けたことにプライドを傷つけられ、憎しみと復讐を覚えたことで能力の出力を限界まで上げることでそのお礼参りを目指していたのだ。


店長(てんちょう)!さっさとやれ!」


「本当にいいのか?人間じゃなくなるぞ。今の時点で能力者としてはトップなんだ。経験を積めば……」


「そんな時間ねえだろうが。それ以前に舐められっぱなしなのは許せねえんだよ」


 店長(みせなが)は大きくため息を吐き器具を調整すると、その器具に四幻神は入り込み液体が器具内を満たしていく。


店長(てんちょう)……私は怖いよ。この方法で強化した人間の末路は……」


「分かっている。だが舐められてしまうというのも分かるには分かる。強化されても俺たちの知っているエギルであることを願うしかない。違うかヤミ?」


「プライドは変に高いけどメンタルは強いはずだから、耐えてくれると信じるしかないか……」


 ヤミは腕を組みながら店長と共に調整が終了するのを待った。


 同時間頃、施設から離れた場所から司を含めた4人はシフィルが行動を開始するまで施設を双眼鏡で覗き込んでいた。


「シフィル。いつ攻めるんだ?」


「時が来たら攻めるよ。その前にキミの今の気持ちをもう一度確認しておきたいな」


「……妹たちを誘拐する話を作ったやつを許せない。けど妹たちを襲ったのはその部下だし、そいつらは潰した。もう今の俺には敵意はあっても殺意はない」


「本当に?」


 司は簡易的に修理された右腕をさすりながらああとシフィルの疑問に答える。


「なら大丈夫だね。けど念の為言っとくけどキミが殺意を抑えられなくなったらボクが止めるから」


「助かる」


 司がリヴァイから双眼鏡を受け取り3人が見ていたであろう窓を覗くと、双眼鏡にレッドフィールドが映り胸が熱くなり痛みが走る。


「(なんだこれ……レンズに相棒が映った瞬間胸が痛み始めた……?)」


「ん?どうしたの?出撃前に食べた肉まんで胸焼け起こした?」


「食い物でなってたらトイレに向かって一直線……と言いたい所だけど、俺の家族が狙われてるみたいだ。それも結構戦闘型のやつで苦戦してる」


「それなら行ってきなよ。キミの優先事項は家族だ。ハルサメとリヴァイも使っていいよ。2人もいいね」


「承知」「まだまだ実力不足の人に行かせるほどリヴァイは自信ないから!」


「悪うございました。弱くてさあ!」


「戦闘型なのだからそりゃねえ。念には念をという言葉があるらしいし」


「シフィル、借りてくぜ」


「うん、どんどん借りてけ。利息は気分で変更だけどね」


「闇金より高いのは勘弁な。ハルサメさんリヴァイ、援護頼んます」


 司たちがその場を離れると、右眼に視覚した情報をまとめるカメラを取り付けると今度はそれで施設内の覗く。


「特に厳しい訳ではないようだね。侵入自体は簡単そうだけど今入っても特にメリットはなさそうだ」


 状況の変化を待っていると店長の動きが先程迄と変化し、どこか焦っている様にも見れた。


「(実験か何かに失敗したかな?振り向いて誰かに声をかける)」


 変化を感じたシフィルは施設までの道を全て屋根を飛び越えて移動して近づくと、施設内には簡単に侵入出来た。


 施設内の人間も慌てている様で、シフィルが入っても自分たちの仲間だろうと考えているせいか特に反応されることもなく奥へと向かう。


 ひとりの青年と曲がり角でぶつかる。青年は腰をついて倒れたのをシフィルは手を伸ばして立ち上がらさせる。


「大丈夫かい?結構やばそうな雰囲気だけど、店長たちは大丈夫なのかい?」


「店長さまから退避の命令を受けたんです。貴方も早く」


「流石にトップを見捨てて逃げるなんて真似出来ないさ。足を止めさせてごめん。早く行くんだ」


「ああ、あんたも店長さまに会ったら急いで脱出してくれよ」


 青年と別れて奥へと走る。外で覗いた場所に辿り着ける様逃げ遅れた人を助けながら進んでいくと閃光が漏れ出している部屋を見つけた。店長がいる部屋だろう。


 扉に触れるがびくともしない。鍵が掛けられているのだろう。


 ならばと袖からナイフを取り出すとそれを使って扉を切り裂く。


「くっ……な、なんて熱量と風圧……。これは普通じゃない」


 皮膚がちりちりと焼ける感触を覚えるが関係ないとばかりに奥へと進んでいく。


 そんな中店長は暴走を抑える為に調整器具を操作するものの悪化の一途を進んでいく。


「くっそ!もう駄目だ。ヤミその鎖であいつを———」


 店長はヤミに指示を出そうと振り返るとシフィルが入っていたことに気づく。


「キミらしくもない。君が慌てたら駄目じゃないか」


「シフィル……?」


「ボクが援護する。ヤミとてんちょはサポートで。フォーメーション3・4・1(スリーフォーワン)。分かるね?」


「あ、ああ……だがなぜお前がそれを知っている?」


「行くよ。武器使用の許可を出してもらえるかい?」


 店長とヤミは互いに顔を合わせるが何処か渋っているようで行動がない。


「キミの想像している様なことは絶対にしない。少なくともこの戦闘だけの解除で構わない」


 時間がないこの状況で損得を考えている余裕はない。店長は大きく呼吸をすると、シフィルに視線を向ける。


「……あいつを止めるまでの使用を許可する。殺さないで止められるか?」


「伊達に二つ名に伝説の傭兵が付いちゃいないさ。武器を使っても殺さない戦い方は知ってる」


「分かった。3・4・1(スリーフォーワン)行くぞ」


 背中に機械仕掛けの大剣取り付けられるのに合わせて両肩にククリが、両腰に青い鞘に納められた直剣がシフィルの身体について行く。


 強化カプセルが開かれると漏れ出していた光が一度に解放されて部屋を焼き払う。


 シフィルはそれに合わせてその光源に目掛けて走り出した。

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